政策と活動

新市庁舎移転事業費 221億円から400億円へ大幅増

さいたま市がすすめる、さいたま新都心への市庁舎移転計画。11月8日、新庁舎整備等基本計画(素案)が発表されました。これまでの「基本構想」段階では議会や市民に対して移転事業費は約221億円と説明していました。

 

それが今回の基本計画の概算で事業費が約400億円に増加。市は、その要因を物価高騰などの単価増と面積増による本体工事費(調査・設計費、建設工事費)の増加、 当初見込むことができなかった外構工事等(その他工事費、 移転費)の追加としていますが、説明の段階よりも試算が大幅に増加しているのはそれ自体が問題です。

 

また、別棟で計画中の「民間機能」には「オフィス、商業店舗、宿泊施設などの可能性を引き続き検討」するとしています。  豪華な新庁舎にならないか、実際にかかる事業費がどこまで膨れ上がるのか、懸念されます。

 

今後も、市民の目線で厳しくチェックしていきます。

池田めぐみの日々発見! 意思決定の場に 女性を増やそう

田代美江子さん(埼玉大学教授)のお話を聞く

さいたま市議会では、春の選挙後、女性議員が60人中16人に増え、女性活躍推進議員連盟が立ち上がりました。また、女性の活躍を推進する議員連絡会も「ミモザの会」として活動を発展させています。会派をこえた学習会も精力的におこなわれ、党市議団の議員も積極的に参加しています。

 

10月30日、萩原なつ子さん(独立行政法人国立女性教育会館理事長)を講師に迎えた「男女共同参画社会のあり方について」の講演(女性議連主催)は、意思決定の場に男女両性がいることの重要性のお話でした。日本国憲法には「男女平等」が明記されているのに、社会規範、社会構造が変わっていない現実。日本のジェンダーギャップ指数の世界125位は、とくに政治の分野で低く、世界138位になっています。「女性らしく」や「女性ならでは」という言葉ではなく、「女性の経験に基づく視点」で新しい公共について考えること。そのためにデフォルト(初期設定)を変えていこうという提案でした。

 

また、萩原さんが関わった「としま100人女子会」についても報告がありました。2014年、「消滅可能性都市」に「豊島区」があげられたことから、このままではいけない!と豊島区に住む一般の女性たちが立ち上がった実践の話です。女性が真ん中で話し合いをすると、大きな開発よりも、子育て、地域、防災、公園、下町らしさなど、本当に大切なものが見えてきました。

 

意識の中に沁み込んでいるアンコンシャスバイアス(無意識の思い込み)。日々、意識を変えることが必要と痛感しました。

 

性は人権であり生き方である

 

11月2日、田代美江子さん(埼玉大学教授)を迎えた「ジェンダー平等と性の多様性について」の講演(ミモザの会主催)では、包括的性教育の可能性がテーマでした。性の話をするとき、秘密で、はずかしいというネガティブなイメージも大きいが、「性というのは、人権であり、生き方である」という認識を持つことで、性をポジティブにとらえることができる。性を学ぶことで、思いやりのある社会を構築することができる、というお話が印象的でした。学習会には教育委員会のみなさんも出席されていたので、いじめ防止にもつながる包括的性教育について、さいたま市でも、大切にすすめていきたいと思いました。

 

女性にやさしいまちは、子どもにも、高齢者にも、障がい者や、外国人にも、もちろん男性にも、やさしいまちになります。党派をこえて実現できること、とりくんでいきます。

開発優先で子どもたちは? 都内小学校を視察

9月議会でさいたま市教育委員会が大宮小学校(大宮区)の方向性について問われた際、同校周辺が「大宮駅前にぎわい拠点と位置付けられており、小学校のあり方について、将来を見据え、さまざまな案を検討している」と答弁しました。その事例として東京都中央区立城東小学校を教育委員会が視察したことも明らかになりました。これを受けて11月2日に金子あきよ、久保みき、松村としおの各市議が城東小学校を視察して実態を確認しました。

 

同校は東京駅から徒歩5分のところにありますが、学校敷地を含む地域で再開発がおこなわれ、245mの再開発ビルに組み込まれるかたちで建て替えられました。

 

同校は再開発ビルの出入り口とは離れた1階部分に玄関を持ち、4階+地下のなかに教室や体育館、「校庭」が入っています。各学年最大2クラスまでで全体は小規模です。教室は通常どおりですが、ビルに組み込まれていることから全体として窓が少なく、子どもの声が再開発ビルに漏れないよう防音対策がほどこされています。校庭は50m走の直線コースと70mトラックに簡素な遊具がわずかにあるばかりで、音漏れ対策として屋根がついています。さらに再開発ビルに合わせた建築のため4階建てでありながら7階相当の高さになっていると説明もありました。

 

全体として子どもの成長・発達を保障することよりも再開発を優先させていることがうかがえました。

 

視察した松村市議は「さいたま市も駅前再開発を次々と進め、子どもたちが後回しになってきた。大宮小学校が再開発の犠牲になってはならない」と話しました。

さいたま市議会条例検討プロジェクトチーム ネット上の誹謗中傷等対策に 超党派でとりくむ

ガラス張りの電話ブース

近年、インターネット上の書き込みによる個人情報の流出や、誹謗中傷等の深刻な被害が社会問題となっていることから、さいたま市議会では、党派をこえてとりくむ「インターネット上の誹謗中傷等対策に関する条例」検討プロジェクトチームを設置しました。党市議団から池田めぐみ市議がメンバーとして参加し、他市の条例を学び、大学教授の講義や、さいたま市のいじめ防止シンポジウムに参加し、ネット上での問題点の聞き取りなどをおこなってきました。

 

誹謗中傷対策については、2020年に群馬県が日本ではじめて条例を制定し、相談窓口を設置しています。先進事例を学ぶため、11月2日、プロジェクトチームで群馬県前橋市にある「公益社団法人被害者支援センターすてっぷぐんま」を視察し、池田市議も参加しました。

 

2022年度から県の委託を受けている「すてっぷぐんま」は、現在、常勤・非常勤スタッフ含めて、20人体制。「犯罪被害者支援」「性被害者支援」「インターネット上の誹謗中傷相談窓口」の3つがおもな事業で、誹謗中傷について、メールや電話で相談を受けつけています。これまでの相談件数は、電話370件、メール513件、面談38件。圧倒的にX(旧Twitter)でのトラブルが多く、名誉棄損やネットいじめ、プライバシー侵害などの相談に対して、弁護士や警察、教育委員会と連携しながら対応してきたお話をうかがいました。

 

施設内には、ガラス張りの電話ブースも設置されています。1件の相談につき2人体制で対応することで相談員が複数で相談にあたり、専門知識を補完したり、研修につながっているとのことでした。

 

池田市議は「理念条例で終わらせてしまうのではなく、相談窓口をつくり、広くお知らせすること。相談が増えてもそれは成果ではなく、インターネット上での誹謗中傷が減少するよう、どうインターネットリテラシーを向上していくか。さいたま市民のためになる条例づくりにむけてとりくむ」と話しました。

先行自治体の千葉市を視察 放課後子ども居場所事業の課題は?

市役所の職員から話を聞く(左から2人目から)久保市議、金子市議

「さいたま市放課後子ども居場所事業」は、来年度から4校でのモデル事業がスタートします。先行自治体の実態把握のため、11月2日、久保みき、金子あきよの両市議が、千葉市役所を訪れ、担当職員から話を聞きました。

 

もともと千葉市では全小学校内に公設民営の「子どもルーム(放課後児童クラブ)」が設置されていましたが、2017年以降、「旧放課後子ども教室(さいたま市のチャレンジスクールに相当)」と「子どもルーム」の一体化によるアフタースクール整備がすすめられています。アフタースクールは2023年4月時点で107校中34校に設置。2030年までに約9割の学校への整備が計画されています。登録児童数は全学年では3〜4割、1年生に限定すると6割〜7割です。その結果、「子どもルーム」の待機児童数は2018年の638人から2023年の71人へと大幅に減少しました。

 

計画的な移行がすすめられているようですが、アフタースクールと学校との連携が課題です。「学校教職員の負担がまったくないと言ったら嘘になる。負担を最小限にとどめるための配慮が大事」(生涯学習振興課長)として、施設使用に際してのルールや責任の所在、連絡調整の方法などについての「運営マニュアル」を紹介されました。また、整備が急速に進むことで人材確保が困難になることも予想されています。そのなかで長年かけて培われてきた「子どもルーム」の実績や保育内容のよさをどう残すか、ということも課題となっています。

 

視察を終えた金子市議は「全校に公設の『子どもルーム』がある千葉市と、放課後児童クラブの4分の3を民設に頼っている本市とでは、一体化事業への移行の条件が大きく異なる。視察によって、本市の計画の拙速さをあらためて感じた。一体化事業のなかでプログラムを運営するには、民間事業者のノウハウが必要になる実態も分かった。子どもの気持ちが大切にされているのか、利用者の経済的負担が大きくならないか、なども懸念される。今後、議会でこうした点を追及していきたい」と話しました。

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