議会報告

2021年12月議会*保健福祉委員会 75歳以上の医療費窓口負担2割は中止を

討論する松村としお市議

 12月6日、保健福祉委員会で「75歳以上の医療費窓口負担の2割化実施の中止を求める請願」が審査され、松村としお市議が出席しました。

 

 2022年後半、早ければ10月から、75歳以上の後期高齢者医療制度の窓口負担が2割に引き上げられる法律が今年6月に可決されました。実施されれば、75歳以上で年収200万円以上の人のうち、2割にあたる370万人に、さいたま市では4万人に影響することが松村市議の質疑で明らかになりました。

 

 松村市議は討論で「基準の下限年収200万円は、月額17万円にも満たない。さらに保険料や税が引かれて少なくなる。資産を持っていなくても年収のみで判断され、負担能力のない方まで負担を倍にする大変冷酷な高齢者いじめの政策だ」と指摘。「負担増の対象は政令で定めるため、さらなる基準年収引下げのおそれもある。必要な医療を受けられない深刻な影響をつくり出す。大企業や資産家に負担を求めて財源をつくり、負担軽減、生活への手厚い支援を行うことこそ必要だ」と財政の考え方も含めて訴え、請願採択を主張しました。しかし採決の結果、賛成少数で不採択となりました。

2021年12月議会*総合政策委員会 所得税法第56条は廃止せよ

討論する神田よしゆき市議

 12月6日、総合政策委員会で「所得税法第56条の廃止の意見書提出を求める請願」が審査され、神田よしゆき、久保みきの両市議が出席しました。

 

 所得税法第56条は、白色申告の場合、家族の労働に対する給与は認めず、一方で第57条では記帳を義務づけた青色申告では認める、というものになっています。請願は、これらが不公平であることから第56条の規定は削除すべき、と求めています。

 

 財務省は、白色申告の場合、記帳が正確に行われず労働の実態が確認できないとして家族労働の給与支払いを認めていません。しかし現在、白色申告の場合も一定記帳は義務付けられており、この規定がつくられた戦後間もない状況と現在は違っています。また、記帳していれば不正が行われないわけではなく、青色か白色の違いで家族労働を認めるかどうかを判断することはできません。

 

 神田市議は「請願にもあるように、諸外国では家族労働への対価の支払いは当然であり、全国の税理士会から、また550を超える地方議会からも意見書が提出されている。財務省における見直しをさらに進めるためにも採択を」と主張し採択を求めました。しかし他会派の反対により不採択となりました。

2021年12月議会*文教委員会 少人数学級を4~6年生でも

討論する金子あきよ市議

 12月6日、文教委員会で、学びと健康を保障する少人数学級を求める会のみなさんから、署名1万3338筆とともに提出された「さいたま市独自で少人数学級実現を求める請願」の審査が行われ、金子あきよ、たけこし連の両市議が出席しました。

 

 この請願は、来年度から実施される35人以下学級について、小学4・5・6年でも実施をすること、また、特別支援学級の学級定数を8人から6人に減らし、教員体制を充実させることを求めています。

 

 金子市議は「すべての子どもたちが少人数学級のなかで小学校生活を送ることができるようにしてあげたいが、このままのペースでは、今の3年生以上の子どもたちには間に合わない。すでに小学校4年から6年での少人数学級を実施している政令市が20市のうち半数以上にのぼる。本市としても国のとりくみに上乗せして、導入のスピードをあげるべき。また、特別支援学級では学級定数を減らして教員をふやせば、低学年と高学年を分けた編制や、障がいの程度にあわせた編制が可能となる」と採択を主張しました。

 

 しかし、他会派の市議が「4月までに前倒しをするのに必要な教室転用、仮設校舎の設備、 教員の追加募集を行うことは現実的には極めて困難」といった理由で反対し、不採択となりました。

2021年12月議会*一般質問 女性支援法の制定を国に求めよ

一般質問を行う久保みき市議

 12月1日、12月議会本会議で久保みき市議が一般質問をおこないました。はじめに、DV被害者支援について質しました。

 

久保 私は議員になって以来、DV被害者の方から相談を受け、実際に暴力から抜け出す手助けをしてきた。内閣府が公表した「女性に対する暴力の現状と課題」によると、2020年度のDV相談件数は19万30件と、2019年度から61.8%も増加した。さいたま市においても2020年度は1261件となり、930件だった前年度と比べて増加している。日本のDV被害者支援は「売春防止法」をもとにした婦人保護事業でおこなわれているが、DVは売春とは無関係だ。いま求められているのは、旧態依然の婦人保護事業から、困難を抱えた女性を支援する事業に変えていくこと。そのため、国に対し、早急に「女性支援法」を制定するよう求めるべきだと考えるがどうか。

 

市 女性が抱える困難は、近年、DV被害、ストーカー被害、性暴力被害など複雑化、多様化してきており、売春防止法を根拠とした従来の枠組みでは対応が困難なケースもみられる。国においても「困難な問題を抱える女性への支援の在り方に関する検討会」を設立し、2020年に中間まとめが出された。市としては国の動向を注視したい。

 

久保 2019年9月議会で、DV被害者相談において「相談共通シート」の導入を求め、実現したことはうれしい限りだ。しかし、心身ともに疲れ切っている被害者に「シートを用意したからあとは自分で」という対応はあまりに冷たく、実態を理解していない。被害者があちこちの窓口を回らなくていいよう、ワンストップの支援体制を求める。

 

市 ひとりで手続きをおこなうのがむずかしいDV被害者の方については、男女共同参画相談室および各区の福祉事務所で状況に応じて適切な支援をしている。

 

ケアラー支援条例制定にむけて

 

 続いて久保市議は、ケアラー支援条例制定について質しました。

 

久保 全国初のケアラー支援条例が埼玉県で制定された。さいたま市も条例の制定にむけて動いていると認識している。ヤングケアラーの問題は社会問題化しているが、老々介護、老障介護、介護離職など、問題は山積しており、すべてのケアラーへのきめこまかい支援が早急に求められている。在宅介護者手当など、経済的支援を実施すべきと考えるが見解をうかがう。

 

市 高齢、障害、疾病などで援助を必要としている方に介護、看護、日常生活の世話をしているなど、いわゆるケアラーの存在は認識している。それぞれの状況にあった幅広い支援が必要だ。本市においても、検討プロジェクトチームを設置し、条例制定やケアラー支援の強化に向けた検討を進めている。経済的支援については、精神的、身体的負担の軽減とともにケアラー支援における重要な要素である。在宅介護者手当は本市では実施していないが、ケア対象者に対する給付制度など間接的にケアラーの経済的な負担軽減につながる支援策もあるため、既存の支援策の周知を図りたい。

 

セルフ・ネグレクトをご存知ですか

 

 続いて久保市議は、セルフ・ネグレクト問題について質しました。セルフ・ネグレクトは、配偶者や家族の死のほか、自分の病気や仕事をやめるなどさまざまな理由で年齢に関係なく陥ると言われています。セルフ・ネグレクトが表出したひとつのかたちとして「ごみ屋敷」があります。久保市議は相談を受けた方の写真を示し、大阪府豊中市の社会福祉協議会の先進的なとりくみを紹介しながら本市の対応を質しました。市は「保健所精神保健課やこころの健康センターで相談を受け付けている」として、「ごみ屋敷」についても「単にごみを片付ければいいというわけではなく、本人に寄り添った対応をする」と答弁しました。

 

 ほかに久保市議は、公立夜間中学の設立やバス停のベンチ設置についてとりあげました。

 

 

2021年12月議会*一般質問 あらたな感染拡大に備えた対策をいそげ

一般質問を行う神田よしゆき市議

 11月30日、12月議会本会議で神田よしゆき市議が一般質問をおこないました。

 

 はじめに、新型コロナ対策について質しました。神田市議は「今年の夏の第5波では、感染爆発と医療崩壊といえる状況がさいたま市でも起こった。次の感染拡大に備えてしっかりと総括することが必要」と述べました。その上で、「医療体制については、9月時点では、ベッドの確保は314床、自宅療養者が1万1017人となった。新規感染者が1万を超える状況では現状のベッド数は少なすぎる。2~3倍のベッドの確保が必要。臨時の医療施設も準備するべき」と求めました。

 

 市は、「埼玉県では第6波に備えた医療体制の拡充として新たな『保健・医療提供体制確保計画』を策定し、最大病床数を2176床(9月末での病床数は、最大で1904床)と計画している。さいたま市としては市立病院が最大51床確保から、増床を検討している」と明らかにしました。

 

 次に神田市議は、検査体制について「さいたま市の積極的疫学調査は範囲が狭く極めて不十分なものになった」として、今後の課題として広範囲でPCR検査が受けられる体制を求めました。しかし、市は「医師会や医療機関の協力を受け、検査体制を拡充、症状のある方、濃厚接触者といった検査が必要な方に身近な場所で検査できる体制を確保している」として、検査の範囲を広げることは拒否しました。

 

 また、今年の夏は各区の保健センターから保健師10名、全庁から事務職を50名動員して保健所に配置しました。神田市議は「流行していない今の時期に抜本的に正規の保健師の確保を進め、保健所体制の強化を図るべき」と求めました。

 

 しかし市は「第5波の課題を踏まえ、感染初期の段階で庁内の保健師、事務職、民間の協力で必要な人員を配置する」として、正規の保健師の増員にはふれませんでした。そのため、神田市議は「第5波の医療崩壊から学ぼうとせず、医療も検査も保健所体制も多少の拡充で乗り切ろうという姿勢は問題だ」と批判しました。

 

 さらに神田市議は、コロナ対策として3回にわたりおこなわれた経済対策(小規模企業者給付金)の継続を求めました。市は、「小規模企業者等への給付金については、引き続き市内の経済動向を注視し、事業者や経済団体のご意見を踏まえ必要な経済対策を実施する」と表明しました。

 

地域医療構想の撤回・見直しを

 

 厚生労働省は、新型コロナ感染症が猛威をふるっていた昨年の段階においても、国が決めた「地域医療構想」による公立、公的病院の病床削減を強行しました。その結果、2020年だけで3700床のベッド削減がおこなわれています。神田市議は、「コロナ対策として病床確保が重要な時、病床削減を求める地域医療構想は一旦停止し、見直すべき。全国知事会や市長会にも働きかけ、国に意見を上げるべき」と求めました。

 

 市は「現時点では撤回や見直しを求めることは考えていない」と述べましたが、地域医療構想については、全国市長会から①地域医療構想等、地方との協議をおこない、その意見を施策に反映する②地域の実情に応じた支援策③コロナ感染症対策の実施によって地域住民の命を守る公立公的医療機関が担う役割の重要性が改めて認識されたことを踏まえ、再編統合を前提とすることなく地域医療を確保する観点から検討することの3点を要望していることを明らかにしました。

 

温室効果ガス 市の削減目標が低すぎる

 

 続いて神田市議は、気候危機についてとりあげ、「さいたま市の地球温暖化対策実行計画によれば、さいたま市の温室効果ガス削減目標は35%であり、国の目標よりも低い」と指摘。目標数値の見直しを求めました。市は国の目標よりも低いことを認めたものの、「地球温暖化対策推進法の改正によるあらたなとりくみで、目標の上積みは可能と考えている。現在策定を進めている『ゼロカーボンシティ戦略』のなかで実効性のある目標となるよう検討する」と答えました。

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