議会報告

とばめぐみ

問題だらけの会計年度任用職員制度

2月議会予算委員会で質問するとば市議

2023年度、さいたま市の職員総数2万1304人のうち正規職員は9782人。半数以上が非正規職員で、そのうち4116人が会計年度任用職員、7406人は特別職非常勤(退職者等)でした。定年延長により、特別職非常勤は前年に比べて1000人以上増えました。

 

ここでいう会計年度任用職員とは、地方公務員法の改正にともなって2020年に導入された非常勤職員の制度です。法改正により、従来の非常勤職員・臨時職員・パート職員は会計年度任用職員へと移行しました。勤務形態はフルタイムおよびパートタイム等、時間も日数も時給(1000円台から5000円台)もさまざまです。任期は基本1年、まさに会計の年度ごとの入れ替えですが、継続的な業務の場合には、続けたければ公募に応募するしくみです。

 

さいたま市では最長5年継続されます。民間の非正規労働者は5年働いたら正社員になれますが、公務の会計年度任用職員はどんなに働いても常勤になることはありません。

 

優秀な職員でも「雇い止め」

 

市は2023年度、前年度から継続して採用された会計年度任用職員のうち167人に対して「2024年度採用なし」という通知を出しました。要するに「あと1年で雇い止め」という宣告です。

 

この通知を受け取った会計年度任用職員の方から、とばめぐみ市議に相談がありました。「担当している業務は続いており、任期5年に達していない。意向の確認もない。なぜ『採用なし』なのか」と。この方は、ひとつの事業を任され、なけなしの予算を駆使してすばらしい事業を4年間、責任をもって続けてきました。事業自体は来年も続くのに、市はこの事業のほかに業務をつけ足し、「業務内容が変わった」という理由で「採用なし」の通知を出しました。もし続けたいなら公募に応募しなさいというものです。この方は応募し、勤務評価が「A」であるにもかかわらず「不採用」でしたが、国の通知に従ってほかの採用を紹介するところまで進んできました。

 

これを受け、とばめぐみ市議は2月議会の総合政策委員会でこの問題をとりあげ、国は「採用なし」を通知する場合には本人によく説明することを求めている、と紹介。日本共産党国会議員団も全国の雇い止め問題を厳しく追求していることからも、市は雇い止めをやめて当事者とよく話し合うことを求めました。

 

雇い止めは収入を失うことになります。来年自分の仕事があるのかないのか、多くの会計年度任用職員が不安を抱えて働いています。まさに公務労働の調整弁。そのほとんどが女性です。

 

常勤職員と同じように 遡及支給を実施せよ

 

日本共産党国会議員団は、常勤職員と同じように給与改定をおこなうこと、国がその財政措置を取ることを求めてきました。

国としても2023年度の人事院勧告を受けて、「給与改定をおこなう場合は実施期間も含めて常勤と同じように支給すること、所要額は国が補正予算を組んで対応する」旨をくり返し通知しています。とば市議も、2月議会の予算委員会などで「遡及支給」の問題をとりあげました。

 

昨年11月には、会計年度任用職員に対して常勤職員と同じように遡及支給をおこなう自治体は3割程度でした。しかし、12月27日に総務省から「会計年度任用職員制度の適正な運用等について」という会計年度任用職員の処遇に特化した詳細な通知が出されたことによって、年明けには多くの自治体が遡及支給に踏み切り、6割を超える自治体に広がりました。12月27日の通知は、全国の会計年度任用職員が立ち上がり、「STOP!三年公募制!STOP!会計年度任用職員制度!STOP!女性差別!」をスローガンに、何度も何度も院内集会や学習会や抗議行動を重ねてきたことで出させた通知です。

 

本市は「会計年度任用職員の働き方はさまざまで、給与計算が複雑で大変」「給与改定によって、課税されてしまう会計年度任用職員もいる」などとして、「会計年度任用職員には2023年4月の遡及支給はおこなわず、2024年4月から給与改定」の姿勢を変えませんでした。その結果、会計年度任用職員の給与改定は常勤職員の給与改定から丸1年、遅れることとなりました。年明けに遡及支給を決めた自治体が倍以上に増えたのは、その複雑な計算を乗り越えて、常勤と同じように賃上げを保障するためです。さいたま市にもできないはずはありません。

 

これらはいずれも「女性に経済的自立は必要ない」と言わんばかりに低賃金で非正規公務員の職を担わせてきた構造的な問題です。とば市議は「本来、自治体はジェンダー格差を解消する旗を振るべき。公から真っ当な雇用をつくっていかなければ困るのは市民。男女平等社会の実現のためにも、今こそ政策転換を」と求めています。党市議団は今後もこの問題をとりあげていきます。

座談会 2024年2月議会をふりかえって

3月14日に閉会した2月議会について、党市議団としてふりかえる座談会をおこないました。メンバーは、予算委員をつとめた金子あきよ、とばめぐみの両市議、議案に対する質疑をおこなった松村としお市議、司会はたけこし連市議です。

 

くらし応援の予算求めて「反対」

 

たけこし 2月議会の予算委員会で党市議団が新年度予算案に反対した理由をうかがいます。

 

とば 市長は「選ばれる都市・新時代への進化」と銘打って、過去最大の1兆1816億円という予算を組みましたが、コロナと物価高騰で痛みきった市民の暮らしを支えるものではありませんでした。2都心4副都心開発には152億円もつぎ込む一方で、他市がおこなっている学校給食費の無償化や水道料金の引き下げ、中小企業や農業への直接支援はまったくない。検討すらしない。高齢者や障がい者、医療関係予算は削減や制度廃止の繰り返し。国保税は8年連続値上げ、介護保険料も値上げです。まちづくり関連では、市役所移転と跡地利用、地下鉄7号線延伸と中間駅建設、首都高延伸、大宮駅GCS化構想など大開発のオンパレードですが、一方で公立保育所は半分に減らす、レジャープールも削減、さらに公的介護施設「グリーンヒルうらわ」(緑区)の廃止も示されました。もちろん、予算案には歓迎できる事業も含まれていますが、予算に対する賛否というのはひとつひとつの事業に対して賛否を表明することができず、全体の予算に対して賛成か反対か、という表明の仕方しかできないルールになっています。そのため、全体として予算案には反対しました。

 

松村 くらし応援の予算は235億円ですが、ほとんどが国からのもので、市が出すお金は10億円にも満たない。市独自のくらし応援はしていません。借金が増え続けているのも問題です。建設関係大型公共事業目白押しで大丈夫かと懸念します。市庁舎移転総事業費は400億円に、地下鉄7号線延伸も1300億円に膨れあがり、際限がありません。上限を決めて事業費を抑えるしくみが必要だと提案しましたが、市は受け入れませんでした。その結果がくらしや福祉の予算の削減です。党市議団は予算組み替えも具体的に提案し、予算案のほんの2%を組み替えるだけで、くらし・福祉・防災対策を充実できると示しましたが、とりくもうとしないのが現実です。

 

たけこし 大型公共事業予算には上限を設けていないと財政局長が明言しており、非常に問題だと感じます。

 

市職員の非正規化は問題

 

とば 市の職員の非正規化についてもとりあげました。本市の職員は2万1000人を超えますが、半分以上が非正規です。4116人の会計年度任用職員のうち167人に雇止め通知を出していることが明らかになりました。また、常勤職員の給与改定は今年度4月に遡って支給されるのに、会計年度任用職員は翌年からです。常勤と同じように遡及支給するよう国から再三通知が出され、全自治体の6割が実施しても、本市は実施しません。

 

たけこし 職員の働き方が市民サービスに直接影響することについては、松村市議も代表質問でとりあげましたよね。

 

松村 会計年度任用職員の8割が女性であることから、女性に対する間接差別だという認識はあるかと質しました。これは国の制度なので、日本共産党は国会でも非正規ワーカー待遇改善法を提案し、会計年度任用職員も希望すれば無期雇用に転換できるようにすべきこと、長年勤めてきた会計年度任用職員を新規採用といっしょに公募に応募させるルールを廃止して、公募は新規採用に限定することを求めています。連携したとりくみが必要です。

 

たけこし これは制度そのものが大きな問題ですね。さて、学校の問題では金子市議、いかがでしょうか。

 

市民にあたたかいまちづくりを

 

金子 教室不足が深刻です。市長は「昨年12月に出された人口推計で、本市の人口ピークを10年先延ばしすることができた。とくにゼロ歳から14歳までの子どもの転入超過数が全国1位だ」と自慢していますが、その結果、来年度は10校76教室がプレハブ教室になります。大型マンションができて子どもの数が激増した大宮南小学校は、体育の授業ができず、県立大宮高校の校庭を借りています。浦和別所小学校もプレハブ建設で校庭が使えず、子どもは3日に1回しか校庭で遊べないとNHKでも紹介されました。

 

たけこし まちづくりを進める時には住民第一という視点が必要ですよね。地下鉄7号線延伸についてはどうでしょうか。

 

松村 1300億円かけて18年くらいかかりそうだということが分かりました。これだけのお金をかけるなら、バスやデマンド交通など、市民のみなさんの日常的な移動手段の充実にこそ使うべきだと思いますね。

 

たけこし 上下水道についてはどうでしょうか。

 

とば 水道の基本料金を1カ月無料にするのに必要な予算は9億円です。市は毎年50億円余の黒字を出しながら、減免の検討もしません。なにより問題なのは下水道整備の受益者負担金です。一切徴収していない政令市は6市もあり、徴収していても1㎡200~500円です。本市は810円と高すぎることによって負担金が1000万円を超えた市民が複数存在します。払えなければ延滞金まで課すしくみは改めるべきです。

 

たけこし 予算から、市民に冷たい市政が浮きぼりになりましたね。(次号に続く)

 

市政をもっと身近に 2月議会報告会を開催  

会場いっぱいの参加者で開かれた議会報告会

3月30日、北区のプラザノースで2月議会報告会が開催されました。6人の市議全員が参加し、2月議会でとりくんだ内容について報告をおこないました。

 

はじめに、代表質問にたった松村としお市議から、さいたま市の予算から見えてくる都市開発優先と福祉削減の特徴などについて報告があり、次に同じく代表質問にたったたけこし連市議から、与野中央公園5000人アリーナ計画での周辺住宅への被害とその補償についてなどの報告がありました。

 

続いて、久保みき市が高齢社会における地域公共交通特別委員会での議論を紹介しながら、党市議団の公共交通政策について報告し、池田めぐみ市議が能登半島地震の教訓を生かすよう求めた市の防災対策と、2月議会で可決されたインターネット安心利用条例の経緯と期待される効果について報告しました。とばめぐみ市議からは会計年度任用職員の問題について、党国会議員団と連携しながら課題解決にとりくんだ事例を報告。最後に金子あきよ市議から、北区の独立行政法人地域医療機能推進機構(JHCO)跡地利用の方向性とその課題についての報告がありました。

 

各市議の報告後には、さまざまな質問が出され、それぞれに市議が答えていきました。参加した市民からは「党市議団の奮闘ぶりが伝わってきた」「さいたま市の抱える問題がよくわかった」「空白区でも議員を身近に感じられる機会になった」などの感想が寄せられています。

 

松村市議は「市内で党市議のいない行政区が4つ(北区・大宮区・西区・岩槻区)あり、そこについては市議団で市政報告会をおこなうと決めてから1年が経過し、4行政区をまわることができた。どの行政区でも市政報告会に積極的に市民が参加してくれており、市政を身近に感じてもらっている。引き続き、新年度も市政報告を続けていきたいと思う」と話しました。

2024年2月議会*総合政策委員会議案外質問 見沼区で次々と施設の中規模修繕が延期に

公共施設マネジメント計画で予定されていた区役所と片柳小学校(いずれも見沼区)の中規模修繕が延期されました。片柳小学校は義務教育学校の検討がはじまったことを理由に、見沼区役所は躯体調査をおこなった結果、3年程度の耐久性があることを理由に、修繕の延期を決定した、とのことです。

 

とばめぐみ市議は「どちらの現場も中規模修繕を機会に安全で使いやすい施設にするために、さまざまな準備をしていた。現場に対してくわしい説明や聞き取りもなく、話し合いもせずに一方的に延期を通知するやり方は改めるべき」と求めました。

熊本市と北九州市を視察 連携中枢都市圏とは?

1月15~16日に、大都市行財政将来ビジョン特別委員会が熊本市、北九州市を視察し、とばめぐみ、池田めぐみの両市議が参加しました。人口減少・少子高齢社会において地域活性化と持続可能な経済、安心快適な暮らしを営むために、中心都市が近隣の市町村と連携し活力ある社会経済を維持する拠点づくりを進めるという「連携中枢都市圏のとりくみ」の実践を学びました。

 

これは、指定都市市長会で清水市長がその先頭に立ってすすめようとしている「特別市(道府県の区域外と一層制の地方自治体)」の法制化と同時にすすめられており、連携中枢都市圏ごとに政令市や中核市を先頭に経済成長や都市機能の強化をめざすものです。

 

視察したとば市議は「政令市が、主要駅前大開発とそうでない地域に格差をもたらすいびつなまちづくりをしてきたことがさらに繰り返されるのではないかという懸念が払拭できない。地元の願いではなく国の政策を日本中に押しつけているようなやり方は、今後、注意深く見ていくことが必要」と話しました。

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