政策と活動

放課後子ども居場所事業でスキマバイトアプリ?! 子どもの安心安全が守れるのか

さいたま市が今年度からモデル事業を開始した「放課後こども居場所事業」は、地域の子どもたちに対し、安心して過ごせる放課後の環境を提供することを目的としています。小学校施設(校内)を活用し、登録した児童が過ごす場として、今年度は4校、来年度はさらに9校拡大することが提案されています。

 

ところが市議団に対して、保護者から「放課後子ども居場所事業の職員が『タイミー』で募集されている」という声が寄せられました。「タイミー」は、「空いた時間を有効活用したい人や、すぐにお金を稼ぎたい人にピッタリなスキマバイトを紹介するアプリ」と説明され、履歴書不要・面接なしですぐに働くことができるとうたわれています。当然、資格の有無は問いません。

 

保育や教育の現場では、職員が子どもたちとどのように接するかが極めて重要ですが、履歴書の提出や事前の面接が省略されることで、その人物の適性や人間性が十分に把握されないまま、放課後子ども居場所事業の現場にスポット配置されることになります。1日(数時間)だけ働くことも可能なため、頻繁な職員の入れ替わりや、毎日異なる職員が子どもたちと接する状況は、子どもたちにとってストレスとなり、健やかな成長を妨げるリスクが高まります。

 

こうしたことから党市議団は、7月29日に市に対して申し入れをおこないました。内容は、タイミーを利用した職員募集方法の見直し、実態調査、そして適切な職員研修の実施です。この申し入れに対し、市の担当課が十分に状況を把握していないことが明らかになり、今後、対策を検討することを約束しました。その結果、8月からタイミーを通じた職員の募集について、停止はしないものの、資格を持つ人材に限定した求人とするよう、放課後子ども居場所事業の委託業者に通知した、とのことでした。今後は事前研修も実施される予定ですが、モデル事業の時点でも人手不足が深刻なことがあらためて明らかになりました。

画期的な戸別収集で課題解決へ ごみ問題で藤沢市を視察  

職員から話を聞く(左から)久保みき市議、金子あきよ市議

7月25日、金子あきよ、久保みきの両市議は、ごみの戸別収集をおこなっている神奈川県藤沢市を視察しました。

 

燃えるごみの集積所では、ネットをかぶせてもカラス等による被害が深刻で、それを清掃する住民の負担の大きいのが実情です。分別がされず出されたごみは収集されず、シールが貼られ、いつまでもその場に残っていることもあります。そのため、ごみ警察ならぬ住民が監視しているような状況も発生しています。高齢化で集積所まで出しに行くのが大変など、さまざまな課題があります。このような課題解決のため、藤沢市では戸別収集を2007年から実施しています。実施した当初、ご高齢の方から泣いて喜ばれたそうです。いかにごみ出しが大変だったか分かります。戸別収集は、各家の前にコンテナやバケツに入れて出されるので、カラス被害はゼロです。

 

藤沢市では、可燃ごみのほか、ビン、カン、ペットボトル、本、廃食油を戸別収集しています。車両を改造して、併せ収集を実施し、一度に2品目以上収集することで時間と経費を削減しています。また、分別の徹底でごみの減量に成功しています。2012年から商品プラスチック(バケツ、洗面器、タッパーなど)を資源化しているのも画期的です。これらの商品プラスチックを原料に公園のベンチをつくるなど、リサイクルの地産地消をおこなっています。また、タンスなどの大型ごみにおいては、宅内から出すことが困難な高齢者、障がい者世帯などに対し持ち出しのサービス(福祉大型ごみ事業)を実施しています。

 

視察した久保市議は「きめ細やかなごみ行政を学べて、とても有意義な視察だった。さいたま市政にも生かしたい」と話しました。

子どもたちを熱中症から守ろう 教育委員会に申し入れ

7月19日、党市議団は竹居秀子教育長に対して「子どもたちを熱中症から守るための対策を求める要望書」を提出しました。

 

要望書では、「今年の夏も猛烈な暑さが続いており、埼玉県内における熱中症による救急搬送状況は、4月から7月までで合計1687人となっており、8月以降も増えることが想定される」として、小中学校および市立高等学校において、引き続きの熱中症対策を求めました。具体的には、①中学校および市立高校における部活動などの実施基準については、暑さ指数(WBGT)を厳守すること②今秋におこなわれる運動会・体育祭については、児童生徒の応援席に日よけのためのテントを設置すること。来年度以降の運動会・体育祭については、子どもの健康が守られる時期に開催するよう実施日程を検討すること③小中学校体育館および小学校特別教室へのエアコン設置を急ぐことを求めました。

 

竹居教育長は「さいたま市の子どもたちを熱中症から守るために知恵を絞っていただいたことを感謝する」と応じ、工夫しつつ子どもたちを熱中症から守っていくことを確認しました。

子ども居場所事業 不安の声つぎつぎ  

市議団で鈴谷小学校(中央区)の放課後子ども居場所事業を視察。 写真は、QRコードで入室の手続きをしているお子さん

7月7日、さいたま市学童保育連絡協議会による2024年度議員・行政との懇談会「どの子も安心して過ごせるさいたま市の放課後を考える」がオンラインで開かれ、とばめぐみ市議が参加しました。

 

今年度よりモデル事業として4校で開始された「さいたま市放課後子ども居場所事業」に対し、保護者や指導員からさまざまな懸念の声があがりました。「児童数がパンク状態で分離・増設が急務だが、増設後に居場所事業がはじまったら事情が変わる。増設しなければ新入生は受け入れきれないので、保育所のように点数制を導入して子どもをふるいにかけるしかない」という声や、「この制度は5時までの放課後、5時からの放課後をつくり、遊びや活動を中断することになるのではないか」という切実な声が寄せられました。また、「学童保育と居場所事業はまったく別の事業だが保護者には分かりにくく、うまく説明できない」「居場所事業の広がりで、今の学童保育に勤め続けられるのか将来が不安」など働く側の声もありました。

 

なによりも求められているのは、国が用意した補助金のすべてを市が活用し学童保育の人手不足と経営難を支えることですが、それをしないで安上がりな居場所事業を拡大していこうとする市の姿勢は問題です。とば市議は「この事業は子どもの放課後をゆたかにするとはいえない。子どもの最善の利益を最優先するのは市の責任」と話しました。

【池田めぐみが現場を歩く】ICT教育 世界ではアナログ回帰が加速

「教育のデジタル化と学力」というテーマの市民学習交流会が、6月30日浦和コミュニティセンターで開催されました。講師は、大阪教育文化センターの田中康寛氏。さいたま市でも児童生徒1人一台タブレットを謳い「教育のデジタル化」が進められていますが、ICT機器を使うこと自体が手段ではなく目的になっていないか、警鐘を鳴らす内容でした。

 

世界に目を向ければ、IT先進国スウェーデン、フィンランド、ニュージーランド、ドイツでは、ICTに依存する学習により、文章能力や計算力などの学力が低下。デジタルからアナログに回帰する動きが加速しています。アメリカ、カナダでも、「SCHOOL NOT SCREENS(学校にスクリーンはいらない)」と、子どもたちが反対の声をあげています。脳科学の側面からアプローチすると、脳活動は、キーボードでタイピングしている時より、手書きの方が活発。記憶と集中にはデジタルより紙の方が効果的との論文が多数紹介されました。また、子どもたちの個人情報は、学習アプリを利用することで同意したとみなされ、学習データの他、検索履歴などの利活用が企業に利益をもたらしている点も指摘されました。

 

デジタル教育が先生との対面でのやり取りにとって代わるのではなく、あくまでも道具として使用することが重要です。子どもと先生との血の通った対話や教育環境を求めていきます。

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