政策と活動

スクールダッシュボード 導入中止を

申し入れ書を手渡す党市議団

さいたま市教委は「GIGAスクール構想」のもと、スクールダッシュボードというシステムの開発を推進しています。児童生徒の個人情報、成績や学習の状況、健康状態など「学校現場で日々蓄積される教育活動に関するデータ」を相互に関連させ、集約して管理するシステムとして、1月から全校での試行、4月からは本格運用が予定されています。しかし、その効果や課題を検証するのに十分な準備期間はなく、性急に導入されようとしていることに対し、党市議団はその問題点を指摘、12月18日、導入中止を求める申し入れをおこないました。

 

システムの中では、「心の天気」と呼ばれるような児童生徒のその日の気分や気持ち、内面の状況まで入力させて集めるしくみになっており、党市議団には保護者や市民からの不安の声が多数寄せられています。子どもの人権と内面の自由を侵し、児童生徒と学校教育に関わるデータの安全性を担保できないスクールダッシュボードの導入は中止することを引き続き強く求めます。

子ども医療費 高校卒業まで無料へ

申し入れ書を手渡す党市議団

2023年12月議会で清水市長が子ども医療費を高校卒業まで無料にすることを表明(質問者は公明党市議)。党市議団としても2022年9月議会「高校生までの医療費無償化に対する請願」に賛成(結果は不採択)し、2023年6月議会でも久保みき市議が一般質問で求めるなど、要求してきたものです。

 

一方で、これまでの議会質問で市は必ず「所得制限や自己負担」にふれてきたことから、高校卒業まで延長した場合の制度設計に懸念がありました。そのため、12月18日に党市議団として申し入れをおこない、将来にわたって所得制限や自己負担を導入しないよう求めました。

 

担当課は「2024年4月スタートには準備が間に合わないが、2024年度中には実施したい。所得制限や自己負担は考えていないが、持続可能な制度にするため検討はしていく」と答えました。党市議団は、子育てにかかる費用は社会的に負担し、財源は所得に応じた負担でつくるべきと考えています。引き続き、学校給食費の無償化も求めていきます。

都市農業とむきあって 市内農家や畜産農家の声を 議会にとどけるために

さいたま市は、広大な見沼田んぼ、荒川、綾瀬川、元荒川流域に広がる豊かな水田地帯を中心に、県内有数の農地面積を誇り、野菜、花卉、果物、米、種苗・植木などの生産も活発です。

 

一方で、農業従事者の高齢化、担い手不足、農地の減少が止まらず、厳しさを増しています。1980年には7428戸だった総農家数は2020年には2998戸まで減少。本市の総世帯数が年々増加するなか、総農家数の割合(農家率)が激減しています。

 

農民連は7月、「稲作経営の1戸あたりの農業所得は年間1万円、時給はわずか10円 」と発表しました。この3年間で生産に必要な燃料は4割上がり、餌は5割上がり、肥料は7割も上がっています。さいたま市はこの厳しい農家の現状に対してしっかり支援ができているでしょうか。市は昨年の農業振興事業補助金を20事業用意しましたが、実際に申請し活用した農家はのべ56件のみ。なぜ利用しないのかというと、「自分の家の農業にあったものがない」「手続きが面倒で条件も厳しい」という声が多くありました。

 

国連は、2019年から2028年までの10年間を「家族農業の10年」と定め、今年がちょうど折り返し時期です。とばめぐみ市議は9月議会で「市の農政が家族農業を守り抜くという立場で進められているのか」を厳しく問いました。2022年度の日本の食料自給率は38%、2030年度までに45%に引き上げることを目標としていますが、その実現のために、各地方自治体が地元の農家を支え、農業を守り拡充するくことが必要です。

 

県内外の視察を重ねる

 

とばめぐみ市議が副委員長を務め、池田めぐみ市議も所属する総合政策委員会では、今年度の研究テーマを「都市農業」とし、研究・学習にとりくんでいます。9月には農業振興施設見沼グリーンセンターの農場や果樹園を視察し、本市がおこなっている園芸講座、園芸相談、農業技術改善のための実験や試作等の取り組みを学びました。また米の生産者、有機農業にとりくむ若者たち、市の就農研修卒業生のお話もうかがいました。「先祖からの田んぼを守りたい」「自然や食を大事にしたい」「地産地消の社会に変えたい」「安全な食物を食べたい」等、あつい思いをもってとりくんでいることが分かりました。一方で、この夏の異常な暑さによる苦労や、農業では食べていけず家族の収入で生活しているという実態、新規就農者が自立独立するためにはあまりにも支援が不十分であることなどが切々と語られました。

 

また、委員会として、福岡市の総合的な農林業政策、久留米市で大学卒業と同時に家の農業を継ぎ、農業を中止に飲食業や美容サロンに事業を拡大した青年の1日1万袋の水菜を出荷するハウス、JA全農・JAさが・佐賀市が連携しキュウリの大規模多収栽培実証施設「ゆめファーム全農SAGA」など、九州地方の農業の視察もおこないました。  とば市議は「農業は奥が深く、政治との接点も多岐にわたる。市内農家や畜産農家の生の声を集めて、議会に届けたい」と話しました。

*大宮区*桜木駐車場に新たな商業施設建設計画

桜木駐車場用地は大宮駅西口のほど近くにある約 2.7ヘクタール の公有地です。暫定的に市営駐車場として利用され、新型コロナワクチンの集団接種会場などにも活用されてきました。

 

市は以前からこの土地について、官民連携による「東日本の対流拠点形成に資する機能の導入」の実現と周辺まちづくりとの連携を図ることを目的に、民間事業者が主体となる用地活用事業を推進する、としてきました。

 

2016年時点では貸付けにより民設民営のMICE(マイス)施設(*)誘致が目指されていましたが、サウンディング型市場調査で業者に意見を聞くなかで実現が難しいという結果になり、計画が変更された経緯があります。しかしその後も、民間事業者から提案を募る公募式プロポーザル方式での事業化が進められてきました。

 

9月議会での報告によると、実施した公募について、3者からの提案があり、「さいたま市営桜木駐車場用地活用事業者選定委員会」において審査した結果が市長に答申され、この答申を踏まえて、優先交渉権者が大和ハウス、JR東日本グループに決定しました。提案された内容は、用地2.7ヘクタールのうち1.8ヘクタールの土地に商業施設、フィットネス施設、オフィスなどの複合施設を建設しようとするものです。

 

5つの建物を含み、それぞれは2〜5階建てで、相互に回廊で結ばれる構想になっています。貸付料は年1億3800万円、貸付期間は35年です。

 

まちづくり委員会で報告を受けた金子あきよ市議は「党市議団はこれまで、周辺が住宅密集地域であることから、事業を進めるに際しては近隣の住民の要望に沿った計画とすること、防災機能を持った計画にしていくことなどを求めてきた。選定委員会の附帯意見のなかにも・地域の方々と十分な協議をおこない事業にとりくむこと・周辺の住環境に十分配慮した計画とすること・市が整備する広場との連携を深めた計画とすること、などが明記されている。周辺地区のまちづくりの推進とともに、今後の計画進行に住民の声をいかしていくことが必要だ」と話しました。

 

*MICEとは、会議(Meeting)、報奨・研修旅行(Incentive Travel)、国際会議(Convention)、展示会・見本市、イベント(Exhibition/Event)の頭文字。多くの集客交流が見込まれるビジネスイベントなどの総称。

公共交通の助成金 政令市も対象にせよ ~国会へ陳情~

国への予算要望の懇談に参加するとば市議

11月9日、日本共産党埼玉県議団と日本共産党さいたま市議団との連名で、来年度の政府の施策と予算編成に対する予算要望書を提出し、各省庁と懇談をおこないました。党市議団からとばめぐみ市議が参加し、塩川てつや衆議院議員も同席しました。

 

要望では、政治のおおもとからの転換を訴えつつ、県民が切実に願う医療や福祉、介護、教育等の充実や負担軽減を掲げ、118項目の要望のうち、暮らしを底上げする14項目について実効性ある対策を求めました。

 

厚生労働省には、国が国民健康保険税率の統一を都道府県に求めていることについて「保険税統一の押しつけをやめ、国の責任で財政措置をとらなければ、医療を受けられず命を落とすことにもなりかねない」と厳しく指摘。厚労省は「保険税の統一は都道府県と市町村がよく議論して理解を得ながら進める必要がある」とし、あくまで統一の方向を崩しませんでした。「猛暑から命を守るために生活保護世帯に夏季加算の新設」の要望に対しては「生活保護世帯の光熱費が特別高くなっているというエビデンス(証拠)はない」という冷たい答弁。塩川衆議院議員が「それは電気代が高くなることを恐れて我慢しているからだ。命にかかわる」と指摘しました。

 

文部科学省には「県立高校のタブレットは国庫負担とすること」や「現在の義務教育におけるタブレットの支給については入替時にも全額国庫負担とすること」を求め、文科省は政府の経済対策に盛り込まれるのではないかと示唆。

 

とば市議は国土交通省に対して「地域公共交通確保維持事業の助成金は政令市と中核市を対象外としていることがコミバスやデマンド交通の拡充を妨げている。政令市における都市化は一部に集中し行政区間に大きな格差を生み出し、政令市のなかに過疎地を生み出している。政令市・中核市も対象とすべき」と強く求め、国交省は「実態を調査して検討する」と答弁しました。

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