議会報告

新型コロナウイルス 国保も傷病手当の対象に

保健福祉委員会で質疑をおこなう、とりうみ敏行市議

 4 月臨時議会において、国民健康保険条例の一部改正が可決されました。この条例改正によって、給与支払いを受けている国保加入者が、新型コロナウイルス感染(疑いも含む)で休職した場合に傷病手当金が支給されます。

 

 5 月1 日、保健福祉委員会でとりうみ敏行市議が質疑をおこないました。質疑を通じて、事業主が感染疑いの従業員を休ませたことを認めれば、医師の診断等は必要なく、傷病手当金支給の対象となることが明らかになりました。

 

 また、市は給与支払いを受けている国保加入者約4 万5000 人に対し、支給対象者を73 人と推定しています。この推定は、4 月1 日から8 日までのPCR 検査の平均(12 件)をもとに感染の可能性がある人の割合を加入者に乗じて算出した、さいたま市独自の算出方法です。

 

 とりうみ市議は「今回の傷病手当金は、国が100% 補填を約束している。対象者を絞らず4 万5000 人を対象として、そのなかから事業主が証明した人を対象とすべき」と強く要望し、条例改正には賛成しました。

4月臨時会 中小企業に独自の給付型支援を

予算委員会で質疑をおこなう久保みき市議

 4 月30 日と5 月1 日の2 日間にわたって予算委員会が開かれ、新型コロナウイルス対策の補正予算審査がおこなわれました。議会の対策として出席委員を半数に減らし、党市議団からは久保みき市議が出席。PCR 検査拡大関係予算・中小企業資金融資予算・商店街振興予算など、専決処分ですでに決定したものも含めて審査されました。

 

 さいたま市は国に先駆けて4月17日から、2000 万円を上限に中小企業等に無利子・無担保の融資をスタートしましたが、17 日と18 日の2 日間で想定の申請を超える事態となり、20 日には申請受付を終了しました。飲食店はじめ中小業者は深刻な状況であることは明らかです。久保市議は、本市独自で中小業者への給付型支援にとりくむよう求めました。

 

 また、本市の「帰国者・接触者相談センター」に寄せられた相談件数は18442 件、PCR検査数は401 人。そのうち陽性者は、134人(4 月28 日時点)ということが明らかになりました。

 

 党市議団には「かかりつけ医に『コロナの疑いがあるから診られない』と言われ、帰国者・接触者相談センターに電話しても『レントゲンを撮り、肺炎の疑いがない限り検査はしない』『保健所はなにもできないのでご自身で病院を探して』と言われた」など、冷たい対応への怒りの声が届いています。久保市議はその声を紹介し、改善を求めました。市は「医師会の協力を得て、PCR センターを設置し、開業医が検査の必要があるとしたときは、検査できるしくみを整えはじめた。5月の早い時期に進めてもらえるよう計画している」と答弁しました。

 

小・中学校 5月31日まで休校延長 デジタル授業がスタート

文教委員会で質問する久保みき市議

 新型コロナウイルス対策として、小・中学校の休校が5 月31 日まで延長されたことにともない、市教育委員会は5月11 日からデジタル授業「さいたま市Web 学習コンテンツ『スタディエッセンス』」をスタートさせます。

 

 各家庭で「学年別週間時間割表」に沿って、午前中に3 コマ分(1 コマ40 分・8:45 ~ 11:25)の動画(リアルタイムではなく録画された動画)を視聴するとともに、印刷したワークシート等の学習課題にとりくむというものです。デジタル授業開始前に「朝の会」や終了後に「お昼の会」の動画も用意されます。午後は、各学校が学習課題を設定することになっており、教師は学習の進み具合を把握することを求められています。

 

 デジタル授業を視聴できない家庭や課題を印刷できない家庭は学校が紙媒体を用意し、5 月8 日までに各家庭に届くようにするとしています。

 

 保護者からは「自宅のパソコンは在宅勤務で大人が使っているので子どもに貸せない」「子どもが2 人いて1 日中つきっきりでは対応できない」「学童に通っている間はどうしたらいいのか」などさまざまな声が寄せられており、多くの課題があります。子どもと保護者、学校現場の声をよく聞くことが大前提であり、市議団として改善にとりくみます。

4月臨時議会*新型コロナウイルス対策で補正予算

 さいたま市議会4 月臨時議会が4 月30 日から5 月8 日まで開かれます。新型コロナウイルス対策に関連した約300 億円の補正予算(市長専決含む)および給付金支給のための補正予算案(約1350 億円)が市長から出されました。おもな内容を紹介します。

 

PCR 検査体制の強化

 

 PCR 検査機器を新たに1 台購入(約5000万円)し、検査数を増やすとしています。また補正予算とは別に医師会との協力でPCR 検査センターを市内4 か所に設置することが報道発表されています。医師の判断で検査して検査数を抜本的に増やし、隔離・医療体制を充実させることで感染拡大を抑えていくことが求められています。

 

市民生活への支援

 

 市内中小企業への支援として市は無担保かつ3 年間無利子の「臨時資金融資」をはじめました。追加と合わせて約300 億円の規模となりましたが、応募が多く、すでに申し込みは締め切られました。市は「今後は国の融資制度を利用してほしい」としています。多くの自治体で中小業者へ給付金や補助金を緊急に出しており、本市でもこうした支援が強く求められます。ほかに雇用調整助成金の申請をする事業者を支援するため社会保険労務士の費用補助なども盛り込まれています。

 

 国の補正予算成立を受け、1 人10 万円給付と児童手当受給者への1 万円給付(子ども1人あたり)がおこなわれます。速やかな支給と相談体制整備が必要です。

 

 国民健康保険・後期高齢者医療保険で傷病手当を支給するための条例改正、市長等特別職給与の減額条例案も出されました。また議員提出議案として議員報酬削減条例等が審議されます。

議会から市へ 市民の願いとどける【新型コロナウイルス対策】

保健福祉委員会で審査するとばめぐみ市議(左から2番目)、とりうみ敏行市議(左から4番目)

 4 月22 日、23 日に常任委員会が開かれ、新型コロナウイルス感染症に対する要望を各委員会で取りまとめました。要望(抜粋)をご紹介します。

 

■保健福祉委員会

・PCR 検査について、医師会等との連携、協力体制を強化し、PCR センターを整備すること。

・医療体制の整備について、マスク、消毒液、防護服などの医療資材の確保・充実や地域の医療機関と連携・協力するなど医療体制を拡充するとともに、旧市立病院の再使用の検討や軽症者を受け入れるホテルを確保すること。

・放課後児童クラブについて利用料や運営補助拡大などの財政支援をおこなうこと。

 

■総合政策委員会

・所得の減少した世帯に対し、税および公共料金の減免、支払いの猶予をおこなうとともに、独自の給付制度を創設するなど、積極的な支援策を講じること。

・中小・小規模事業者等の営業自粛並びに休業にともなう家賃、営業資金等の確保に資するため、各種支援策を拡充するとともに、速やかな支援の実施に向けた相談体制および手続きの簡素化を図ること。

 

■文教委員会

・給食がなくなり食事に困っている子どもに対して必要な支援をおこなうとともに、学校給食事業者との連携を図り、今後の給食再開に向けての調整を滞りなくおこなうこと。

・感染拡大防止の観点から在宅勤務・時差出勤を推進するなど教職員および教育委員会職員の勤務体制の工夫についてさらなる検討をおこなうこと。

・子どもたちの安全確認、心理的ケア等の観点から学校休業中においても各家庭への電話・メール・家庭訪問等を通じ、子どもたちの現状把握に努めること。

 

■市民生活委員会

・特別定額給付金(ひとり10 万円)は事務手続きの簡素化を図り、担当職員を手厚く配置すること。DV・虐待被害者が福祉窓口に申し立てれば受け取れるしくみを構築すること。

・外出自粛等によるDV 増加に対応するため、相談体制を強化するとともに警察との連携を進めること。

 

■まちづくり委員会

・市として、公共工事における感染防止対策に責任を持ち、業者に対する指示にとどまることなく、指導を徹底すること。また感染者が発生した場合には工事中断期間の営業補償等の支援に向け関係部局との連携に努めること。

・市民生活、地域経済支援のため、新型コロナウイルス感染の影響を受けた利用者について水道料金および下水道使用料の減免をおこなうこと。

 

 その他、新型コロナウィルスの影響で売上が減少した事業者への特別な支援が求められています。党市議団は「埼玉県中小企業・個人事業主支援金」の窓口を市に設置し、市内事業者の実態を把握するとともに、独自の損失補償や国・県の支援への上乗せを求めました。市は「前年度の繰越金や国からの臨時交付金が確定しておらず、独自支援等はまだ検討できない」と答弁しました。また、災害の際の避難所運営における感染予防対策も求めました。

 

 さいたま市には、市議会からの要望を真摯に受け止め、政策に反映させるよう求めます。

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