議会報告

2023年6月議会*一般質問 24時間使えるAEDの設置を求めて

質問をおこなう池田市議

30 人を越える市民が傍聴するなか、6 月13日、統一地方選挙後初の6 月議会で、池田めぐみ市議が初めての一般質問に立ちました。はじめに、24 時間使えるAED 設置を求めました。

 

池田 さいたま市の救急体制の現状は?

 

消防局長 2022 年の救急出動件数は8 万365 件。119 番入電から救急車到着までの時間は、2022 年が平均で9.6 分。

 

池田 命を守るのに時間も曜日も関係ない。救急隊到着までの時間に市民がAED を使うことはますます重要と考える。そこで、公共施設等でのAED の設置数をうかがう。

 

 

保健衛生局長 公共施設388 台。市内の公園に25 台。学校施設に168 台。社会教育施設に98 台。そのうち24 時間使用可能なAED は、学校施設等屋外に設置した11 台のみ。

 

池田 679 台のうち11 台は、少なすぎる。夜間、休日、職員不在時に使えるAED は必須。24 時間使えるAED の必要性をどう考えるか。

 

保健衛生局長 市長部局、教育委員会ともに公共施設に24 時間使用可能なAED を設置することで助かる命が増える可能性があるので、必要性は高いと認識している。

 

池田 屋外型収納ボックスを提案する。坂戸市は、市が中心となり屋外AED を増やしている。暑さにも寒さにも強い屋外用の収納ボックスを使い、屋外に設置することを求める。

 

保健衛生局長 屋外型収納ボックスについては、防塵や防水、温度管理や盗難防止など装備されている商品が複数存在する。適切にAED を管理できるか慎重に検討したい。

 

池田 さらなる普及のためには民間の協力も必要。お店の閉店後や終電後に使えるAED は少ない。東京都大田区では24 時間使えることを条件にAED 購入補助を実施している。本市でも、AED 購入補助制度等を新設することが市民の安心安全につながると思うが、市の見解は。

 

保健衛生局長 民間施設へのAED の設置については、自主的に取り組むことが望ましい。引き続きAED の啓発をおこなっていく。

 

その後、さいたま市教育委員会は15 日、市立学校の正門などにAED を設置する方針を決めました。池田市議は「一般質問でとりあげるために消防局や地域医療課、教育委員会、市スポーツ協会などにヒアリングしてきた。教育委員会の決断はうれしい。学校の校門に屋外設置することで、近隣住民も使いやすくなる。24時間使えるAED の設置を今後も拡大させたい」と話しました。

 

浦和駅周辺まちづくりは
地元の声をいかして

 

池田 浦和駅西口駅前整備のスケジュールと予算についてうかがう。

 

都市局長 市街地再開発事業の竣工予定である2026 年度目標。事業費は、8 億3900 万円。

 

池田 JR の浦和駅前の土地は1304 ㎡。負担割合は少ないと聞いていたが、駅前の事業費のうちJR の負担分はどうなるか。

 

都市局長 舗装や排水施設等の工事費を負担する予定。

 

池田 再開発にともないあさひ通りが廃止され、今後、県道さいたま草加線が封鎖される。駅前の交通状況が大きく変わるが、地元の方にヒアリングしたのか。

 

都市局長 都市計画道路高砂岸町線を整備することで、交通を確保したい。

 

池田 再開発は駅前が同じ顔になることが多い。公園の充実など、浦和らしさも大切。調公園のじゃぶじゃぶ池と、平和の灯のまわりの水を復活してほしい。

 

都市局長 市内公園全体の老朽化対策事業における優先順位や、修繕費用がどれくらいかかるか、調査し検討していく。

 

駅前広場の整備にかかる負担については、調査するなかで国鉄と旧浦和市が交わした昭和48 年の覚書が見つかり、それまで0円と言っていたJR 負担が変更され、「舗装や排水施設等の工事費はJR が負担する」という今回の答弁を引き出すことができました。その他、学校給食費無償化についても質問しました。

2023年6月議会*代表質問 市民の願い実現求めて7つの質問

質問をおこなう久保市議

6 月12 日、6 月議会本会議で、久保みき市議が代表質問に立ちました。今期初の代表質問ということで、ひとつ目に党市議団が求め続けてきた水道料金の引き下げと子ども医療費を18 歳年度末まで無償にすることを求めました。
長引く物価高騰で市民のくらしは大変な状況です。このような時に地方自治体は市民のくらしを応援する責務があります。しかし市の答弁は後ろ向きでした。

 

2 つ目には「虐待禁止条例の制定」を求めました。2020 年9 月定例会の代表質問で久保市議が求めた時、市長は「必要があれば検討できるとは思う。今は既存の法律、条例のなかで実効性をもっていくことが可能」と答弁していました。久保市議は、「本年2 月に南区、桜区で相次いで猫の死体の一部が発見されるおぞましい事件が起きた。既存の法律、条例では不十分であることが明らかになった。今こそ、市独自の子ども、高齢者、障がい者、動物を対象とした虐待禁止条例を制定すべき」と迫りましたが市長は答弁に立たず、副市長は条例制定を否定
しました。

 

3 つ目の質問は農業支援についてでした。オーガニックビレッジ宣言にむけて、計画と目標をもつことを求め、さいたま市の貴重な伝統野菜、特産物を紹介し、これらを守るためにも地産地消を進めて地域の種を守る条例の制定を求めました。市は伝統野菜、特産物の価値を認め、条例制定には踏み切らないものの種を守ることに力を注ぐ、と約束しました。

4 つ目の質問はアニマルウェルフェアについてでした。緑区で鶏の平飼いをおこなっている農家を紹介し、こうしたアニマルウェルフェアの取り組みを広げるために「認証制度」を設けることを提案しました。また、と畜場でのアニマルウェルフェアを求め、市は気温と湿度の管理、および給水設備や作業員における人道的な家畜の取り扱いを約束しました。

 

5 つ目は、犯罪被害者支援について。殺人・強盗・傷害・性暴力など犯罪被害は、被害者の心身に深刻な影響を与えます。多くの被害者はPTSD に苦しみます。治療においては臨床心理士によるカウンセリングが必須で、本市の犯罪被害者支援条例でもカウンセリングの必要性は示されており、助成金もあります。しかし、3 年以内という期限がついています。PTSD 等の精神疾患は長期にわたり被害者を苦しめ、多くの被害者は働くこともできなくなり、生活保護を受けざるを得なくなります。臨床心理士等の心理療法の多くは保険外診療としておこなわれるため、到底、生活保護受給者には捻出できません。久保市議は、犯罪被害者におけるカウンセリング費用は医療扶助として認めるべきと質しました。市は生活保護法の関係で医療扶助にはならないが、「精神療法」としてのカウンセリングは保険適用となり、医療扶助の対象になるとし、被害者に寄り添った支援を約束しました。

 

6 つ目は学校給食時間の共食を大切にすることを求めました。学校給食は食育に位置づけられ、食事を通して人間関係をよりよくすることや給食の時間が楽しい食事の時間であることが求められます。この3 年、コロナ禍で子どもたちは黙食を強いられて来ました。コロナ対策の名を借りて、子どもの権利を侵害するような実態がありました。そして今でも班にならず前を向いたまま「共食」からほど遠い給食の時間になっている学校があります。子どもたちの97% が「班にして食べたい」と回答した保護者実施のアンケート結果を示し、共食を求めた久保市議に対し、教育長は共食のすばらしさを認め「校長会でさらに強く言っていく」と答弁しました。

 

最後に、旧埼玉県衛生研究所跡地利用についてとりあげました。さいたま市はここにスポーツシューレを整備しようと動いています。2018 年に「住みよい桜区をめざす連絡会」が市に公園と高齢者の集いの場所の設置を求める
要望書を提出し、公園の設置は約束されていました。ところが、スポーツシューレの整備が決まったため、久保市議は、スポーツシューレの敷地の一部に公園の整備を求めました。

2023年6月議会*議案討論 議員の海外派遣ひとり80万円 党市議団は反対

6 月8 日、さいたま市議会本会議で「議員の海外派遣」について審議がおこなわれ、賛成多数で可決されました。党市議団からは松村としお市議が反対の立場で討論をおこないました。

 

今回の海外視察は、さいたま市が姉妹都市提携をしているアメリカ合衆国ペンシルベニア州ピッツバーグ市に5 日間の日程で、かかる費用は派遣される議員1 人あたり80 万円としており、市議会議長を含む4 人の議員(立憲、さいたま自民、自民党市議団、公明から各1 名)が渡米する予定です。

松村市議は「姉妹都市への友好親善を図ることは必要だが、その際は、議会を代表する議長など参加人数を最小限にとどめることが必要だと考えている。しかし今回の議員派遣は、最小限の参加人数とは言えない。費用や行程も含め、市民の厳しい目線が議会に注がれている」として反対しました。

また、他議員の質疑により議員の海外派遣がおこなわれる2 日後にさいたま市立高校等の生徒がピッツバーグに研修に行く事業が予定されており、その際の高校生の自己負担は70 万円にのぼることが明らかになりました。

文教委員のたけこし連市議は「海外派遣と中高生の研修については直接的な関連性はないものの、同じピッツバーグに行くのに議員は80 万円が全額公費で高校生は70 万円の自己負担があることに疑問を持つ市民もいるのではないか」と話しました。

2023年2月議会*本会議討論 市民の暮らし支える予算に今こそ転換を

討論をおこなうとりうみ市議

 3月3日、2月議会最終本会議において、とりうみ敏行市議が、2023年度当初予算の反対討論をおこないました。

 

 とりうみ市議は「令和5年度予算の特徴は、ポストコロナを見据え、さいたま市の新時代へのシンカにとりくむ予算としているが、その内容は、コロナ禍と異常な物価高騰に喘ぐ現下の市民生活の苦境にこたえる予算とはなっていない」と厳しく指摘しました。

 

 総合政策委員会関連では、「公共施設マネジメント基金積立金は認められない。これは、『公共施設マネジメント計画・第2次アクションプラン』の策定にあたって公共施設の予防保全費用として、30年にわたって毎年50億円積み立てるもの。市は当初、2044年度までに1200億円が必要としていたが、あまりにも不明瞭な試算」と指摘しました。文教委員会関連では、「教育データ可視化システム『スクールダッシュボード』は今年度の実証実験を受け、本格導入するには一定期間が必要。1月にプロトタイプ(試作品)の配布をして、新年度からの本格導入、というのはあまりにも拙速。導入業者についても、公開性や公平性を担保できる入札ができるとは言えない」と述べました。

 

 次に市民生活委員会関連では、「市の温室効果ガスの2050年排出量ゼロのための削減目標が2030年で35%であり、政府目標の46%に届いていないのは問題だ。早急な引き上げと対策を求める」と求めました。また、保健福祉委員会関連では、4月の認可保育所入所の利用調整で、2253人が不承諾となったにもかかわらず、公立保育所を減らすのは言語道断、として公立保育所半減計画に反対しました。まちづくり委員会では、浦和駅西口南高砂市街地再開発事業について、「投入されている公的資金について質疑するたびに答弁が変化し、莫大な公的資金が投入されるのではないかとの懸念が払しょくできない」と厳しく批判しました。また、「沼影市民プールの廃止は認められない」と強く主張しました。最後に企業会計関連では、「水道料金の6カ月間の無償化を求める」と主張しました。

2月議会を終えて 団長談話を発表

 2月議会で審議された2023年度当初予算は、日本共産党さいたま市議団以外のオール与党の賛成で成立しました。その額は、全会計の合計約1兆1280億円でさいたま市史上最高額となりました。

 

 一方で2018年以降の国保税、介護保険料、学校給食費などの市民負担増は、総額で約62億2000万円にのぼります。新型コロナ対策予算は、総額約158億円に対して市の一般財源からの支出は約15億円、割合は9.6%にとどまりました。

 

 また、市民のみなさんと党市議団が求めた水道料金の負担軽減に関しても、入所系施設(約800施設)に対して10%の減免措置を4カ月間おこなうというもので、かかる費用は約5000万円とのことでした。これでは市民の負担軽減とはほど遠く、あまりにも不十分だといわなければなりません。

 

 新年度は、「2都心4副都心構想」に約132億円の大金がつぎ込まれます。「大宮駅GCS化構想」はもとより、民間再開発事業に公共施設を併設し、巨額の税金を使って再開発を誘導する手法が目立ちます。浦和駅西口南高砂再開発には、総事業費約670億円のうち、税金が約250億円、さらに「市民会館うらわ」にかかる費用が約167億円で、あわせて417億円に及び、約62%が市民の税金となります。党市議団は、このような市民生活を無視した予算は認められません。

 

 なお、追加提出された教育委員の任命議案では、対象者が埼玉りそな銀行の会長経験者であり、教育委員会と財界との関係強化につながる懸念から反対しました。

 

 また、党市議団が提案した「さいたま市議会における統一協会(世界平和統一家庭連合)と政治家との関係についての徹底調査及び関係を断ち切ることを求める決議(案)」について、さいたま自民党市議団の反対によりまとまらなかったことは非常に残念であり、市議会の姿勢が問われます。

 

 私たちはこれからも、市民生活に背を向けるオール与党政治に厳しく対峙し、「市民の命とくらしの砦」として全力でかんばります。

 

 

日本共産党さいたま市議団団長 とりうみ 敏行

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