議会報告

6月議会*総合政策 コロナ禍でも差押え1671 件

総合政策委員会で質疑をおこなう久保みき市議

 久保みき市議は、債権回収事業についてとりあげました。コロナ禍で市民のくらしは大変な状況であり、税の滞納者は増えることが予想されます。国も自治体に対し、「コロナ禍での納税が困難な方への対応はていねいにおこなうよう」事務連絡を出しました。にもかかわらず、さいたま市は昨年度1671 件も差押えを強行しました。党市議団には、差押えにあった市民から窮状が届いています。滞納者への市職員の暴言や強権的な対応は許されるものではありません。支払い能力に応じて支払い能力に応じて分納を認めるなどていねいな対応を求めました。

 続いて災害時の避難について、桜区は水害時に区外に広域避難することになっていますが、遠距離の避難は移動が大変です。久保市議は避難所をできるだけ身近な場所に設置するよう求めました。市も広域避難のリスクを認め、いままで水害時に開設しないとされていた指定避難所となっている小学校等の2 階以上に避難所を開設する、と方針を見直す考えを示しました。

緑区 市立病院旧病棟 解体へ

 6 月18 日、保健福祉委員会にて、市立病院旧病棟(緑区)の解体に関する報告があり、松村としお市議が出席しました。

 市立病院旧病棟は2020 年8 月に解体着手予定でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大に備え、解体が延期されてきました。3 月1 日より発熱外来が設置され、インフルエンザ流行期が終了する6 月末まで運用。また医療従事者への新型コロナワクチン接種の会場としても活用され、6 月末で接種は完了しました。

 今後については、旧病棟は空調施設が使用できず、夏場の発熱外来としての使用が困難であることから、新病棟の隣接地に仮設のプレハブで発熱外来を設置。入札などをおこない、旧病棟は9 月以降に解体工事に着手する予定です。

6月議会*文教委員会 オリパラ学校連携観戦が中止

文教委員会で質疑をおこなうたけこし連市議

 6 月18 日の文教委員会で「東京2020 オリンピック・パラリンピック競技大会に関する学校連携観戦チケットのキャンセル」の報告があり、金子あきよ、たけこし連の両市議が出席しました。

 

 市教育委員会の報告によると、オリンピックの「学校連携観戦チケット」を利用して市内すべての中学2 年生および3 年生を観戦させる予定でしたが、それを取り止め、市が申請した2 万3000 人分すべてのチケットをキャンセルしたとのことです。

 たけこし市議が、中止を決断するに至った理由を質したところ、市教育委員会は「オリンピック観戦時にPCR 検査の陰性証明が必要との報道があった。陰性証明が必要になった場合、2 万3000 人分の検査予算を確保できるか不透明だった。また校長会から『集合・解散時に密をつくらないのは難しい』『交通手段が公共交通に限定されており、1グループ40 人の児童が移動するのは困難』などの意見が出された。保護者からも不安の声が寄せられたため」などと答弁しました。

 

 たけこし市議は「オリパラ学校連携観戦は、コロナ禍以前の事業にもかかわらず、計画を再検討しなかった。直前まで放置した結果、ただでさえ多忙な教育現場にさらなる混乱をもたらしたことは問題」と話しました。

6月議会*議案討論 契約書面のデジタル化 障がい者の利益を損なうおそれ

本会議で議案に対する討論をおこなう金子あきよ市議

 6 月16 日、6 月議会の先議議案について本会議で討論・採決がおこなわれ、金子あきよ市議が「さいたま市指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備、および運営の基準等に関する条例等の一部改正」について、反対の討論をおこないました。

 この議案は、乳児院の長の任用要件を厳格化することや、指定障害福祉サービス事業者等や児童福祉施設、家庭的保育事業者などがデジタルで記録を保存することを可能とするとともに、障害福祉サービス施設、事業所が利用者に対して提供する支援サービスの内容を決定する契約時に取り交わされる書面等をデジタル化してもよい、という内容です。

 

 障がい福祉サービスは制度上も多岐にわたり、障がい支援区分によって受けられるサービスや費用負担について違いがあるなど、大変複雑なしくみです。障がい者や家族などが契約の内容を理解するうえで、確実に紙で契約内容が手元に残ることが大切です。障がいの状況、程度などによっては、書面をデジタル化することの承諾をどう取るのかも問題になります。

 金子市議は「デジタル化されたときに、契約や同意に関わるトラブルが生じる懸念があり、国において講じるべき防止策が現時点ではまったく明確になっていない。このまま交付・説明・同意等のデジタル化だけを進めるのは、障がい者の利益を損なうことになりかねない」として反対を表明しました。

6月議会*一般質問 いまこそ市立の知的障がい特別支援学校設立を

本会議で一般質問をおこなう久保みき市議

 6 月15 日、6 月議会本会議にて久保みき市議が一般質問にたちました。

 はじめに、市立の知的障がい特別支援学校の設立を求めました。久保市議は10 年前から、特別支援学校の教室不足問題を議会でとりあげ続けてきました。いま、市内の特別支援学校の教室不足は深刻化し、待ったなしの状況です。久保市議は「人口100 万人以上の政令市で、市立の知的障がい特別支援学校がないのは全国でさいたま市だけ」と述べ、教育長に対して早期の決断を迫りました。教育長は「2021 年3 月に県・市の両教育長で意見交換をおこない、双方の強力な連携のもと具体的な方策を検討することにした」と答弁しました。久保市議は「協議している間に子どもたちは卒業してしまう。具体的な方策は学校の設立しかない」と強く求めました。

特別天然記念物サクラソウを守れ

 次に、久保市議は、2018 年の一般質問に引き続き、田島ヶ原サクラソウ自生地(桜区)のサクラソウが絶滅の危機に瀕している問題をとりあげました。2018 年の質問の際に久保市議が求めた要注意外来生物のトウネズミモチの伐採が実施され、国庫補助がつき、サクラソウのDNA 解析や、生育環境調査なども実施されました。その結果、サクラソウの株数は2020 年47 万株とさらに減少したものの、今年は61 万株と10 年ぶりに上昇しました。しかし、ピーク時の2003 年の235 万株に比べれば、約4 分の1 です[図1]。

 

[図1]サクラソウ推定生育個体数の増減(さいたま市資料をもとに作成)

 サクラソウ自生地はA 区からE 区に区分けがされています。分布を見てみると[図2]A 区では減少が著しく、大変な状況です。一方、B 区では増えてきていることが分かります。B 区では、2019 年にかん水チューブが設置されました。専門家が「かん水チューブの効果でサクラソウが増えた」と評価していることも踏まえ、久保市議はA 区においてもかん水をおこなうよう求め、市も前向きな答弁をしました。

 

 

[図2]サクラソウ分布比較(「さくらそう通信」をもとに作成)

 また、田島ヶ原サクラソウ自生地はサクラソウのほかにトダスゲ、レンリソウなどたくさんの絶滅危惧種が生息しています。大都市のなかでこれだけの絶滅危惧種が見られる場所は世界でもまれです。この自然を全力で守り抜く市の決意と、保全予算を増やすことについても確認しました。

説明会は義務ではない

 続いて久保市議は、障がい者のグループホーム設立時の説明会について質しました。グループホームは障がい者施設と違って、やや大きめな戸建て住宅というのがほとんどです。利用者にとって、朝仕事に出かけて夜帰ってくる、住み慣れた地域で生きていく「家」です。さいたま市は障がい者のグループホームの必要性を認め、増やす方向性を示していますが、設立は100% 民間事業者まかせです。しかも本市の場合、設立にあたっては近隣住民を集めて説明会を開催しなければならず、近隣住民の理解得るための市の支援は得られず、民間事業者の負担が大変重いのが現状です。

 久保市議はそのことを指摘し、「説明会の開催は、義務ではないはずだ。法律でも義務にはできない。ところが本市は説明会の開催を必須にしている。その理由はなにか」と質しました。市は「障がいのある方が、地域のなかで自立して生活していくうえで、地域住民の理解と協力が必要であるから、説明をお願いしている」と答弁。久保市議は「ほかの政令市を調査したが、本市のように説明会を必須にしているところはない。改善すべきではないか」と迫りました。市は「説明会が義務でないこと、また、住民に同意を求めるということではないことは十分に理解している。今後は時期や方法について他市の状況を見ながら検討していく」などと答弁しました。

 その他、桜区の水害対策、動物愛護行政についてもとりあげました。

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