議会報告

2月議会*代表質問 市独自の検査戦略で感染の抑え込みを

本会議場で代表質問をおこなう神田よしゆき市議

 2 月10 日、2 月議会本会議で神田よしゆき市議が代表質問に立ちました。

 日本における新型コロナウイルス感染症の発生から約1 年がたちますが、全国各地の爆発的な感染拡大で2 度目の緊急事態宣言も延長となりました。神田市議は感染拡大を抑え、市民の命を守るための対策について質問しました。

神田 感染拡大を抑えるためにはPCR 検査を拡充し、無症状者を含めた感染者を把握し保護することが必要だと何度も指摘してきたが、市は検査体制や財政的な問題から抜本的な手立てを打ってこなかった。本市の高齢者施設利用者・職員に対する検査費用の一部補助だけではあまりにも中途半端。厚生労働省は医療機関、高齢者施設等の利用者・勤務者すべての検査を求めており、検査も無料にすべき。

副市長 陽性患者の調査で高齢者施設や学校関係者等に幅広くPCR 検査を実施し、昨年は大宮南銀座地域の店舗を対象にも実施してきた。今後埼玉県とも情報共有をおこないながら、必要な検査を実施するなど感染症拡大防止に全力を挙げる。

 

神田 従来の枠を超えない答弁だ。最大の問題は、国や市が感染拡大を抑える検査戦略を持っていないこと。すでに多くの自治体が独自に検査拡充をおこない、抑え込みに成功している。市独自の検査拡充をやらないというのであれば、市長が言う「コロナと闘う」とは到底言えない。

 

自宅療養者への医療的ケア強めよ

 神田市議は、病院、宿泊療養施設の実態と自宅療養者に対する支援について質問しました。さいたま医療圏における確保病床数は、重症27 床、軽症・中等症234 床の合計261 床、市内の宿泊療養施設は171 室が確保されています。入院者146 人、宿泊療養者95 人に対し、自宅療養者は904 人です(2月1 日現在)。

神田 自宅療養者のうち入院待機中の人は何人か。

副市長 自宅療養で症状の急変により、入院療養が必要と認められれば深夜でも入院調整をしている。入院時期は、直ちに救急搬送する場合や体調の安定を待ち日中の入院となる場合もあり、個々の病状に応じた対応をとっている。したがって現在入院待機となる自宅療養者はいない。

 市は「自宅療養者には食糧支援や医師・保健師等による毎日の健康観察で速やかに病状を把握し、必要な受診や入院調整ができる体制としている」と答弁しましたが、このままでは家庭内感染は避けられず、容体の急変にも対応できません。神田市議は、宿泊療養施設の確保を進め、自宅療養者への医療的ケアを強化するためにも、当面の対応として保健所機能を持つ支所設置を求めました。市は「支所の設置には、多くの人員と手続きが必要になる」として、従来と同様に各区保健センターの職員を保健所に派遣することで体制強化を図ると答弁しました。

予算を組み替えコロナ対策の強化を

 次に、神田市議は2 月4 日に党市議団が提起した予算組み替え提案(表)について、「コロナ対策として緊急に必要な事業として、ベッドの確保や検査の拡充を提起した。これらを進める意思があるのか」とただしました。

 

本会議場で提示した「2021年度予算組み替え提案」パネル

 

 市長は「健全な財政運営の観点や、適正な受益者負担の観点等から、多くの課題を抱えている。新型コロナ対策については国の動向を注視し、今後も機動的かつ弾力的に対応していく」と答弁しました。

 神田市議はそのほか、「小規模企業者、個人事業主向けの第2 弾の給付金」の支給を求めました。また、国民健康保険税の引き上げの撤回、市独自での35 人学級の前倒し実施についてとりあげました。

 

さいたま市議会インターネット議会中継(録画)

https://saitama-city.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=1811

2 月議会*議案質疑 1兆557億円 過去最大の予算を市民のくらし応援に使え

本会議で議案質疑をおこなう久保みき市議

 2021 年度の予算規模は一般会計・特別会計あわせて1 兆557 億円。過去最大の予算規模です。2 月3 日、2 月議会本会議で久保みき市議が「過去最大規模の予算を市民のくらし応援に使え」という立場で、議案に対する質疑にたちました。

 予算案では、新型コロナウイルス感染症の影響等により個人所得が減り、市税が102億円の減となる見込みです。久保市議は「これだけ見ても、新年度は市民のくらしが大変きびしくなると予想される」と指摘し、新年度の市民の平均所得見込額を質しました。その結果、平均給与所得見込額は約357 万円(前年度比▲ 18.5 万円)、65 歳以上高齢者の平均所得は147 万円(前年度比▲ 2 万円)であることが明らかになりました。

 清水勇人市長は「行財政改革」の名のもとに高齢者・障害者福祉、医療の分野で次々と削減や制度の廃止をおこなってきました。久保市議が新年度予算における福祉削減の影響額を質したところ、約28 億円、2010 年からの積算総額は約160 億円になることが明らかになりました。つまり、清水市政が誕生してからの11 年間で約160 億円の福祉削減をおこなったということになります。

 一方で、東京オリンピック・パラリンピック関連予算は約6 億7000 万円です。久保市議は「いま、この予算が必要とはどうしても思えない」と指摘しました。

国保税が5 年連続で値上げ

 国民健康保険税の値上げの議案が出されました。実に5 年連続の引き上げであり、久保市議が影響額(市民負担増額)を質しました。その結果、影響額は約4 億円、影響を受ける世帯は約15 万世帯、5 年連続の税率引き上げにより約12 億円の市民負担増が明らかになりました。同時に、介護保険料も3年に一度の見直しの時期となり、引き上げになります。

市民生活への具体的な支援は?

 久保市議は「それでは、市民のくらしを応援するための具体的な予算は検討されたのか」と質疑しました。財政局長は「私立幼稚園の入園料補助事業の創設、就学援助世帯へのオンライン学習費の支給の実施など」と答弁。他自治体では、新型コロナ対策として独自に給付金の支給や上下水道料金や学校給食費の減免等をおこなっていますが、本市の新年度予算ではまったく計上されていません。

障害者施設職員にも検査を

 新型コロナ対策として高齢者施設の新規入所者と職員等へのPCR 検査等費用補助の議案が出されましたが、障害者施設が対象となっていません。久保市議は「2020 年12 月議会決議では、高齢者・障害者施設への支援を求めた。市内の障害者施設は感染者を出さないために大変な苦労をしている。なぜ高齢者施設のみなのか」と質し、保健福祉局長は「障害者施設は入所者の年齢層が若く、現時点でクラスターが発生していないため」と答弁。久保市議は「障害者施設でクラスターが出たら大変なことになる。クラスターを出さないために障害者施設を対象にするべきではないのか」と質し、局長は「クラスターを発生させないことも大事だ。今後の状況を見つつ適切に判断したい」と答えました。

犯罪被害者等支援条例が実現へ

 

 最後に、久保市議自身も議会で何度も実現を求めてきた「さいたま市犯罪被害者等支援条例の制定について」の議案について質しました。この間、さいたま市は条例制定に向けて有識者などと懇話会を開催してきました。久保市議は、先進市である兵庫県明石市が、条例制定後もよりよい支援のために何度も条例の見直しをおこなっていることを紹介し「今回の条例案では、見直し時期の規定がない。有識者との懇話会で必要性が述べられていたはず」と質しました。市民局長は「条例制定後も犯罪被害者の支援内容については見直し時期を明記すべきであり、有識者等の意見を聴取し反映することが必要と意見をいただいた」として、見直し時期の明記はしなかったものの、今後も懇話会の開催やアンケート実施など、必要に応じて対応すると答弁しました。

 質疑後、久保市議は「いままでさいたま市は、犯罪被害者に対しなにひとつできることがなかった。条例制定で、被害者への心のケアと経済的支援が可能になる。大きな苦しみを背負った被害者に温かい手を差し伸べるさいたま市への第一歩だ」と述べました。

2月議会*学校給食費を減免して 請願の紹介議員に

 2 月議会に向けて、「新型コロナ対策として学校給食費を減額・免除するよう求める請願」が緑区と桜区の保護者有志から出され、党市議団として紹介議員になりました。

 請願では、埼玉県内で26 自治体が学校給食費の減額や無償化にとりくんでいることが紹介され、さいたま市が給食費の値上げをしたことを指摘。新型コロナによる経済悪化の影響は今後も続くことを考え、他自治体のように、すべての児童生徒を対象に減額・免除をおこなうよう求めています。採択に全力を挙げます。

2 件の意見書(案)を提出

①行政検査の全額国費負担を求める

② 児童福祉施設最低基準(保育所関連)の引き上げを求める

 議会運営委員会に諮られ、全会派一致となれば国に送致されます。

高齢者施設職員のPCR 検査補助 これでは足りない

 さいたま市では昨年12 月から高齢者施設に新たに入所する人に限りPCR 検査をおこなうための上限2 万円の補助制度をはじめました。また12 月議会での「新型コロナ感染症に関する検査体制の拡充等を求める決議」を受けて、1 月からショートステイ利用者にも広げ、高齢者施設職員を新たな補助(上限9000 円)対象に加えました(すべて1 人1 回限り)。その後、1 月15 日に埼玉県が高齢者施設職員対象にPCR 検査を全額公費負担でおこなうことを発表しました。

 当初、PCR 検査の対象が濃厚接触者とクラスターに限られていたのが、幅広い国民の運動と世論におされて対象が少しずつ広がり、さいたま市も小出しではありますが対応をはじめました。

 

 しかし、さいたま市が「最も安い検査価格」を基準に補助に上限を設けたのは問題です。施設によっては自己負担が発生するおそれから検査協力にちゅうちょしかねません。党市議団としては、引き続きさいたま市に対し、自己負担なく定期的なPCR 検査を対象を広げておこなうことで感染拡大防止に積極的に取り組むよう求めます。

12月議会*請願をちからに 新型コロナ検査体制の拡充求める決議あがる

保健福祉委員会で質疑をおこなう神田よしゆき市議

 12 月議会で、党市議団が紹介議員となった請願をもとに「新型コロナウイルス感染症に関する検査体制の拡充等を求める決議」があがりました。

 新型コロナウイルスに対して最大限の警戒が必要なこと、そして医療機関や高齢者施設等においてクラスターが発生している実態を踏まえ、市に対して

①高齢者施設、障害者施設等の入所者や従事者に対する検査の実施を支援するなど、検査体制を拡充すること。あわせて、これらの施設における感染拡大防止対策の実施に要する費用について、さらなる財政支援を行うこと、

②高齢者施設、障害者施設等が必要なサービスを継続して提供できるよう、事業継続に資する新たな支援制度の創設を国に対して働きかけること、

③保健所等に大きな業務負荷が発生している状況を踏まえ、積極的疫学調査、検査等の専門性の高い業務に十分な人員を投入することができるよう必要な人材を確保し、保健所等の体制を強化すること、

の3 点を求めました。

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