放課後子ども居場所事業でスキマバイトアプリ?! 子どもの安心安全が守れるのか
さいたま市が今年度からモデル事業を開始した「放課後こども居場所事業」は、地域の子どもたちに対し、安心して過ごせる放課後の環境を提供することを目的としています。小学校施設(校内)を活用し、登録した児童が過ごす場として、今年度は4校、来年度はさらに9校拡大することが提案されています。
ところが市議団に対して、保護者から「放課後子ども居場所事業の職員が『タイミー』で募集されている」という声が寄せられました。「タイミー」は、「空いた時間を有効活用したい人や、すぐにお金を稼ぎたい人にピッタリなスキマバイトを紹介するアプリ」と説明され、履歴書不要・面接なしですぐに働くことができるとうたわれています。当然、資格の有無は問いません。
保育や教育の現場では、職員が子どもたちとどのように接するかが極めて重要ですが、履歴書の提出や事前の面接が省略されることで、その人物の適性や人間性が十分に把握されないまま、放課後子ども居場所事業の現場にスポット配置されることになります。1日(数時間)だけ働くことも可能なため、頻繁な職員の入れ替わりや、毎日異なる職員が子どもたちと接する状況は、子どもたちにとってストレスとなり、健やかな成長を妨げるリスクが高まります。
こうしたことから党市議団は、7月29日に市に対して申し入れをおこないました。内容は、タイミーを利用した職員募集方法の見直し、実態調査、そして適切な職員研修の実施です。この申し入れに対し、市の担当課が十分に状況を把握していないことが明らかになり、今後、対策を検討することを約束しました。その結果、8月からタイミーを通じた職員の募集について、停止はしないものの、資格を持つ人材に限定した求人とするよう、放課後子ども居場所事業の委託業者に通知した、とのことでした。今後は事前研修も実施される予定ですが、モデル事業の時点でも人手不足が深刻なことがあらためて明らかになりました。