議会報告

2023年12月議会*一般質問 文化財も自然も守るために

12月6日、12月議会の一般質問に久保みき市議がたちました。内容は1、文化財保護と自然保護について 2、循環型社会に向けて 3、防災について 4、別所沼公園の釣り糸等被害について 5、学校のウサギ等の飼育についてです。

さいたま市の文化財の数は政令市で3番目であるのに対し、文化財保護予算はとても少なく、管理が行き届いていないと指摘し、桜区塚本荒川堤外にある「薬師堂のマキ」は入り口案内の看板はなくなり、説明看板は浦和市のままだと写真を示しました。「もっと予算を増やし、政令市3位にふさわしく保護、管理するべき」と主張したのに対し、市は「看板については順次直していく」と答弁。質問後すぐに説明看板は浦和市からさいたま市に変わりました。

 

「薬師堂のマキ」周辺にはハンノキの自然林があります。さいたま市の蝶であるミドリシジミの食性に必要なハンノキ林は、全国的にも貴重です。準絶滅危惧種の植物も多く貴重な自然が残っています。堤外は農地としては認められていますが、居住はできません。そのために農作物の盗難や不法投棄の温床となっています。久保市議は「このままでは貴重な自然が失われてしまう。国は、生物多様性からさらに進んだ『ネイチャーポジティブ』の考えを示している。ネイチャーポジティブとは、自然は資本である。人類存続の基盤としての健全な生態系を確保し、生態系による恵みを維持し回復させ、自然資本を守り活かすとりくみをしていくということ、その立場に立って塚本、荒川堤外里山を守るべき」と求めました。

 

また、荒川第2調節池の建設現場が隣接していますが、調節池内水路(囲ぎょう堤脇)は保守点検が楽なように3面張り水路という底も両サイドもすべてセメントで固めたかたちになる予定です。これでは生態系や景観に配慮することが難しく、水の流れが早くなり、水生植物や魚などの生息・生育に適した環境を作ることができない、二面張り水路や土水路にすべきと国に意見すべきと提案しました。

 

さらにサクラソウ自生地の保全についても質問しました。作業員の勤務日数が減らされた問題、伐採が必要な樹木が残されている問題などを指摘しました。市は、「伐採については検討する」と答弁しました。

 

生ゴミのリサイクルを求めて

 

2では、「生ごみ、まだ燃やしますか?」と切り出し、「生ごみは水分量が多く、燃やすためには多くのエネルギーが必要。現在のペースで生ごみを焼却し続けるのは、限界が来ていると指摘している専門家もいる」とし、生ごみのリサイクルを求め、ゼロウエイスト宣言に向けてとりくむよう求めました。市は、生ごみリサイクルにとりくんでいくと前向きな答弁をしました。

 

3については、2019年の台風19号で甚大な被害が出た、桜区油面川流域の対策として整備された油面川排水機場の計画されているポンプの増設について質問しました。今年6月の大雨では、排水機場の稼働により浸水は免れたものの、油面川の水面は路面ギリギリのところまで来ていました。ポンプを早く増やすべきと求めました。さらに鴻沼川流域についての対策について質問したところ、市は、県が決めていると答弁しました。久保市議は「市独自では、なにもしないということか」と強く迫り、市は「できることはしていく」と答弁しました。

 

釣り糸 ポイ捨てしないで

 

4は、別所沼公園の釣り人がポイ捨てした釣り糸、針によって多くの野鳥が苦しんでいる実態を、片足を失ったバンの写真や釣り糸が足に絡まりついた鳥の写真で示しました。公園のごみ拾いの徹底と「ポイ捨て禁止」の啓発の看板を大きな効果的なものに変えるよう求め、市は、清掃、看板、改善すると約束しました。

 

5は「ウサギを飼育する際の適正温度は、18〜24℃。気温の変化に弱いウサギは、室内飼いが望ましい」と指摘しました。ウサギは草食動物で、丸1日(半日とも)絶食状態になると内臓に障害を起こし、最悪の場合死につながることがあるといわれていますが、学校は土日が休日で多くの学校のウサギたちは丸2日絶食状態で、「確実に動物虐待と言える行為」と強く指摘しました。学校で動物を飼育する目的は、生命の大切さや思いやりの心を育てることであるはずです。それがもはや、大切な命をそまつにあつかっていいという教育になっており、学校での小動物の飼育を見直すべきと求めました。市は答弁で、飼育方法を改善することを約束しました。

2023年12月議会*一般質問 24時間使えるAEDを小学校の正門にも

一般質問をおこなう池田めぐみ市議

12月5日、12月議会の一般質問に池田めぐみ市議がたちました。

6月議会の一般質問で24時間使えるAEDの設置拡大を求めたところ、中学校58校の正門への設置が、市内企業からの2000万円の寄付で実現。次は、市の責任で、小学校正門への設置と公共施設での屋外設置の見解を市に問いました。

 

池田 中学校正門へのAED設置の進捗状況は。

 

教育長 12月1日時点で、58校中38校の正門にすでに設置。今年度中に全市立中学校に設置完了予定。今後は、誰もが有事の際に迷わずAEDを取りに行くことができると考える。

池田 中学校設置のあとは、小学校の正門にも設置してほしいという声が多い。教育委員会が「正門のAEDが地域のシンボルになる」というのならば、小学校の正門へのAED設置を、強く要望する。

 

教育長 小学校正門への設置は、安全度をさらに高めることにつながると認識しているが、まずは、中学校の正門等へのAED設置による成果や効果等について検証していく。

 

池田 「いのちを守る政策」については、市が責任をもってやっていくべきと考える。市は公共施設のAEDについても、屋外設置を検討しているのか。

 

保健衛生局長 公共施設での24時間使えるAEDの設置は、必要性の高いものと認識している。屋外設置実績のある自治体から情報収集するとともに、庁内関係課による意見交換会を開催するなど、AEDの屋外への設置実現に向けて検討している。

 

池田市議は、今後、本市がAED設置の先進事例となるよう、進めてほしいと要望しました。

 

  浦和画家 瑛九のアトリエを残して  

 

「鎌倉文士に浦和画家」という言葉があるように、関東大震災後、浦和に画家たちが移り住み、アトリエをかまえたことから、浦和は絵描きの町として有名になりました。池田市議は、名だたる絵描きが住んでいたという足跡を残すことが今後のさいたま市にとって重要と考え、解体が迫る浦和画家、瑛九のアトリエの保存の手だてと、浦和画家の調査研究について質問しました。

 

池田 瑛九は1951年に浦和に移住、48歳で亡くなるまでたくさんの作品を制作した。アトリエは瑛九の死後、妻の都さんが2018年に102歳で亡くなるまで大切に保管されてきたが、現在、解体の危機。市ができる保存の手だてはないのか。

 

副教育長 文化財を保護していくには、市の文化財指定制度と国の登録有形文化財制度の2つがあるが、文化財指定には、通常2年以上の調査や審議が必要。年内解体のアトリエは、時間の確保が課題で難しいと考える。

 

池田 2016年に埼玉県が近代和風建築について調査をし、最終的に139件に絞ったなかに、浦和画家の奥瀬英三さんのアトリエも入っていたことから、奥瀬アトリエは11月に文化財指定が決定している。今後、浦和画家を大切に考えるならば、市が責任をもって保存する努力が必要。手遅れにならないよう調査しデータベース化するなど、市にできることはないか。

 

副教育長 浦和画家は、市の宝として後世に伝えていくべき貴重な歴史文化資産。今後、市が策定予定の「さいたま市文化財保存活用地域計画」のなかで、浦和画家のアトリエのデータベース化も反映できるよう検討する。

 

池田市議は、11月に本太5丁目のアトリエを見学し、質問に臨みました。その後、瑛九アトリエを生かす会に所属し、年内の解体前の、庭の木やアトリエの部材の分与に参加。「市民が今後保管することになる棚や窓枠などを展示・再現する機会をつくるため、今後も努力したい」と話しました。

 

そのほか、浦和駅周辺のまちづくりについて、「田島大牧線の高砂小学校前の横断歩道残して」という市民からの強い要望を取り上げ、市は県警と協議することを約束。また、受動喫煙を減らすためのコンテナ型の喫煙所を提案し、市街地開発事業の完了後、実際の歩行導線などの確認を行いながら、設置の可否について検討すると答弁がありました。

 

レジャープールのあり方については、こども基本法(4月1日施行)を根拠に、20代から70代対象のWEBアンケートを取り直し、実際にプールを利用している「こどもたちの声」を反映させるよう求めましたが、市は、個別施設の検討をおこなう際に、こどもの意見の聴取方法について検討するという回答。廃止反対多数のパブリックコメントや、プール存続を要望する署名を受け、市民に寄り添うかたちにプールのあり方を改めるよう、強く求めましたが、市は、「理解いただける方向性を見出せるよう努める」という答弁でした。

 

「議員は市民の味方である」という立場で質問した池田市議は「さいたま市が、市民の声を聞く姿勢があるかどうか、それぞれのテーマで明らかになった」と話しました。

12月議会開会 市長等特別職報酬と議員報酬引き上げ議案が出される

議案に対する質疑をおこなうとばめぐみ市議

11月29日に開会した12月議会には、市長提出議案が78件提出されました。

 

内訳は条例案18件、一般議案45件、補正予算案7件、人事議案5件、先決議案1件です。

 

議案第194号は議員、議案第195号は市長などの特別職の給料・報酬月額を表のとおり引き上げるとともに、期末手当の年間支給月数も3.30カ月から3.40カ月へ引き上げるものです。さいたま市特別職報酬等審議会からの答申を受けるかたちで提案されました。一方で「現下の厳しい社会経済状況等を踏まえ」1年間、市長等特別職の給料月額を据え置くこととする議案第196号があわせて提出されました。据え置くくらいなら、はじめから引き上げの提案をしなければよいのではないでしょうか。

 

特別職報酬等審議会でも、経済状況が厳しい今は引き上げることに市民理解が得られない、という意見が少なくありませんでした。党市議団は、議員報酬も特別職給料も引き上げるべきではない、という立場で臨みます。

 

また、人事委員会の勧告に基づいて市の職員給与の引き上げが提案されています(議案第197号、199号)。一般職員については正規非正規を問わず、引き上げがおこなわれるべきです。 再生資源物の屋外保管に関する 条例案出される 鉄、非鉄、廃材などが運び込まれ保管されているいわゆるスクラップヤードで、その保管や搬入時の騒音、振動などによって住民との間で起こるトラブルが問題となってきました。議会でもそれが指摘されるなかで、屋外に保管された再生資源物の不適切な保管による火災・延焼その他の事故等を防止するとともに、騒音、振動等の発生を防止、軽減するため、屋外保管場の設置に関する事前手続き、許可に関する基準等を定め、違反した場合の勧告、命令や許可の取り消し、検査などについて定める条例をつくるものです。

 

党市議団にはこれまでも、資材置き場の規制を求める相談が寄せられ、条例の制定が必要だと主張してきました。提案された条例案は、再生前の有価資源物が規制の対象外となっていること、現存する保管場に対する規制が不十分なことなどの課題があります。条例が実効性あるものになるよう、論議を尽くします。

 

女性支援施策の前進を  

 

女性自立支援施設の設備及び運営の基準に関する条例の制定(議案第207号)が出されました。これまでの婦人保護施設は「売春防止法」を根拠法としていましたが、これが廃止され、来年4月に施行される「困難女性支援法」に則り、女性の権利を守り、利用者の希望を尊重しながら支援をする場として、女性自立支援施設の運営がおこなわれることになります。法改正にともなう条例の制定ですが、さいたま市は政令指定都市でありながらこれまで婦人保護施設をつくってきませんでした。条例はあっても、その対象となる市の施設はなかったのです。

 

新「困難女性支援法」で、市町村に具体的な施策を推進する責務があることが明確にされたなかで、女性支援施策の前進を図るためにも、市が新たに女性自立支援施設を設置・運営することが必要であり、条例制定とともに設置を求めていきます。

 

沼影公園が廃止!

 

武蔵浦和駅周辺地域の児童生徒数の増加に対応するとして義務教育学校武蔵浦和学園の建設計画を進めるため、その用地として沼影市民プールを含む沼影公園を廃止する条例案が出されました。プール存続を求める市民の声も、浦和大里小学校に代替プールを急造することへの反対も無視して、屋外プールおよびアイススケート場を2024年4月1日、屋内プールを廃止し、公園全体を2025年7月1日に廃止することを定める内容で、認められません。

 

あわせて、沼影市民プールの解体工事請負契約(8億7560万円)についての議案第250号、沼影市民プールの代替候補地を検討するための補正予算(2695万円)も組まれています。党市議団はこれらの議案にあくまで反対し、プール存続を求めます。

9月議会報告会を開催 再開発は 市民の声を聞いて

党市議団は11月4日に大宮区で市政報告会をおこないました。

 

はじめにたけこし連市議が2022年(令和4年)度決算について報告しました。市は、予算をつくる段階では「146億円不足」と説明していましたが、一般会計で59.6億円の黒字、基金総額は895億円で過去最高となりました。社会保障費をけずり込んで帳尻をあわせる一方で、決算審査では財政局長が「建設費における予算の上限額は決めていない」と答弁。大宮駅GSC化構想をはじめ大型公共事業には湯水のように税金を使う姿勢が明らかになりました。

 

またたけこし市議の質問で、市民所得の中央値は246万円、その階層にいる市民は16万人であることが明らかになりました。市は「物価高騰対策で101億円使った」と言いますが、そのほとんどは国からの交付金で、市の財政支出は6800万円、市民ひとりあたりに換算するとたったの51円です。たけこし市議は「市民の暮らしにとって必要なものを限界まで削り、ハコモノに熱中している」と厳しく指摘しました。

 

大宮小学校に集約駐車場?

 

金子あきよ市議は大宮駅周辺の開発計画について報告しました。大宮駅GCS化構想を詳しく説明するとともに、9月議会で議決された駐車場附置条例の改正(党市議団は反対)についても報告。大宮区役所跡地と大宮小学校の市有地に集約駐車場をつくることで大宮駅東口開発を進めやすくする市のねらいを明らかにしました。金子市議は「子どもの学ぶ権利より都市開発優先でいいのか」と投げかけました。

 

また金子市議は、桜木駐車場に商業や結婚式など多目的スペースを提供する施設がつくられ、市が土地を貸すことを議会に報告した、と話しました。「この地域には防災や渋滞対策など住民要望がさまざまある。コロナのワクチン接種会場にも使われた。市民の暮らしの立場から声をあげてほしい」と呼びかけました。

 

池田めぐみ市議は「レジャープールのあり方方針案」について報告。7月に行われたパブリックコメント(パブコメ)に歴代2位の905件の意見が寄せられており、多くが反対だったことを紹介。市民の意見を「市の政策等に反映させる制度」(要綱)と定めているパブコメなのに、「ほとんどの意見が無視された」と市の姿勢を批判しました。

 

待機児童がもともと少ない小学校がモデル校に  

 

久保みき市議は9月議会で議決された「放課後子ども居場所事業」(党市議団は反対)について報告しました。市の提案では17時まで全児童が利用でき、待機児童がゼロになるとしながら、今回予定しているモデル校(4校)では今春の待機児童はわずかだったことが議会質問で明らかになりました。モデル事業に選ばれた中でもっとも待機児童が多かった鈴谷小学校区でも、学区に新しい民間学童ができて待機児童は解消する見通しです。にもかかわらず、全児童が利用できる放課後子ども居場所事業がはじまれば民間学童保育の利用者が減りかねません。久保市議は「民間学童保育運営者に対する裏切り行為だ。子どもたちの放課後がよりよいものになるようにしたい」と話しました。

 

参加した市民からは「再開発はみんなの意見を聞いて、やってよかったと思えて弱者にやさしいまちづくりをしてほしい」「大宮小学校の卒業生として駐車場計画に驚いた。子どもを大切にする視点が市にないのは問題だ」「放課後子ども居場所事業の話はショック。今度どうなるのか、不安が大きい」「放課後子ども居場所事業は今後の検証が大事。1年ごとにしっかり検証してほしい」「市は多くの問題を抱えているが、変えるのは市民」などの声が出されました。また「身近な道路整備などで障がい者が利用しやすくしてほしい」「学校給食費無償化に向けた議会の動きはどうか」などの質疑応答もありました。

 

党市議団として市政の課題と現状を知らせるとともに、住民の願いが実現するよう引き続きとりくんでいきます。

 

参加者の感想

●開発を否定するわけではないが、市民の目線に立っていないことが問題。アリバイづくりのアンケートやパブコメはしくみを変えないといけない。

●はじめて参加した。市民としてお願いしたいのは、給食費の無償化、放課後の児童の安全、保護者の負担軽減。80代の私も、子育ての大変さに胸が痛む。未来のために、まずは子どものことを第一に考えてほしい。

●娘が台東区に住んでいるが、台東区には市民のスポーツ広場があり、ほんの少し土手になっているところに新しくガードレールがついたり、隅田川のほとりに小さな公園があったり、学校の近くの公園にはきれいなトイレがついていたりと、どこに税金が使われているのか見えやすい。一方で、さいたま市はどこに税金を使っているのか、少しも満足できない。住民の声を聞いた活動を期待する。

9月議会をふりかえって 座談会:さいたま市が「放課後子ども居場所事業」モデル事業を開始

9月議会に提出された、「放課後子ども居場所事業」のモデル事業について、久保みき、とばめぐみ、金子あきよの各市議が議論をふりかえりました(司会はたけこし連市議)。

 

たけこし 今議会で問題となった「放課後子ども居場所事業」ですが、どんな事業なのですか?

 

金子 小学校内の特別教室などを利用して、校区の児童であれば誰でも登録でき、定員のない「子どもの居場所」を提供する事業です。保護者の就労などの要件があれば夜7時まで、土曜日や長期休業中は朝8時から利用できるとしています。今回はモデル事業として4校(西区栄小、中央区鈴谷小、浦和区岸町小、岩槻区新和小)が選ばれ、来年4月1日からスタートする予定です。この4校の公設放課後児童クラブは廃止。今議会には事業の内容を定める条例案と現行の公設放課後児童クラブの廃止案、実施のための補正予算が提案されました。

 

たけこし 保健福祉委員会ではどんな議論がありましたか?

 

久保 9月15日の委員会では、全議員からさまざまな質疑が出ました。特に多かったのはこの4校の選定理由です。それぞれの待機児童は0〜5人と少ない。鈴谷小だけは26人であるものの、あらたに民設学童が開所されて待機児童はいなくなる予定で、市もそれをわかっていた。事業の導入目的としている「待機児童解消」は嘘ではないか、と大騒ぎになりました。もう1つの目的は、保護者会運営のクラブが分離、新設のときの場所探しが大変なので保護者の負担軽減のため、とのことでした。でも保護者会運営のクラブでは、委託費が少ないために事務職員が雇えず、保護者が支援員の面接をやったり、保育料計算をやったりと事務負担が大きい。そのため委託費を増額してほしいというのが願いなのに、その声には応えていない。私は到底納得ができませんでした。

 

たけこし 実態にも要求にも噛み合ってないってことですね。

 

久保 しかも、市は「今後、モデル事業による子どもたちへの影響などをしっかり見ていきたい」って言いながら2025年度も新たに展開するというんです。

 

たけこし モデル事業の検証もしないうちから次を用意している。もう全校実施を視野に入れてるんですね。

 

久保 それから支援員。放課後児童クラブの配置基準は子どもの数に応じて細かく決められています。ところがこの事業では20人に1人。放課後児童クラブとしての配置基準より手薄になってしまう。それからおやつの時間は5時とのこと。今の「3時のおやつ」が「5時のおやつ」になる。常識的に考えて、5時におやつって遅いですよね。いずれにしても子どもの安心・安全を守れる体制とは言えません。

 

3パターンの子どもが混在する

 

たけこし 補正予算が出たので、予算委員会でも問題になりましたね。

 

とば わかりやすくするため、図にまとめました(市議団ホームページ資料コーナーの市議団ニュースNo.1005参照)。Aが利用料8000円で7時まで利用できる子ども。Bが利用料4000円で5時まで利用できる子ども。A・Bは登録する子どもたちで、Cは、登録せずに学校で遊ぶ子どもたち。その他にチャレンジスクールが各校で実施されていますが、ABCの誰でもこのチャレンジスクールに参加していい、となっている。AとBの子どもには居場所事業として大人がつく、チャレンジスクールのある日はボランティアさんもいる。このABCが混ざった「居場所」のなかで、その子に誰が責任を持つのか、どう共有するのかを質すと、「わかるように引き継ぎをしっかりやります」という答えでした。そもそも誰が見てるかわからないのに、どうやって引き継ぐんでしょう。そういうあいまいな答弁がいろんなところで出てきました。

 

たけこし 学校のなかにA・B・Cと、3パターンの子どもが混在するんですね。

 

とば それを誰が判断できるのか、ってことです。Aの子どもは放課後児童クラブの子どもだから、支援員がわかるでしょう。だけどBの子どもは日替わりで、登録しているけど行くも行かないも自由だから、今日誰がきてるのか、ちゃんと出席取るのかっていうことも、よくわかってない。

 

金子 先行自治体では全校生徒の3〜4割が登録、そのうち半数が毎日利用する見込みのようですね。 とば 例えば600人の学校で200人程度の生徒が登録、来るのはその半分、と見込んでいるものの、最大200人来るかもしれないわけですよ。

 

たけこし その時、200人のランドセル、一体どこに置くんでしょうね。

 

とば 人件費の予算は、この事業全体で7000万円、4校で37人のうち7人が常勤職員(新和小1人、それ以外の3校は各2人)で30人はパートだということでした。放課後から最後までずっととおして子どもを見てくれる人はいるのかと質すと「いる」とは答えましたが、本当に検証できているとは思えないです。

 

金子 そうですね。こういう体制では、なにより子どもが不安ですよ。5時までの時間帯は、これまで放課後児童クラブでおこなわれていた活動はできない。「これまでどおりの子どもに寄り添った支援を受けたいという人は民設の放課後児童クラブに行ってください」と担当課長が答弁しました。びっくりしましたね。私は「わかりました。この事業では子どもに寄り添った支援はできない、ということですね」ときっぱり言いました。

 

とば それから担当部長の「この放課後子ども教室と放課後児童クラブは子どもを安心・安全に見守るということについては、なんら変わりはございません」って答弁もありました。放課後児童クラブの支援員というのは安心・安全に見守るだけじゃないわけです。事例研究して、もっと子どもを理解するにはどうしたらいいかってことをみんなで勉強してきて、子どもの豊かな放課後を保障してきたのが放課後児童クラブです。その人たちと長年付き合ってきた部長が、ただ見守るだけだって言い切った。この答弁も本当に許せなかったです。

 

各会派の採決態度は?

 

たけこし そういうなかで討論採決を迎えたわけですね。各会派の態度はどうだったんでしょうか。

 

久保 多くの放課後児童クラブ関係者の方たちが連日議会の傍聴に詰めかけたなか、私は先ほど申し上げた問題点を指摘して反対しました。維新は反対、自民党の井原市議(中央区)は退席でした。しかし賛成多数で可決されてしまいました。

 

金子 私たちは予算委員会でももちろん反対しました。しかし他の会派はていねいな説明をおこなっていくべきと言いつつ賛成、無所属の2人の議員は反対でした。維新は保健福祉委員会では反対でしたが、予算委員会では賛成しました。予算に賛成すれば結局事業はすすんでしまいます。

 

たけこし 準備不足なのは否めないなかでも市は押し通したし、議会も止めなかった、という関係だと思うんです。

 

久保 その影響が結局誰にいくかっていうと子どもたちです。

 

とば これからの居場所のあり方を厳しくチェックしていくことが必要ですよ。

 

たけこし 党市議団として、今後も言うべきことをしっかり言っていきましょう。

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