政策と活動

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持続可能で豊かな人間社会のために ~コミバス学習会ひらかれる~

講演する可児紀夫先生

 11月13日、党市議団は、可児紀夫先生(元国土交通省職員、愛知大学非常勤講師)を講師に、コミュニティバス(以下コミバス)の学習会「コミバスをもっと便利な市民の足に」を開催しました。会場いっぱいの参加者が、熱心に学習交流しました。

 

交通権と

クロスセクターベネフィット

 

 はじめに、可児先生から「交通権」という新しい人権の概念のお話がありました。交通権は、重度障がい者の「私も外出したい」という切実な思いから誕生した、憲法第22条、第25条、第13条などに関連する人権が集合した新しい人権です。1998年に交通権学会が提案した「交通権憲章」は、人間の夢と喜びを可能にする交通権の実現によって豊かな社会を形成できるとされています。

 また、「公共交通においては黒字、赤字の考え方は間違いで、クロスセクターベネフィットの考え方が重要」と強調されました。クロスセクターベネフィットとは、「ある部門でとられた行動(出費)が、他部門に利益(節約)をもたらす」という考え方です。つまり、公共交通の充実にかかる費用は、経済効果や医療費削減などさまざまな効果を生み出すということです。例えば名古屋市の敬老パス(65歳以上は公共交通利用が無料)は、316億円の経済効果をもたらしたという結果が出ています(2011年度)。

 

先進事例に学ぶ

 

 続いて、便利なコミバスをめざすための国内外の事例がいくつか紹介されました。たとえばアメリカのオレゴン州ポートランドは世界一住みやすいまちと言われ、中心市街地は歩行・自転車・公共交通が優先です。市内の広い区間で路面電車は無料で、車いすの障がい者も広い歩道を楽しそうに散策し、電動車いすを利用する障がい者でもすべてのバス、電車をひとりで利用できます。

 岐阜県岐阜市では「市民交通会議」を設置し、市民と行政が協同して交通政策を作り上げました。人口約42万人の岐阜市で、コミバスと乗合タクシーは現在20地区で運行し、路線バスと連携して全市域を網羅しています。料金は100円で、コミバスの利用者推移も年々増加しています。先進的な事例の紹介に、会場からはどよめきがあがる場面もありました。

 

さいたま市で実現するには

 

 そして、可児先生から「さいたま市でも前に進めるために、(仮)市民交通会議を開催すること。実際に乗ってみること。行政に勉強会や出前講座を実施してもらうこと。さまざまな考えや立場の講師を呼んで勉強会を開催することが大事」とのお話がありました。

 また、「コミバス等導入ガイドライン」については、住民組織をつくるところから行政はいっしょになってやっていくべきだとの指摘がありました。「交通手段は生活実態に寄り添う交通を選択することが大事。幹線的なところはコミバス、地域の小さい枠組みではデマンド交通。地域のバスをたくさん走らせ大手のバスを補完する。民間路線バスと協同して路線をひく。運行については、土日に運行するとまちが元気になるので、土日の運行は絶対に実施していくべき」と話されました。

 最後に、「交通は衣食住とともに人間社会を支え、持続可能な社会を形成する。人間社会を豊かに広げ、文化を育む。交通は人権です」と強調されました。

 学習会にとりくんだ久保みき市議は「党市議団はこれまで、コミバスはどこまで乗っても100円、土・日も運行、30分に一本の運行を求めて議会でとりあげてきたが、なかなか前に進まなかった。本市のコミバスの運行は、『コミバス等導入ガイドライン』に則って行われているが、今年度はガイドラインの改定の年。新規導入に課せられた収支率40%を撤廃し、料金や運行などを市民の願いに沿ったものに変えていきたい」と話しました。

 

さいたま市の少人数学級 1日も早く前進を ~教育委員会に要望~

市教育委員会と懇談する「会」のみなさんと(奥左から)金子・とりうみの両市議

 11月9日、「学びと健康を保障する少人数学級を求める会」が市教育委員会に、少人数学級の推進を求めて要望を行いました。とりうみ敏行、金子あきよ、とばめぐみの各市議が同席しました。

 

 国の施策により段階的に小学校の35人学級が進められています。さいたま市は政令市の中で1学級あたりの児童数・生徒数がもっとも多くなっており、少人数学級実現を「できるだけ早く」「中学校でも」との願いは切実です。1年ごとの段階的実施だと、今の4~6年生は一度も少人数学級にならないまま卒業を迎えてしまう、ぜひとも前倒しでの実施を、と参加者が強く訴えました。

 

 教育委員会からは「要望の内容は理解できる」としながら「少人数学級の実現は国の根幹となる基盤整備であると考えている。引き続き国に対して要望を行っていく」という、これまでも繰り返されてきた答弁内容にとどまる発言がされただけでした。

 

 金子市議は「これまで会のみなさんが毎年取り組んできた署名などの力で少しずつ国の制度が変わってきた。今後の議会でも少人数学級の前進のため力を尽くしていきたい」と話しました。

高齢者の交通権を守るために ~まちづくり委員会視察~

堺市役所前で(堺市は世界遺産の百舌鳥・古市古墳群が有名)

 10月31日と11月1日、久保みき市議がまちづくり委員会の行政視察で岡山市と堺市に行き、交通政策について学びました。

 堺市の「お出かけ応援制度」は、65歳以上の方はバス、乗合いタクシー、阪境電車を、専用の「おでかけ応援カード」を使うと100円で利用できる制度です。コロナ禍の2020年10月から12月は、国の地方創生臨時交付金を活用して無償化も実施しました。この事業は、2004年に高齢者の社会参加を目的に、健康福祉局が5のつく日のみ、南海バスだけでスタートしていましたが、2013年に建築都市局が公共交通の利用促進を目的に事業化しました。初めは約1600万円の予算でしたが、今は約4億円の予算となっています。

 堺市の財政難は深刻で、昨年度、この事業が見直しの対象になり、対象年齢を65歳から70歳以上にする案が出されたものの、議会が否決する結果となりました。それだけ市民に必要とされている制度であることが分かります。

 そもそも高齢者の外出支援は、高齢者の交通権確保はもとより、生きがいづくり、健康増進(医療費削減につながる)、さらに外出することでの経済効果も大きいといわれています。実際、堺市ではこの制度で8.8倍の経済効果があったとのことでした。また、利用が増えるので交通事業者への支援にもつながります。交通政策を考えるときは、交通事業者を守ることも大事です。

 久保市議は「これからさいたま市も本格的な高齢社会になる。高齢者の交通権をどう守るか本気で考えていくときだ。議会でもとりあげていきたい」と話しました。

有機農業からはじめる循環型社会

木更津市議会前で

 10月28日、久保みき市議が有機農業支援について千葉県木更津市を視察しました。

 

 木更津市は2016年に「オーガニックなまちづくり条例」を制定し、有機米の学校給食活用を決めて、先進市である千葉県いすみ市に学び、有機農法を行ってくれる農家さん探しから始めました。2019年に5名の農家さんの協力を得て、有機米の栽培を1.8ヘクタールでスタートさせ、取れた有機米約3トンを全小中学校で3日間活用しました。全給食分の2.4%でした。2020年には5ヘクタール、約17.3トン、11.8%、2021年、15.4ヘクタール、約51トン、38.2%、2022年、20ヘクタール、84トン、57%、着実に増やし、2025年に100%にする目標です。有機米の仕入れに係る負担増分については、教育委員会において予算措置しています。

 

 さらに木更津市は今年度、国の地方創生臨時交付金を活用し、有機JAS認証への支援も行っています。また国の「オーガニックビレッジ」にも手を上げて、400万円の交付金を活用し、さらに有機農産物を広げる計画です。今、全国で53自治体がオーガニックビレッジになっていますが、国は2025年までに100自治体を目標にしています。さいたま市もこのビレッジの輪に入ってもらいたいものです。

 

 久保市議は「これから、地産地消がますます大事になる。さいたま市内には有機農業を営んでいる若い農家さんがいるので、そこへ支援をして、食の安全、捨てる文化から生かす文化、循環型社会をつくっていくことがとても大事だ」と話しました。

統一協会問題 市長と自民市議の主張に食い違い 党市議団が声明を発表

市長公室秘書課の職員から話を聞く(左から)とりうみ、金子、たけこしの各市議

 9月議会の代表質問(たけこし連市議)で明らかになった、統一協会系イベント「ピースロード埼玉」の実行委員会のなかに県議・市議9名が記載されていた問題に関連して、中島隆一市議(さいたま市議会自由民主党議員団)が10月19日と21日に記者会見を行いました。党市議団はこの会見を受けて、市の言い分と中島市議の言い分に矛盾点があるとして、10月26日に、次のとおり緊急声明を発表しました。

 

 また、この声明をマスコミ各社に送付した結果、10月27日に行われた清水市長の定例記者会見では、緊急声明に記載されている「市として黒塗り議員全員に連絡をしたか」などの質疑が出され、市長は「(中島)議員がどんな発言をしたか知らないが、市として電話で連絡をしたことを確認した」と発言しました。その後、あらためて党市議団として市長公室秘書課からこの件についての経緯を聞きとり、党市議団の代表質問との矛盾について整理しました。

 

 党市議団として、引き続きこの問題を追及していきます。みなさんのご意見をお寄せください。

 

***以下、声明全文~

 

議員と統一協会との癒着に関する緊急声明

 

 2022年9月議会において日本共産党市議団は代表質問(竹腰連議員)によって、統一協会とさいたま市や市議会議員の癒着の深刻さを明らかにした。

 これを受けて党市議団は、各会派に自ら調査をし、結果を公表することを阪本克己議長から各会派に要請するよう2度にわたって申し入れを行ってきた。

 こうした経過の中で、10月19日及び21日、同会派の中島隆一議員が統一協会との関連を認める記者会見を行った。これら一連の問題に関連し、ここに日本共産党さいたま市議団としての緊急声明を発表する。

 

(1)黒塗り文書をめぐる市の対応について

①黒塗りにした理由

 市は代表質問で「情報公開条例における個人情報の保護の観点から黒塗りにした」と繰り返し答弁したが、これには大きな疑義がある。岡山市では全く同様の資料が発見されたが情報公開条例に則り役員の氏名を公開した。また、さいたま市の場合は議員としての肩書きを使っている以上、公人としての活動だったのではないか。

②
情報公開条例の開示、非開示の範囲を市が恣意的に運用できることになってしまう

 市は代表質問の答弁でピースロードの表敬訪問資料を黒塗りにした一方で、別の事例を出して見解を求めると「その都度、判断する」と答弁した。

 その基準は極めて曖昧であり開示、非開示の判断を市執行部において恣意的に運用できることを事実上認めたことになる。今後の市民への情報公開において大きな禍根を残すのではないか。

 

(2)
中島隆一議員の記者会見における矛盾点について

①
19日の会見で中島議員は「ピースロードの出発式に見学に行ったが実行委員ではない」と発言したが、21日になって一転「実行委員である」と認めた。会見では「知らぬ間に実行委員に就任していた」と発言しているが、これが事実であれば経過を確認するためにも、市は黒塗り部分を公開し、事実関係を公表しなければならない。

②
中島議員は「19日以降に阪本議長に確認したところ文書に自身の名前があった」(朝日)と発言しているが、このことで阪本議長が文書を持っているということが明らかになった。

③
中島市議は「黒塗りの文書に名前が入っているという確認の電話はなかった」と発言しているが、このことについて代表質問時に市長公室長が「議員に確認した」と答弁している。明らかな矛盾である。市長公室長は「全員に確認したのか、特定の人物のみに確認したのか、その場合の理由は何か」などさらなる疑問が生じる。

 

(3)各会派の対応について

 冒頭で述べた通り、党市議団は2度にわたり、阪本議長に対し各会派の統一協会との関係を調査すべきと申し入れを行ってきた。その結果、各派代表者会議で議長による「調査依頼」が行われたにも関わらず、さいたま自民党はこの調査を拒否してきた。しかし、さいたま自民党の中島議員が実行委員であることを認めた以上、中島氏は表敬訪問の同席者を明らかにするとともに調査を行うべきである。

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