議会報告

委員会

6月議会*新型コロナ対策 市民の声をねばり強くとどけ 補正予算で実現

予算委員会で補正予算についての質疑をおこなうたけこし連市議

 6 月18 日の予算委員会で、新型コロナウイルスの影響で売り上げが減少している市内小規模事業者・個人事業主に対して緊急経済支援として10 万円を支給する市独自の事業は、申請数が8865 件で想定した2 万1000 件に対して5 割を下回っていることがわかりました。

 

 この間、市議団として「開業届がない場合は代替書類で対応」「代替書類に添付する収支内訳書がない場合は、事業実態が確認できる書類で代替する」など、より多くの事業者がこの制度を使えるよう求めてきました。こうした運用の変更点を市がきちんと市内事業者に周知徹底するよう要望しました。

 

 その後6月25日にも予算委員会が開かれ、追加で提出された補正予算の審査がおこなわれました。党市議団からとりうみ敏行、たけこし連の両市議が出席しました。可決された補正予算の内容を紹介します。

 

 

認可外への保育料の助成が実現

 

 新型コロナウイルスの影響で、市の登園自粛要請に協力していた認可外保育施設の利用者に対して保育料を一部助成する補正予算が組まれました。

 

 3 月中旬、党市議団に「認可外保育施設でも登園自粛をしていた分の保育料を返還してほしい」という要望が寄せられ、市議団として市や厚生労働省などに対応を求めてきました。4 月に認可保育所が対象に、5 月に家庭保育室やナーサリールームなど市認定の認可外保育施設が対象に加えられるなど対象の拡大がはかられ、その後「その他の認可外保育施設」も対象に加わりました。

 

 たけこし市議の「これで市内にある566保育施設すべてが対象になったと認識していいか」という質問に対し、市は「市が認識している保育施設についてはすべて対象となる」と答弁しました。要望を受けてから3カ月もかかりましたが、党市議団が求めてきた「市内すべての保育施設で登園自粛に協力した保護者への保育料の助成」が実現しました。

 

検査の公費負担に1.2 億円

 

 新たに保険適用となった抗原検査および唾液検体を用いたPCR 検査等の検査費用の公費負担は、新型コロナウイルスの第2 波、第3 波を想定して体制を整えることを目的として補正予算が計上されました。

 

 6 月24 日、さいたま市内の中学生が新型コロナウイルスに感染したとの報道がありました。その際に、生徒の家族はPCR 検査をおこなったにもかかわらず、同じクラスや同じ部活に参加していた生徒には検査をおこないませんでした。とりうみ市議が理由をただすと、市は「同じクラスや同じ部活の生徒は濃厚接触者にはあたらない」と答弁。とりうみ市議は「今後、職場や学校で感染者がでた場合には、クラスター対策として関係者の全員検査を検討してほしい」と強く要望しました。

 

6月議会*総合政策 さいたま市民憲章 急ぐ必要なし

予算委員会で質疑をおこなうたけこし連市議

 2021 年度にさいたま市民憲章を制定するための議案が、6 月議会の総合政策委員会と予算委員会にかけられ、審査がおこなわれました。市民憲章を作成する審議会を設置する条例議案と、市民憲章制定に必要な経費として約600 万円を計上する補正予算議案です。

 

 質疑を通じて、市民憲章を制定する目的が「市民の心の拠り所になる」と曖昧な点や、市民に対するメリットが示されなかったこと、また制定を望む市民の声が具体的には確認されていないことが明らかになりました。

 

 なにより、新型コロナウィルスの影響で多くの市民が多大な被害を受けているときに、約600 万円をかけて市民憲章の制定を急ぐ必要はありません。市が実施理由とする「さいたま市誕生20 年、総合振興計画のスタートの節目」というだけでは不十分です。党市議団は両議案に反対しましたが、他会派の賛成で可決されました。

6月議会*文教 さいたまクリテリウム 今年は開催見送り

文教委員会で質問する松村としお市議

 6 月17 日の文教委員会で新型コロナの影響により「ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム」の今年度開催を見送ることが報告されました。しかしツール・ド・フランスの主催者であるA.S.O 社(本社フランス)とは開催にかかわらず権利金を支払う契約になっています。そのため市議会として補助金を縮減して新型コロナ対策の拡充に活用するよう求める決議を全会一致で採択しました。

 

 この半日限りのイベントに2013 年から毎年2 ~ 3 億円の税金が使われてきましたが、党市議団は一過性の国際イベントではなく、市民中心の振興策に切りかえるよう求めてきました。さいたま市は来年以後も開催を希望していますが、党市議団はこれを機に中止するよう求めています。

6月議会*文教 10万人拍手 子どもたちの心を踏みにじる強制は許されない

 6 月17 日の文教委員会では、15 日におこなわれた「Clap for Carers ~ 10 万人の子どもたちから『ありがとう』の拍手を届けます」について報告され、松村としお市議が質疑をおこないました。

 

 このとりくみは、通常登校がはじまる15 日の10 時に、市内小中高校などの168 校で子どもたちがいっせいに拍手をすることで、医療従事者に感謝を表明するとして教育長の発案で企画されたものです。市内学校のうち4 校は医療機関とオンラインでつなぎ、その様子をメディアが取材しました。

 

 松村市議は、「『なぜ拍手をするのかわからない』といった子どもの声が寄せられた。全員の拍手を前提にしたのは子どもに対する強制ではないか」と質したのに対し、市教育委員会は「事前指導をした。強制とは認識していない」「いずれ振り返り、思い出し、意味あるものと理解できる日が来ると信じたい」と答弁。

 

 松村市議は「子どもたちの自発性や心を置き去りにしたやり方。このことでつらい思いをした子どもや保護者がいた。申し訳なかったという一言を出してほしい」と求めましたが、市教委は「課題としてとらえたい。拍手が感謝を表すにふさわしかったかさまざまな意見を真摯に受け止めて、そこに十分な配慮があったか考える必要がある」と答弁しました。

 

 松村市議は「一般質問では、子どもの心に寄り添うと答弁した教育長の発案で子どもの心を踏みにじったことに猛省を求める。二度とないようにしてほしい」と強く求めました。

6月議会*保健福祉 市が「保育士配置基準の緩和」ねらう

保健福祉委員会で質疑をおこなう神田よしゆき市議

 6 月議会に、認可保育所等における保育士配置の基準緩和を認める条例改正案がかけられました(表)。これは「待機児童対策」の名のもと、保育士の配置基準を緩和するものです。国は2016 年度にこの特例の導入を通知していましたが、市は当時「保育の質に影響がある」として導入しませんでした。

 

 6 月15 日の保健福祉委員会では、神田よしゆき市議が「なぜいまになって導入するのか。保育士の専門性をどう考えているのか」などと質し、市は「保育士の配置が大原則」としつつも「認可保育所等へのニーズが高く、今後も新規で増やし続けるなか、保育士の確保が困難であることから特例を導入したい」と答えました。

 

 6 月17 日の委員会討論で、神田市議は「保育士が集まらないのは処遇改善が進まないから。この特例を先行して導入している政令市(11 市)でも保育士の資格取得者が増えたという実績はない。保育士の負担を増やし、保育の質を低下させる本議案は認められない」として反対しましたが、他会派の賛成で可決されました。

 

■特例の内容(表)

①朝夕・土曜保育など子どもが少数の時間帯について、「保育士を最低2 名配置しなければいけない」という基準を緩和し、保育士が1 名でもよいこととする。もう1 名は子育て支援員研修を修了した無資格者でよいこととする。

 

②幼稚園・小学校・養護教諭など、保育士と近接する資格を持つものを「みなし保育士」として配置可能にし、保育士としてカウントする。

 

③ 8 時間以上開所する保育所等のうち、保育士の最低配置基準を超える以上に配置する保育士について、全体の3 分の1 以下の人数であれば、子育て支援員研修を修了した者や「市長が保育士と同等の知識及び経験を有すると認める者」などを「みなし保育士」として配置可能にし、保育士としてカウントする。

ページトップへ