議会報告

代表・一般質問

2022年2月議会*代表質問 新型コロナ対策 抜本的強化を

 2月9日、2月議会本会議で神田よしゆき市議が代表質問をおこない、新型コロナウイルス感染症対策の強化等について質しました。

 

神田 新型コロナへの対応も丸2年になった。変異株がつぎつぎと出るもとで対策の決定打はなく、複数の対策を総合的に実施する必要がある。党市議団としていままでも強調してきた、検査・保健所・医療体制の強化の3点についてうかがう。はじめにPCR検査について、大野埼玉県知事が無料でPCR検査キットを配布することを決断したことを踏まえ、本市も県に協力し、無料検査キットの配布薬局を増やすべきと考える。133万市民でわずか62カ所(1月31日現在)では少なすぎる。感染急拡大で、キットの予約が取れないという声も聞かれる。学校、保育園、学童保育、高齢者施設、障害者施設などでPCR検査を定期的、頻回におこなうしくみをつくることを求める。

 

副市長 薬局やドラッグストア等でおこなわれている無症状の方を対象とした無料検査事業については、国の定めたしくみで都道府県が実施することとなっている。本市として県に協力し、事業拡大にむけてさいたま市薬剤師会等にはたらきかけていく。

 

神田 本市の保健所は他市に比べても、療養者に対するファーストタッチが遅いと言われている。第6波の感染急拡大に保健所が対応しきれていない。保健所体制の強化は喫緊の課題だ。2カ所目の保健所をつくることを展望し、常勤の保健師などを含めて大幅な増員で体制の強化を図ること、そのための支援を国に求めることも大事だと考えるが見解をうかがう。

 

副市長 想定をはるかに上回るペースでの感染急拡大の影響で、電話での初回連絡は高齢者や基礎疾患のある方など、重症化リスクのある方を優先し、軽症・無症状の方への連絡に遅れが生じている。そのため、全庁から応援をいれ、解消に努めている。保健所は2020年4月と比較し、2021年10月には2.5倍に増員している。2カ所目の設置はおこなわない。

 

アクセスできる医療体制へ

 

神田 昨年夏の第5波では医療機関がパンクし、救えたかもしれない命が失われる事態が起きた。医療にアクセスできないという事態を繰り返さない立場で対策をいっそう強化すべきと考えるが認識をうかがう。医療現場からは「PCR検査キットが足りない」「発熱外来への補助金が下げられてしまい、検査すればするほど赤字になる」という声が出ている。国に対し、検査キット確保と発熱外来補助金をもとに戻すよう求めるべきと考えるが見解を求める。また、自宅療養者へのオンライン診療も含めた地域医療機関からの訪問診療体制の強化、緊急的な臨時医療施設の確保などが必要ではないか。

 

副市長 埼玉県において入院病床数を増床している。第5波に比べて69床増やし、383床を確保した。検査キットは、すでに国において製造販売者に対して増産を要請している。発熱患者の外来診療・検査体制確保事業については、地域で診療・検査を行える医療機関が増えてきたことなどから事業が終了したと聞いており、再度実施を求めることは考えていない。自宅療養者への医療については、医師会に健康観察や診療の協力を依頼している。

 

コロナ禍でも市庁舎移転を進めるのか

 

 つづいて神田市議は、さいたま市役所本庁舎の移転について、「コロナ感染拡大のなかでは、移転計画をいったん延期または凍結すべき。基本構想では221億円とされているが、そのほかに現庁舎の跡地活用がセットで示されており、どのくらい費用がかかるのか。また、現庁舎地で建て替える場合にはどのくらいになるのか、すべての情報を市民に明らかにするべき」と求めました。

 市は、あくまでも庁舎移転を進める立場で市民に説明する姿勢を示し、現庁舎地の利活用や現在地での建て替え費用については明らかにしないまま市庁舎移転をすすめる姿勢を固辞。市民のくらしを守るより、大型開発や公共施設建設を推進する市の姿勢が鮮明となりました。

2022年2月議会*議案質疑 新型コロナ対策198億円 市独自の予算は15億円のみ

議案に対する質疑をおこなうとりうみ市議

 2022年度(令和4年度)の予算は、新型コロナウイルス(オミクロン株)の猛威から市民の命、暮らし、生業を守ることが中心でなければなりません。2月2日の2月議会本会議でとりうみ敏行市議が議案に対する質疑をおこないました。

 

 とりうみ市議ははじめに、新年度のコロナ対策予算約198億円に対する国・県・市の負担割合について示すよう求めました。市は「国が約179億円で90.5%、県が約3億円で1.8%、市が約15億円で7.7%である」と明らかにしました。とりうみ市議は重ねて「予算のほとんどがこれまで同様に国に頼りきり。市の独自施策に予算を使う検討はしなかったのか」と質しましたが、市からは「国や県の補助金を最大限に活用することが基本」として、市の財源を活用する意思は示されませんでした。

 

 市は、コロナ禍でも高齢者福祉、障がい者福祉、医療費などで、昨年度は約27億円もの削減をおこないましたが、新年度においても約30億円の削減を強行する予定です。平成22年度以来、削減総額は約191億円にものぼります。さらに6年連続の国保税値上げが追い打ちをかけ、その影響は15万世帯、約4億円にのぼることも明らかになり、予算全体を通して市民のくらしが置き去りにされている状況がうきぼりになりました。

 

 ほかに不登校児童支援センターの設立、児童相談所の安全確認の一部を民間委託する事業案、市職員の定員管理計画について、それぞれ質しました。

2022年2月議会*代表質問 子どもの権利条約にもとづいた条例をさいたま市に

代表質問をおこなうたけこし市議

 2月9日、2月議会本会議でたけこし連市議が代表質問をおこない、市に対して「子どもの権利条例」の制定を求めました。 

 

 たけこし市議は、これまで日本政府が5度に渡り「国連子どもの権利委員会」から「高度に競争主義的な公教育が子どもたちに過度なプレッシャーをかけている」との是正勧告を受けていることを紹介し、このことが子どもの自己肯定感の低下などの「あらたな人権侵害」を生んでいるとの認識から、新自由主義的な教育の是正を求めました。答弁に立った細田眞由美教育長は「新しい人権侵害には一定の蓋然性があると感じており、現在は新自由主義的教育の転換点である」との見解を示しました。

 

 さらにたけこし市議は、2008年の第3回国連子どもの権利条約審査にみずからが参加し、当時の日本の子どもの代表として「自身が競争教育のなかで自分のことが嫌いになった」とスピーチした経験を紹介し、子どもの権利条約にもとづいた教育行政実現のために、市として子どもの権利条例を制定するよう市長に求めました。

 

たけこし 子どもの権利条約を生かした子どもの権利条例制定のために、市長のリーダーシップが必要だ。

 

市長 子どもの権利条例の制定の必要性について、議員の思い入れと意見は十分理解したつもりだ。今後、検討していきたい。

 

 たけこし市議は「自身の経験を議場で話すのは勇気が必要だったが、教育長や市長から前向きな答弁を得られたので、今後も実現に向けて努力したい」と話しました。

2021年12月議会*一般質問 女性支援法の制定を国に求めよ

一般質問を行う久保みき市議

 12月1日、12月議会本会議で久保みき市議が一般質問をおこないました。はじめに、DV被害者支援について質しました。

 

久保 私は議員になって以来、DV被害者の方から相談を受け、実際に暴力から抜け出す手助けをしてきた。内閣府が公表した「女性に対する暴力の現状と課題」によると、2020年度のDV相談件数は19万30件と、2019年度から61.8%も増加した。さいたま市においても2020年度は1261件となり、930件だった前年度と比べて増加している。日本のDV被害者支援は「売春防止法」をもとにした婦人保護事業でおこなわれているが、DVは売春とは無関係だ。いま求められているのは、旧態依然の婦人保護事業から、困難を抱えた女性を支援する事業に変えていくこと。そのため、国に対し、早急に「女性支援法」を制定するよう求めるべきだと考えるがどうか。

 

市 女性が抱える困難は、近年、DV被害、ストーカー被害、性暴力被害など複雑化、多様化してきており、売春防止法を根拠とした従来の枠組みでは対応が困難なケースもみられる。国においても「困難な問題を抱える女性への支援の在り方に関する検討会」を設立し、2020年に中間まとめが出された。市としては国の動向を注視したい。

 

久保 2019年9月議会で、DV被害者相談において「相談共通シート」の導入を求め、実現したことはうれしい限りだ。しかし、心身ともに疲れ切っている被害者に「シートを用意したからあとは自分で」という対応はあまりに冷たく、実態を理解していない。被害者があちこちの窓口を回らなくていいよう、ワンストップの支援体制を求める。

 

市 ひとりで手続きをおこなうのがむずかしいDV被害者の方については、男女共同参画相談室および各区の福祉事務所で状況に応じて適切な支援をしている。

 

ケアラー支援条例制定にむけて

 

 続いて久保市議は、ケアラー支援条例制定について質しました。

 

久保 全国初のケアラー支援条例が埼玉県で制定された。さいたま市も条例の制定にむけて動いていると認識している。ヤングケアラーの問題は社会問題化しているが、老々介護、老障介護、介護離職など、問題は山積しており、すべてのケアラーへのきめこまかい支援が早急に求められている。在宅介護者手当など、経済的支援を実施すべきと考えるが見解をうかがう。

 

市 高齢、障害、疾病などで援助を必要としている方に介護、看護、日常生活の世話をしているなど、いわゆるケアラーの存在は認識している。それぞれの状況にあった幅広い支援が必要だ。本市においても、検討プロジェクトチームを設置し、条例制定やケアラー支援の強化に向けた検討を進めている。経済的支援については、精神的、身体的負担の軽減とともにケアラー支援における重要な要素である。在宅介護者手当は本市では実施していないが、ケア対象者に対する給付制度など間接的にケアラーの経済的な負担軽減につながる支援策もあるため、既存の支援策の周知を図りたい。

 

セルフ・ネグレクトをご存知ですか

 

 続いて久保市議は、セルフ・ネグレクト問題について質しました。セルフ・ネグレクトは、配偶者や家族の死のほか、自分の病気や仕事をやめるなどさまざまな理由で年齢に関係なく陥ると言われています。セルフ・ネグレクトが表出したひとつのかたちとして「ごみ屋敷」があります。久保市議は相談を受けた方の写真を示し、大阪府豊中市の社会福祉協議会の先進的なとりくみを紹介しながら本市の対応を質しました。市は「保健所精神保健課やこころの健康センターで相談を受け付けている」として、「ごみ屋敷」についても「単にごみを片付ければいいというわけではなく、本人に寄り添った対応をする」と答弁しました。

 

 ほかに久保市議は、公立夜間中学の設立やバス停のベンチ設置についてとりあげました。

 

 

2021年12月議会*一般質問 あらたな感染拡大に備えた対策をいそげ

一般質問を行う神田よしゆき市議

 11月30日、12月議会本会議で神田よしゆき市議が一般質問をおこないました。

 

 はじめに、新型コロナ対策について質しました。神田市議は「今年の夏の第5波では、感染爆発と医療崩壊といえる状況がさいたま市でも起こった。次の感染拡大に備えてしっかりと総括することが必要」と述べました。その上で、「医療体制については、9月時点では、ベッドの確保は314床、自宅療養者が1万1017人となった。新規感染者が1万を超える状況では現状のベッド数は少なすぎる。2~3倍のベッドの確保が必要。臨時の医療施設も準備するべき」と求めました。

 

 市は、「埼玉県では第6波に備えた医療体制の拡充として新たな『保健・医療提供体制確保計画』を策定し、最大病床数を2176床(9月末での病床数は、最大で1904床)と計画している。さいたま市としては市立病院が最大51床確保から、増床を検討している」と明らかにしました。

 

 次に神田市議は、検査体制について「さいたま市の積極的疫学調査は範囲が狭く極めて不十分なものになった」として、今後の課題として広範囲でPCR検査が受けられる体制を求めました。しかし、市は「医師会や医療機関の協力を受け、検査体制を拡充、症状のある方、濃厚接触者といった検査が必要な方に身近な場所で検査できる体制を確保している」として、検査の範囲を広げることは拒否しました。

 

 また、今年の夏は各区の保健センターから保健師10名、全庁から事務職を50名動員して保健所に配置しました。神田市議は「流行していない今の時期に抜本的に正規の保健師の確保を進め、保健所体制の強化を図るべき」と求めました。

 

 しかし市は「第5波の課題を踏まえ、感染初期の段階で庁内の保健師、事務職、民間の協力で必要な人員を配置する」として、正規の保健師の増員にはふれませんでした。そのため、神田市議は「第5波の医療崩壊から学ぼうとせず、医療も検査も保健所体制も多少の拡充で乗り切ろうという姿勢は問題だ」と批判しました。

 

 さらに神田市議は、コロナ対策として3回にわたりおこなわれた経済対策(小規模企業者給付金)の継続を求めました。市は、「小規模企業者等への給付金については、引き続き市内の経済動向を注視し、事業者や経済団体のご意見を踏まえ必要な経済対策を実施する」と表明しました。

 

地域医療構想の撤回・見直しを

 

 厚生労働省は、新型コロナ感染症が猛威をふるっていた昨年の段階においても、国が決めた「地域医療構想」による公立、公的病院の病床削減を強行しました。その結果、2020年だけで3700床のベッド削減がおこなわれています。神田市議は、「コロナ対策として病床確保が重要な時、病床削減を求める地域医療構想は一旦停止し、見直すべき。全国知事会や市長会にも働きかけ、国に意見を上げるべき」と求めました。

 

 市は「現時点では撤回や見直しを求めることは考えていない」と述べましたが、地域医療構想については、全国市長会から①地域医療構想等、地方との協議をおこない、その意見を施策に反映する②地域の実情に応じた支援策③コロナ感染症対策の実施によって地域住民の命を守る公立公的医療機関が担う役割の重要性が改めて認識されたことを踏まえ、再編統合を前提とすることなく地域医療を確保する観点から検討することの3点を要望していることを明らかにしました。

 

温室効果ガス 市の削減目標が低すぎる

 

 続いて神田市議は、気候危機についてとりあげ、「さいたま市の地球温暖化対策実行計画によれば、さいたま市の温室効果ガス削減目標は35%であり、国の目標よりも低い」と指摘。目標数値の見直しを求めました。市は国の目標よりも低いことを認めたものの、「地球温暖化対策推進法の改正によるあらたなとりくみで、目標の上積みは可能と考えている。現在策定を進めている『ゼロカーボンシティ戦略』のなかで実効性のある目標となるよう検討する」と答えました。

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