9月議会*一般質問 義務教育学校の計画は撤回を 子ども・地域にあたえる影響は深刻
9 月8 日、9 月議会本会議にて金子あきよ市議が一般質問に立ちました。義務教育学校「武蔵浦和学園」の計画について、3 点にわたって問題点を指摘、市と教育委員会の見解を質しました。
大規模校の解消にならない義務教育学校
全体で3600 人、80 〜90 学級が想定されている今回の計画は、法律施行令に定められた義務教育学校の適正規模(18〜27学級)に合致しないのではないか、との質問に、教育長は「文科省より地域の実態その他により
弾力的な運用をおこなうものとの回答を得ている。学級数のみをもって適正規模に合致しないということはない」と答弁しました。しかし金子市議は、茨城県つくば市の義務教育学校では児童生徒数が多すぎて、プールの授業も組むことができない、図書室の本を借りる日が、学年やクラスごとに週に1 回と決められている、休み時間のトイレも行列になるなどの深刻な実態を紹介し、この教訓にこそ学ぶべきではないか、と質しました。
教育長は、学園を700 〜800 人単位の5つのユニットで構成する、というユニット制の導入によって「大きいけれどもアットホームな学校」「大きい学校であってもきめ細やかな教育」を目指す、という構想を示しました。金子市議はこれに対して、義務教育学校「武蔵浦和学園」は、選択して入る学校ではなく地域の学校であり、そこで新しいことを工夫してやらなければならない、という状況は子どもたちに負担と混乱をもたらすことになる、と批判しました。
「小6 問題」リーダーの役割を発揮できない
金子市議は、これまで小中一貫校の子ども調査結果をもとに、「小6 問題」の顕在化を指摘しました。つくば市教育評価懇談会がおこなった調査報告書「つくば市の小中一貫教育の成果と課題」で「子ども同士や教師との対人関係、支援関係、レジリエンス(くじけても負けない力)などにおいて、一体型校の指数は相対的に低く、この傾向は6 年生において顕著に見られた」と、義務教育学校の整備に対する警鐘を発したとして、武蔵浦和学園の計画においてはこうした問題点が無視されているのではないかと見解を求めました。教育長は文科省の小中一貫校を対象にした調査結果を示し、小・中学校の接続に成果が認められている、と答弁しました。金子市議は、「実際に制度を運用してきた学校教員に対する調査では否定的な回答は出にくい。だからこそ、子どもたち自身の声、保護者の声を聞くことが大切なので、調査をしっかり踏まえるべき」と求めました。
プール存続求める市民の声を聞くべき
この義務教育学校の計画は沼影市民プールを廃止することが前提ですが、市民からは存続を求める強い声が上がっています。市のスポーツ界にとっても貴重なプールの廃止は、市にとって甚大な損失となり、市長の目指す「笑顔あふれる日本一のスポーツ先進都市」の実現と矛盾するのではないか、プールを利用している市民は「市長はプールに来て実態を見てほしい」と言っている、その声にどう応えるのか、と市長の見解をただしました。市長は、「(2028 年度の学校開設以降に)隣接地に体育館とプールを整備予定」として、6 年以上におよぶ工事期間中プールが使えなくなることについてはまともな答弁をしませんでした。
金子市議は、「義務教育学校計画は、この地域の教育環境を改善することにも、子どもたちの健やかな成長と発達に寄与することにもならず、むしろ地域住民の文化と健康を損ね、分断をもたらす結果を招く。義務教育学校の計画は撤回し、適切な分離新設のための土地を確保する努力をすべき」と求めましたが、教育委員会は計画推進のメリットを主張する答弁を繰り返しました。金子市議は、引き続き、住民とともに義務教育学校計画の問題点を明らかにしていく、と表明しました。
金子市議はこの他、放課後児童クラブ保育料の公民格差解消、南消防署(南区根岸)の早期建て替えを強く求めました。
■さいたま市議会インターネット議会中継(録画)
https://saitama-city.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=1875