議会報告

質疑・討論

臨時議会で市役所の移転が決定

本会議で討論に立つとりうみ敏行市議

 4月28日、さいたま市議会臨時議会が開催され「さいたま市役所の位置に関する条例の一部改正」議案について審査がおこなわれました。議案は総合政策委員会に付託され、神田よしゆきと久保みきの両市議が議論に参加。その後におこなわれた本会議ではとりうみ敏行市議が討論にたちました。

 日付をまたいでおこなわれた採決により、議案は賛成多数で可決。これにより、2030年を目途に、さいたま市役所の位置が現在地から大宮区北袋町に移転することが決定しました。

 

今回の移転建て替えは問題がありすぎる

 

 10時にはじまった本会議ですが、議案の委員会付託後は長い休憩にはいり、結局、委員会がはじまったのは19時10分、終了は22時となりました。

 神田よしゆき市議は「党市議団は移転建て替えに一律に反対するものではない。庁舎の老朽化が進んだ場合には建て替えが当然検討されることになる。その場合は市役所機能を十分確保したうえで、できるだけ簡素なものとし、周辺住民もふくめて市民が納得できる計画なら賛成する。しかし今回の移転建て替えは、問題がありすぎる」として、次の点を指摘しました。

 

1.合併協定書では「検討」としか記載されていない

 市が移転の根拠としている合併協定書は20年前のもので、事務所の移転建て替えを決めたものではありません。合併協定書に「新市の事務所の位置について、さいたま新都心周辺を検討する」という文章が入ったのは、上尾市、伊奈町を含む4市1町の合併を主張していた大宮市に配慮したものです。合併当時と比べ、さいたま新都心周辺は大きく変化しています。20年も前の合併協定書を持ち出して移転建て替えを早急にすすめる理由にはなりません。

 また、さいたま市の(3市)合併時には各市の役割分担として、「行政の浦和・経済の大宮・芸術文化の与野として総合的なまちづくりを進める」としており、「新市建設計画」で具体化されています。今回の提案は、それぞれの役割分担を前提に進められてきたまちづくりのあり方を変えることを意味します。そのため特に浦和地域の市民のみなさんには明確に説明し、理解してもらう必要があります。

 

2.市民の理解は得られたのか

 本来、移転建て替えをすすめる際は、市民に説明を尽くし、納得してもらう必要があります。場合によっては、住民投票やアンケートなどで市民の合意を得るべきです。市民への説明や合意の努力がおこなわれていないなかで、強引に移転建て替えをすすめるべきではありません。

 

日付をまたぎ 本会議で反対討論

 

 深夜0時15分に再開した本会議では、
とりうみ敏行市議が議案に対する反対討論に立ちました。討論の柱は次の通りです。

 

1.不十分な市民への説明

 2021年2月議会に、浦和区自治会連合会から「移転計画の再検討と説明を求める請願」が提出され、これに基づいて「市庁舎移転計画に関して浦和区自治会連合会の意向を最大限尊重することを求める決議」が採択されました。

 決議の内容は、市の様々な計画と庁舎移転の理由と整合性の説明をはじめ、今後のまちづくりビジョンの策定、現在地の利活用、市民参加の工夫など4点に渡るもので、どれも重要な問題であり、決議から1カ月足らずでクリアできるような内容ではありません。

 「説明をおこなった」として議会に提出された直近の資料では、昨年12月から今年1月までに全行政区の自治会連合会へ説明した、としていますが、参加者はわずか163名です。また浦和区での近隣説明会がオンラインで1回、対面で2回おこなわれましたが、参加者の合計は293名でした。

 その他の手法として、HP・関係団体への周知・市報への掲載など報告されていますが、「今後も引き続き、説明や出前講座を実施予定」と添えられています。本議案を議決したあとにいったい何を説明しようというのでしょうか。しかも、現庁舎の跡地利用はこれから段階的に検討するというのですから、市民は納得できるはずがありません。

 説明会に参加した市民からは「まるで移転が決まったかのような説明だ」「市長は自分が言いたいことだけ言ってさっさと帰ってしまった」「残された職員が説明にあたったが、まだ質問が出ているのに時間が来たと言って打ち切ってしまった」などの意見が寄せられました。

 実際に説明会での質疑を見ても、特に対面での質疑では、「さいたま市民は移転など望んでいない。コロナ禍でおこなうなどありえない」「私たちの身近な公民館や学校は老朽化がすすんでも長期間使用しているのに、市民の利用が少ない市庁舎に221億円もかけることは理解できない」など、移転に批判的な意見が多く出されています。「なぜ今、移転建て替えなのか?」という問いに、およそ市長がいうような「市民の理解が得られた」という状況ではないことを指摘します。

 

2.移転と現地建て替えの「コスト比較」が比較にならない

 党市議団はかねてから、移転建て替えの費用だけでなく、現地建て替えの場合の費用も試算し、議会や市民に示して比較検討できるように要求してきました。しかし、移転の場合のイニシャルコスト221億円は早々と示されたのに、現地建て替えについては理由も言わずに「試算はしない」とのことです。

 先の説明会資料と共に提出された最新の資料では、なんと「移転建て替えの場合の建設規模と同等の規模で、現地で建て替えた場合の課題」が示されただけでした。しかし、移転先での庁舎建設計画では、高さが20階建、延べ床面積は6万㎡という大きな規模です。なぜ移転先計画をそのまま現地建て替えにあてはめるのか、理由も根拠も示されていません。現地建て替えなら移転先と同等の規模でなくてもよい場合も考えられるため、これではなんの比較にもなりません。

 そもそも、移転の場合のコスト221億円には、駐車場やバスターミナル、周辺整備などの費用は含まれていません。さらに移転後の跡地整備にも多額の費用を要しますから、221億円ですむはずがないのです。すべてあわせたら、いったいいくらの税金が投入されるのでしょうか。400億円、500億円、あるいはそれ以上でしょうか?市民の納めた税金の使い方は、これでいいのでしょうか。

 

3.現庁舎周辺の地域経済への影響

 旧浦和市の時代から、市庁舎周辺には飲食店をはじめ、多くの商店が営業を展開しています。市庁舎の移転は、この地域の経済に多大の影響を及ぼします。跡地がどのように活用されるかによっては、廃業を余儀なくされる業者も出てくるでしょう。

 さらに移転先周辺には、あらたに地元商店が店舗経営を展開できるスペースは存在せず、結局、大手企業の進出が可能となるだけです。このように、業者の暮らしと営業や地域経済への配慮を欠いた移転は認められません。

 

4.移転先のリスク

 移転が予定されているバスターミナル用地の隣には、三菱マテリアルが保管している放射性廃棄物が、ドラム缶換算で4万110本分が埋められています。現状では、この放射性廃棄物は今後100年以上に渡って管理・保管が必要です。

 東海地震・南海トラフ地震など、予想されている大規模災害に対する安全性は保障されるのか、確認が不十分です。また災害発生時に対策本部の中核を担う市役所がこのような場所でいいのか、改めて検討が必要です。

 

 以上の理由から本議案に反対をしましたが、深夜1時45分、採決がおこなわれ、賛成48名、反対9名、退席3名で可決されました。

 党市議団は、今後の庁舎建設計画や跡地の活用について、市民の意見が反映できるよう議会のなかで求めていきます。

2022年2月議会*本会議討論 市民のくらしと社会保障を守る予算に

本会議で新年度予算案の討論にたつ金子市議

 3月11日、2月議会本会議において金子あきよ市議は、2022年度当初予算案のうち、一般会計予算をはじめとする8件について反対討論をおこないました。

 

 金子市議は予算全般の方針について、本市の新型コロナ対策は、従来の政府の対策を並べただけに過ぎず、その一方で「ポストコロナを見据える」として位置づけているのは、大宮駅GCS化構想、浦和駅周辺地区のまちづくり、地下鉄7号線延伸など、大型再開発や公共施設建設事業の促進であり、認められない、と指摘しました。さらに社会保障削減の影響額は30億円にのぼり、国保税の連続値上げもおこなわれ、コロナ感染症以前からの社会保障削減路線を継続する考えが示されたことを批判しました。

 

 そして、党市議団提出の予算組み替え提案が、医療、公衆衛生の再生・再構築に1歩踏み出し、社会保障、介護、子育てなどの体制の強化、市民負担の軽減に取り組む提案となっていることに言及し、さいたま市としてもこれらの課題にしっかりと取り組むことを強く求めました。

 

 金子市議は最後に「今日、3月11日は東日本大震災から11年目となる。未曾有の災害、原発過酷事故を思い起こし、そして現下の新型コロナ感染症という事態に直面するとき、あらためて住民の困難に寄り添う自治体の公的な役割の重要性ということを思わずにはいられない」と語り、党市議団として、さいたま市が文字どおり「誰一人取り残さない」ために、市民一人ひとりの命とくらしを守り支える自治体となるよう、力をつくす決意を述べました。

2022年2月議会*本会議討論 国保制度 公費増やして市民負担を減らせ

本会議で議案・請願の討論にたつ松村市議

 3月11日、2月議会本会議において、松村としお市議が討論をおこないました。

 

 さいたま市国民健康保険税条例の一部を改正する条例の制定について、松村市議は「今回、党市議団が求めてきた子どもの均等割免除が就学前まで実現したのは大事な一歩」と評価。対象年齢の引き上げにとりくむよう強く要望しました。しかし、「均等割額が2900円引き上げられ、課税限度額3万円の引き上げも予定されており、あわせて5.6億円の市民負担増が新年度に見込まれるため本議案は認められない」と主張しました。

 

 国保加入者は低所得者が多く、所得なし世帯が約25%、年所得200万円以下が7割を占めます。「持続可能な」というなら、公費を投入し、市民負担を減らすべきとして、議案に反対しました。

 

 次に、「日本政府に『日米地位協定』の見直しを求める意見書提出に関する請願」について、「新型コロナ流行時に日本の検疫が適用されず、アメリカ軍人・軍属が検査も隔離もせず来日し、基地外に出たことで、米軍基地をかかえる沖縄、山口、広島で感染急拡大が起きた」と指摘。地位協定の見直しは日本国民のいのちを守る課題になっていると主張。採択を求めました。

2021年12月議会*議案質疑 市長や議員の期末手当を引き下げへ

 11月25日、12月議会本会議において議案に対する質疑がおこなわれ、党市議団からたけこし連市議が登壇しました。たけこし市議は市長・議員等の特別職、および市の職員の期末手当引き下げ議案などについて質疑しました。

 

たけこし:市長・議員などの特別職、および市の職員の期末手当引き下げの影響額(夏期・冬期あわせて)についてうかがう。

市:市長は660.7万円から641万円(▲19.7万円)、副市長は519.3万円から503.8万円(▲15.5万円)、教育長は432.5万円から419.6万円(▲12.9万円)の減額。また、議員は1人あたり392万円から380.3万円(▲11.7万円)、職員については総額5.6億円、1人あたり平均5万9000円の減額となる。

 

たけこし:次に、教室規模を35人学級にする法改正にともない、教室改修をおこなうとのことだが、改修される学校数・学級数および対象の学年は。

市:教室改修を予定している学校数は19校、19学級、対象は3年生となっている。

たけこし:予定しているスケジュール(2021年~2025年まで段階的に)を前倒しする必要があると考えているが、検討されているか。

市:前倒しは考えていない。

 

たけこし:続いて、感染予防として補正予算が計上されているが、今回の補正によって検査対象や検査数は拡大するのか。

市:市内の検査は高齢者・障害者施設や学校等で陽性者が発生した場合に行政検査をおこなっており、今回の補正についてもその考え方に変更はない。検査数については、年内に再度検査数が増えた場合でも必要な検査が実施できるように補正する。

2021年9月議会*決算委員会 分散登校のメリットを生かせ

 10 月11 日、決算委員会で総括質疑がおこなわれ、久保市議が質疑に立ちました。昨年4 月から6 月の全国一斉休校と、その後におこなわれた分散登校について、質疑しました。

 

久保 昨年6 月におこなわれた分散登校のメリットは。

教育長 段階的に教育活動を再開できた点、より慎重にコロナ対策を取ることができた点において一定の役割を果たすことができた。

久保 「学級の児童数が半分になり、ひとりひとりに目が行き届いた」「学習効果が上がった」などの教員の声もある。このメリットを今後も生かしていく必要があるのではないか。

教育長 分散登校で学級を分け、少人数にすることのメリットは感染リスクの低減にあったというふうに考えている。

久保  国も小学校の35 人学級に踏み切ったが、完全実施まで5 年もかかる。しかも中学校は手つかず。市独自で少人数学級を一気に進めることが大事ではないか。

教育長 国の計画に沿って、しっかりと進めていきたい。

久保 ヤングケアラーの問題など、子どもたちの状況は多様化、複雑化している。ひとりひとりに寄り添った教育が求められている。教育長は少人数学級の必要性についてどうお考えか。

教育長 子どもたちに目が届くというメリットがある。状況が整ったなかで実施していく方が、現時点では優先順位が高い。

 

 久保市議は他に、市のコロナ対策の不十分さや防災対策、桜区の治水対策と感震ブレカーの補助事業についてとりあげました。

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