議会報告

質疑・討論

9月議会*決算【総括質疑】感染症対応の遅れの反省にたち 公衆衛生・医療体制の早急な強化を

決算委員会で総括質疑をおこなう神田よしゆき市議

 10 月12 日、9 月議会決算特別委員会で総括質疑がおこなわれ、神田よしゆき市議が感染症の世界的大流行(パンデミック)に対する備えが十分だったのかを質しました。

神田 2019 年1 月末から2 月にかけて、新型コロナウイルスによるパンデミックが発生した。しかし、国もさいたま市も対応が不十分であったため、大きな混乱が起きた。本市はパンデミックに対応するため、2014 年にすでに「新型インフルエンザ等対策行動計画」を定めたが、その後、保健所・健康科学研究センターの体制強化など、公衆衛生の充実にどうとりくんできたのか。

副市長 さいたま市保健所は、2002 年度開設時の保健師20 名を含む106 名の体制から、2020 年度は保健師35 名を含む137 名の体制となっている。健康科学研究センターは開設した2007 年度52 名、2020 年度で55 名、保健所とあわせて192 名の体制である。

 

神田 「新型インフルエンザ等行動計画」で公衆体制を抜本的に強化することが求められていたにも関わらず、それを怠ったことへの反省が必要だと指摘したい。また、医療体制については2014 年以降、感染症対応の病棟を増やすなどの体制はとられたのか。

副市長 埼玉県感染症予防計画をふまえ、第2 種感染症指定機関である市立病院の整備を進め、感染症対策ネットワーク会議等で情報共有、連携強化を図ってきた。一方、これまで対応したことのない事案に対する中で想定外の事態も起きており、医療提供体制に大きな影響を受けている。

 神田市議は、「検査を含め、体制が強化されていない。市だけの責任ではなく、そもそも国がやってこなかったことに原因があるが、パンデミックの対応への反省がないと今後適切に対応できなくなる。自治体は市民の命とくらしを守る最後の砦。市独自で努力すべき」と求めました。

9月議会*議案質疑 避難所の感染症対策が前進

本会議で議案質疑をおこなうとりうみ敏行市議

 9 月3 日、9 月議会本会議において議案に対する質疑がおこなわれ、党市議団からとりうみ敏行市議が登壇しました。市長が専決処分した予算議案を中心に、新型コロナ対策や消費喚起策について質しました。

とりうみ 避難所における感染症対策としてマスクとパーテーションの購入予算が計上されている。これまで避難所のスペースの問題などでパーテーションの備蓄は難しいと言っていたが、今回配備する避難所数および避難者数の見積もりをうかがう。

 ご指摘のとおり、各避難所の防災倉庫にはスペースの関係で備蓄することが難しい。そのため市内5 カ所の拠点備蓄倉庫に分散的に備蓄することとした。購入は1000 個を予定しているが、仕切板で2 つの部屋に仕切れる構造となっていることから最大2000 人の収容が可能。

 

医療機関を支える予算に

とりうみ 今回、コロナ感染症患者を受け入れる医療機関への補助金ということで5億1461 万円が計上されている。経営が危うくなっている医療機関もあるなかで、国へ支援を求めることなども含め、市の考え方をうかがう。

 市としても、経営状況が悪化している医療機関があることは認識している。これまで、病床確保に協力いただいた医療機関に対する病床数に応じた補助制度や、帰国者・接触者外来等に対し、設備整備に必要な費用に対する補助制度を整備してきた。あわせて継続的な医療の提供や経営安定化のために必要な財政支援を総務省や厚生労働省に求めている。

 

とりうみ PCR 検査数が増加したとのことだが、要因はどのように分析しているか。

 従来の行政が行う検査にくわえ、3 月4日から民間検査での検査が保険適用になったことから検査数が急増した。唾液によるPCR 検査が可能となり、さらに増えている。

とりうみ 検査体制の現状と見通しについてうかがう。

 8 月25 日現在、150 の医療機関で検査を実施している。1 日あたり600 件程度の検査が可能で、感染ピーク時に必要な数は足りている。

 

プレミアム付き商品券に19 億円超

とりうみ 新型コロナ禍の消費喚起策として、1 万円で1 万2000 円分の商品券が購入できる「さいたま応援プレミアム付き商品券」を販売するとのことだ。昨年もプレミアム付き商品券の販売をおこなったが、その際の実績と課題、および今回にどう生かされているのかをうかがう。

 昨年のプレミアム付き商品券事業は、消費税増税の影響が大きいと考えられる低所得者や乳幼児がいる子育て世帯に対して負担増の緩和を目的とした。販売冊数は77 万冊発行に対して30 万5348 冊、販売率は39.6%だった。換金状況は中小店が約27%、大型店が約73%で、4 分の3が大型店で利用された。経済効果は約15億2000 万円で一定程度の経済効果はあった。課題は中小店での利用が少なかったことと販売が進まなかったこと。これを踏まえ、今回はすべての加盟店で利用できる共通券とあわせ、中小店のみで利用できる専用券を設け、十分な周知活動を行い、加盟店を増やしていきたい。

 

市内宿泊補助に1.5 億円

とりうみ 市内の宿泊促進で経済活性化という目的で約1.5 億円の予算が専決処分されたが、Go To トラベルとの関連性は。また対象施設はどこか。

 経済団体との情報交換会や市長と有識者との対談において、飲食店、サービス業などの他にも宿泊業も大変厳しい状況であると認識したため、宿泊業を支援するための事業。Go To トラベルと併用できる。新型コロナの感染状況を注視しながら適切な時期に実施する。旅館業法の規定に基づき、市内41 施設が対象(風営法該当施設を除く)。

 

マイナンバーカードの普及は低調

 

とりうみ 戸籍住民基本台帳事務事業について、本市のマイナンバーカード普及数(3月時点・8 月時点)をうかがう。また、過去5 年間でシステム改修に使われた費用の総額をうかがう。

 マイナンバーカード普及枚数は3 月時点で19 万7715 枚、8 月時点で24 万7053 枚。過去5 年間でシステム改修に使われた費用の総額は約2 億1105 万円。

6月議会*本会議 市民のくらしと生業・医療を守るために全力

本会議で討論に立つ金子あきよ市議

 6 月26 日、6 月議会本会議で、金子あきよ市議が議案と請願の討論に立ちました。党市議団は市長から提出された議案37 件のうち、31 件に賛成し、6 件に反対しました。

 

 市民憲章審議会条例の制定に関する条例案について「コロナ禍で加速度的に市民の生活様式が変容するなか、市民憲章策定の必要性について市民の納得は得られない」と主張。戸籍等関係事務手数料条例の一部改正案(マイナンバー通知カードの廃止)についても、「マイナンバー制度を推進することにのみ資する一方で、市民に負担を強いることになるものだ」として反対しました。

 

 また、児童福祉施設の設備および運営の基準に関する条例等の一部改正案について、金子市議は「待機児童対策として保育所等の保育士配置にかかる規制緩和の特例的運用を適用できるようにするものであり、保育士が確保できないから保育士以外で保育をおこなうという考えは認められない。保育士の処遇改善をおこなうことで、さいたま市で働きたいと思ってもらうことこそ必要」等として反対しました。

 

 続いて「公園遊具の修理・設置の早急な実施を求める請願」など、市民から提出された3 件の請願について、市民のいのちと暮らしを守る立場から採択を主張しました。

 

 最後に金子市議は、「市議団として、新型コロナウイルス感染拡大の第2 波・第3 波に備えて、市民の暮らしと生業、医療を守り充実させるためにこれからも全力を挙げ、一日も早いコロナの終息に向けて市民のみなさんと行政とで力をあわせてとりくむ」と表明し、市長に対して、市民の窮状に鑑み財源の使い方を市民のくらし最優先に切り替えることを強く求めました。

 

■2020年6月議会採決表

補正予算質疑 障害者施設への独自支援が実現

本会議で補正予算の質疑をする久保みき市議

 6 月25 日、6 月議会に新型コロナウイルス対策中心の追加の補正予算議案が上程され、久保みき市議が質疑に立ちました。

 

 そのなかで、さいたま市独自で障害者施設への給付をおこなう予算がつきました。生産活動をおこなう就労継続支援事業所(B 型)で働く障害者に、新型コロナウイルスの影響で減少した分の工賃を市が支給するというもので、2490 万円の予算規模です。

 

 久保市議は「生産活動をしている事業所は就労継続支援だけではない。生活介護施設や地域活動支援センターでも、ものづくりやリサイクルショップの運営などをしている。幅広く支援すべきではないか」と質しました。市も「生活介護や地域活動支援センターでも生産活動をおこなっている」と認めましたが、今回の対象はB 型のみということでした。

 

 久保市議は「今回の障害者施設への給付は、全国的に実施自治体が少ないなかで一歩前進であり、評価する。今後も弱い立場の方々にあたたかい手を差し伸べる施策を求めたい」と話しました。

6月議会議案質疑*市の検査体制と医療体制が明らかに

本会議で議案質疑をおこなう神田よしゆき市議

 6 月4 日、6 月議会の市長提出議案に対する議案質疑に神田よしゆき市議が立ちました。はじめに、この間市がとりくんできた新型コロナウイルス感染症のPCR 検査体制や医療体制についてただしました。

 

神田 令和2 年度補正予算(第7 号)の感染予防事業について、地域外来検査センターの箇所数、市と民間と検査能力は。

 

保健福祉局長 市内地域外来検査センターは4 箇所設置し、検査能力は1 日1 カ所あたり約10 人。市全体の検査可能数は、健康科学研究センターには検査機器を増設したことで、今後1 日60 検体ほどの検査が可能になる。民間では1 日で133 人を検査した実績がある。

 

神田 入院患者の受け入れをおこなう医療機関の数と確保されたベッド数について症状別にうかがう。

 

保健福祉局長 入院患者受け入れ医療機関は市内に8 医療機関、市としては約70 床を確保していた。その後、市内に超重症6 床、重症5 床、中等症101 床、軽症14 床の合計126 床を確保したと県から聞いている。

 

※ 地域外来検査センター PCR 検査体制の強化のために、さいたま市4 医師会に運営を委託した検査センター。

 

※ 健康科学研究センター 保健所などから依頼を受けた臨床検査や感染症情報などの発信をおこなう市の機関。

 

新型コロナウイルス感染症から暮らしと営業を守るために

 次に神田市議は、新型コロナウイルス感染症による国民健康保険税の減免と、市独自の経済支援である「小規模企業者・個人事業主給付金」についてただしました。

 

神田 国民健康保険事業会計で新型コロナウイルス感染症による減免制度の詳細は。

 

保健福祉局長 世帯の主たる生計維持者が新型コロナウイルス感染症で死亡、または重篤な傷病を負った世帯は保険税の全額が免除になる。また、世帯の主たる生計維持者の事業、不動産、給与などの収入の減少が見込まれる場合に減免の対象となり、前年の所得に応じて保険税を20%~ 100%の5 段階で減免する。

 

神田 小規模企業者・個人事業主給付金事業について、支援対象となる事業者をどう見込んだのか。支給額が予算を上回った場合は、追加補正をするのか。

 

経済局長 小規模企業者・個人事業主の対象者は、中小企業庁の経済センサス調査(2016 年)に基づき2 万1000 件とした。不足の事態が生じた場合は、厳しい状況に置かれた多くの小規模事業者・個人事業主を支援していきたいと考えているため、追加補正などについて検討していきたい。

 

 このほか、市民憲章の制定に向けた「市民憲章審議会」の設置について、認可保育所などの保育士配置基準を緩和し、市長が認める場合において無資格者を特例的に保育士と同等にみなす条例改正の議案についても質疑しました。

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