議会報告

市職員の生活保護費不正支給 原因究明と再発防止を

予算委員会(保健福祉委員会関連)で生活保護の不正支出について質疑するたけこし連市議

 3 月3 日の臨時本会議において、桜区役所で起きた生活保護不正支給について市長が行政報告をおこないました。

 この問題は、桜区福祉課で経理担当の職員が生活保護費の支出の不自然さに気づいたことをきっかけに、1271 万円の不正支出が1 月に明らかになったのものです。市は現在、警察と協議しながら調査をしており、詳細は不明な部分が多く残されていますが、原因究明が必要です。また他に不正支出がないか点検をおこなうとともに、再発防止に向けたプロジェクトチームの立ち上げが表明されました。

 

 さいたま市は過去にも公園事務所で同様の問題が起きており、市議会も調査特別委員会をたちあげ、再発防止の提言をおこないましたが、ふたたび不正支出が起きてしまいました。過去の教訓が生かされていないことは明らかです。公金支出のシステム面でしっかりとした再発防止策が必要です。

 コロナ禍のもとで市民の生活は厳しく、憲法25 条の生存権を保障する生活保護制度の重要性は増しています。党市議団は、この事件を機に生活保護が受けにくくなることがあってはならないと考えます。扶養照会をおこなわないことなどとあわせ、生活保護をちゅうちょなく利用できる制度にしていくために引き続き取り組んでいきます。

2月議会*追加議案質疑 新型コロナワクチン接種体制整備に約13億円

本会議で追加議案の質疑をおこなう神田よしゆき市議

 2 月議会に補正予算案が上程され、3 月3日、本会議で議案質疑がおこなわれました。党市議団から神田よしゆき市議が質疑にたちました。

 先議分として、新型コロナウイルス感染症対策としてワクチン接種の体制整備に約13億2600 万円、新型コロナの影響で売り上げが減少している市内小規模企業等への給付金支給事業に約20 億7000 万円が計上されました。神田市議が給付金支給の対象者を質し、「前回の給付と同様、個人事業主については市内で事業をおこない、市内に住民登録がある方が対象」との回答でした。

 これら先議分の予算案については党市議団も賛成し、議案は可決されました。

PCR 検査費用補助 障害者施設等や妊婦へ拡充

 障害者施設等の新規入所者および職員がPCR 検査を受けた場合の補助として約2600 万円の予算が計上されました。検査の補助額は新規入所者については2 万円、職員については9000 円が上限、「障害者施設等」とは市内の障害者支援施設、障害児入所施設、グループホーム、短期入所施設等を対象とのことでした。また、通所施設への補助は検討していないことが明らかになりました。神田市議が「施設職員へは定期的な検査が必要ではないか」と質しましたが、市は、現時点では定期的な検査はおこなわないと答弁しました。

 さらに、妊婦へのPCR 検査の費用補助をおこなうために6192 万円の予算が計上されました。2021 年の対象者見込みは3096人と試算されています。神田市議の質疑により、PCR 検査の補助額は2 万円が上限で、市外で検査を受けた場合でも支払われること、また里帰り出産等、埼玉県外医療機関で検査を実施した場合でも償還払いによる補助を行う考えであることが明らかになりました。今後、予算委員会で審議がおこなわれます。

予算員会*文教 「義務教育学校」で 大規模校解消はできない

義務教育学校の設置例(さいたま市教育委員会資料より抜粋)

 武蔵浦和駅周辺地域に「義務教育学校」をつくる計画が発表され、2 月議会の文教・予算の両委員会で質疑がおこなわれました。

 この計画は、人口増加にともなう小・中学校の学校規模適正化のためとして、現在の内谷中学校と浦和大里小学校の2 校をそれぞれ1 〜4 年生の校舎、沼影小学校と沼影プールの跡地に5 〜9 年生の校舎をつくり、一体的に運用することで適正化を図るとの計画です。

 想定されている児童生徒数の規模は、1 〜9年生まであわせて3600 人であることが分かりました。過大規模校をはるかに超える規模となるにもかかわらず、「義務教育学校には大規模校・過大規模校の定義はあてはまらない」というのが市の言い分です。

 金子あきよ市議は質疑で、先に義務教育学校を設置してきた茨城県つくば市は「大規模になることのデメリットが大きく、小中分離型施設の方が教育的効果が高い」という検証結果のもと、もう義務教育学校はつくらない、という方向性を打ち出したことを指摘。しかし市は「成果を上げている例もある」として江東区立有明西学園の名前を挙げました。

 

 ただ有明西学園は32 学級988 人、学区も選択制で、本市の計画とは規模も性格もまったく違います。金子市議は「子どもたちが置き去りになっている。計画は撤回し、地域に真に必要な小・中学校の整備をおこなうべき」と求めました。

予算員会*文教 さいたま市に公立夜間中学校を

予算委員会で文教委員会関連について質疑をおこなう金子あきよ市議

 3 月2 日、予算委員会(文教委員会関係審査)で金子あきよ、松村としおの両市議が質疑をおこないました。

 はじめに金子市議は、川口市立芝西中学校陽春分校だけでなく、県内の自主夜間中学に、生徒として3 名のさいたま市民が通っている実態を示し、「文部科学省もすべての政令指定都市に夜間中学設置を促進する方針。市は夜間中学開設の決断すべき」と求めました。あわせて夜間中学校の生徒も就学援助制度の対象とするよう求めました。

特別支援学級教員の正規化すすめ質の向上を
 
 また金子市議は、特別支援学級での不適切指導の内容と該当する教員の身分(臨時的任用教員が1 名、本採用教員が1 名)を確認したうえで、「教員の専門性、質の確保が焦眉の課題。臨時任用教員を正規化するための計画はあるのか」とただしました。教育委員会から「特別支援教育における教員の専門性は重要。採用計画を見直し、特別支援学級における臨任率を下げることに努める」との答弁がありました。

 さらに、GIGA スクール構想に基づき1人1 台端末がスタートしますが、どの授業で1 日何時間使用する想定か、電磁波の健康への影響について質しました。市は「どの授業でも、いつでも端末を使うことが可能。利用する時間は明確に定めていない。電磁波については総務省のリーフ『電波と安心な暮らし』を学校に配布する」という学校任せの答弁でした。金子市議は電磁波過敏症の発症を確認し対策を取った自治体もあると紹介し、市として対策をとるよう求めました。

 このほか、義務教育学校計画、給付型奨学金制度導入、就学援助オンライン学習通信費に対する支援の内容などについてそれぞれ質しました。松村市議は市民会館おおみやに関わる予算の財源内訳を質問。市債194 億370 万円、一般財源60 億8577 万4000円であることが示され、「現地建て替えに比べてはるかに上回る支出。財政の使い方という点で問題だ」と指摘しました。

 

武蔵浦和駅地域の義務教育学校については別の記事で紹介しています。

予算員会*総合政策② 市職員が率先してジェンダー平等の推進を

予算委員会で総合政策委員会関連の質疑をおこなうたけこし連市議

 3 月1 日、予算委員会(総合政策委員会関連2 日目)でたけこし連市議が質問にたち、女性管理職の登用について質疑をおこないました。さいたま市子育ておもいやり・女性活躍推進プラン(2021 年度〜)では、一般行政職の女性登用率の目標値が管理職で14%から27%、監督職で25% から40% と大幅に引き上げられています。たけこし市議は一定の評価をしつつも、女性の割合が特に低い局長、部長、次長級のそれぞれで女性登用率の目標値を持つべきだと求めました。

緊急雇用で労働者をまもれ

 市は昨年6 月、新型コロナウイルス感染拡大の影響で解雇や雇い止め、内定取り消しになった市民を会計年度任用職員として緊急雇用をしました。たけこし市議は「3 月末は雇い止めが相当数増える。緊急雇用として労働者をまもるのは行政の役割だ」として、再度の実施を求めました。市は前回の募集20人に対して任用が8 人であったことを理由に「来年度は予定していない」と答弁。あわせて求めた「支援としての学生雇用」についても「来年度の状況を見ながら必要性を検討する」との答弁にとどまりました。

核禁条約発効をうけたとりくみを

 たけこし市議は、さいたま市平和都市宣言の「核兵器の廃絶と世界の恒久平和実現に貢献する取り組みをおこなう」の一文を引用し、今年1 月22 日に発効した核兵器禁止条約に関する市のとりくみを求めました。市は「新たな取り組みは考えていない」「戦後75 年経過しているので、若い世代の方たちに意識を醸成していくことに重点的に事業を進めている」と答弁しました。質問を終えたたけこし市議は「核兵器禁止条約の発効とともに人生を歩む若い世代にこそ意義を伝える必要があり、取り組みがないのは大変問題」と述べました。

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