議会報告

とばめぐみ

2024年6月議会*市民生活委員会議案外質問 女性支援のための予算を増やせ

市民生活委員会で質問をおこなうとばめぐみ市議

今年4月から、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律(女性支援法)が施行されました。女性支援のもっとも重要な担い手は女性相談支援員ですが、国会で明らかになった女性相談支援員の実態は、会計年度任用職員が9割超、月額報酬19万円未満が8割超、95%の自治体は国が実施する処遇改善の補助事業を使っていない等、低待遇です。とばめぐみ市議はこの分野での本市の状況を質しました。その結果、本市では全員が会計年度任用職員、厚労省が示す女性相談支援員手当より低い賃金で国の補助事業の手当ては活用していないと、国よりさらに低待遇であることが分かりました。

 

女性支援に関わる予算は「相談・DV防止事業」のみでたったの504万8000円。昨年よりも100万円近く削減されています。女性支援法が施行された年に、前年度より少ない予算でどうやって困難な問題を抱える女性への支援を前に進めることができるのでしょうか。

 

女性議連で視察した仙台市は14億3100万円で本市の24倍、横浜市は6億6200万円で本市の11倍です。いずれの市も、民間の公益財団法人に十分な予算をつけており、法人は大変充実した活動にとりくんでいました。女性支援は長きにわたり、多くの民間団体が担ってきました。とば市議は民間団体への恒常的な補助と連携を検討することを求めました。

 

2024年6月議会*一般質問 特別障害者手当 必要なすべての人に知らせて

一般質問にたつとばめぐみ市議

6月10日、一般質問に立ったとばめぐみ市議は「住宅リフォーム助成制度」「特別障害者手当」「重度障がい者グループホーム」「地域公共交通の充実」「夜間中学の設置」の5項目について質問しました。

 

重い障がいがあり、日常生活に常時特別な介護が必要な20歳以上の人に支給される、国の「特別障害者手当」については、「障がい者手帳がなくても受けられる」「要介護4、5の人は受けられる可能性が高い」「グループホーム、有料老人ホーム、3カ月未満の入院やショートステイ、サービス付き高齢者住宅も含まれる」等のしくみをほとんどの市民が知りません。
とば市議は「特別障害者手当」について特集したしんぶん赤旗日曜版の記事を掲示し、「記事を見た複数の市民から相談があり、手当の受給に結びついたものの、地域のケアマネージャーがこの制度をほとんど知らなかった」と指摘し、「市の責任でケアマネージャーに制度を正しく知らせるための研修を」「要介護4、5の認定通知には手当の案内の同封を」と求めました。福祉局長は「ケアマネージャーは生活全般の相談・援助を行うことも多く、介護保険以外の社会福祉全般の幅広い知識が求められる」として、各種協会の会議で周知していると説明。市民への通知については「要介護3以上の人に送る紙おむつ利用等の案内資料に、特別障害者手当の説明掲載を検討している」と答弁。この間、とば市議が3度にわたり求めてきたことによる大きな前進です。とば市議は「すべてのケアマネージャーが制度を熟知していることが一番の近道。必ず徹底してほしい」と重ねて求めました。

 

 

民間バスへの支援を

 

 

次に地域公共交通について、全国で運転手不足や経営難を理由に路線バスの減便や廃止、自治体が運営するコミュニティーバス委託事業からの撤退が相次いでいることを指摘すると、市は「現状の分析に努めている」と答弁。
とば市議は、「全国の政令市の6割に交通局があり、6割が市営交通を運行している。本市はどちらもない。政令市と県内中核市のすべてが民間公共交通になんらかの支援をおこなっているのに対し、本市だけは支援もおこなっていない」と厳しく指摘し、「100%民間バス会社頼みの本市こそ財政的支援をおこない、バス会社が市民の声に応えられるようにするべきだ」と求めました。都市局長は「運転手の確保などの対策で交通事業者と定期的に意見交換をおこない、連携していく」と述べ、「事業者への補助についても検討する」と答弁しました。とば市議は「高齢化が進むなか、免許を返納した市民はバスが頼り。病院をはじめ、行きたいところに行けない現状は市民の交通権とともに、生存権、幸福追求権をも奪うものだ」と強調し、早急な支援を求めました。

 

「住宅リフォーム助成制度」「重度障害者グループホーム」「夜間中学の設置」についてはどれも市民の願いに背を向ける冷たい答弁でした。とば市議は「住宅リフォーム助成制度は全国に広がっている。このままでは建設職人はいなくなる」「障害者が地域で暮らすことを保障するのは市の責務。県の空き家を活用した重度障害者グループホーム整備促進事業同等の事業を本市もおこなうべき」「国が全都道府県、全政令市に少なくとも1校の夜間中学をと再三求めていることを無視することは許されない。17の政令市が設置(検討含む)している。形式卒業生も、現役中学生も夜間中学に受け入れられるように拡充された教育機会確保法を活かすべき」とそれぞれ厳しく質しました。

「戦争やめよ」「 国際法守れ」 請願が不採択に

討論をおこなうとば市議

2月議会に提出された「国際法遵守の呼びかけに関する請願」の閉会中審査が5月24日に総合政策委員会でおこなわれました。党市議団は紹介議員となりました。

 

立憲民主党・無所属の会さいたま市議団が不採択の立場で「本市も九都県市首脳による緊急人道アピールを発出するなど意見表明しており、単独でおこなうより注目度も高く請願者の意図にも合致することから、人道支援の活動に努め、国際社会全体でのより一層の努力を注視していきたいと考え、本請願には不採択」と討論。

 

一方で、とばめぐみ市議が「ガザの事態を憂慮し、即時停戦と人道支援を訴える中東研究者のアピールは、国連総会決議、安全保障理事会決議に合致する。請願は本議会に国際法の遵守と平和の呼びかけをおこなうことを求めており、願意は妥当」と主張。

 

とばめぐみと池田めぐみの両市議、および無所属市議の3人が採択を求めましたが、賛成少数で不採択となりました。

問題だらけの会計年度任用職員制度

2月議会予算委員会で質問するとば市議

2023年度、さいたま市の職員総数2万1304人のうち正規職員は9782人。半数以上が非正規職員で、そのうち4116人が会計年度任用職員、7406人は特別職非常勤(退職者等)でした。定年延長により、特別職非常勤は前年に比べて1000人以上増えました。

 

ここでいう会計年度任用職員とは、地方公務員法の改正にともなって2020年に導入された非常勤職員の制度です。法改正により、従来の非常勤職員・臨時職員・パート職員は会計年度任用職員へと移行しました。勤務形態はフルタイムおよびパートタイム等、時間も日数も時給(1000円台から5000円台)もさまざまです。任期は基本1年、まさに会計の年度ごとの入れ替えですが、継続的な業務の場合には、続けたければ公募に応募するしくみです。

 

さいたま市では最長5年継続されます。民間の非正規労働者は5年働いたら正社員になれますが、公務の会計年度任用職員はどんなに働いても常勤になることはありません。

 

優秀な職員でも「雇い止め」

 

市は2023年度、前年度から継続して採用された会計年度任用職員のうち167人に対して「2024年度採用なし」という通知を出しました。要するに「あと1年で雇い止め」という宣告です。

 

この通知を受け取った会計年度任用職員の方から、とばめぐみ市議に相談がありました。「担当している業務は続いており、任期5年に達していない。意向の確認もない。なぜ『採用なし』なのか」と。この方は、ひとつの事業を任され、なけなしの予算を駆使してすばらしい事業を4年間、責任をもって続けてきました。事業自体は来年も続くのに、市はこの事業のほかに業務をつけ足し、「業務内容が変わった」という理由で「採用なし」の通知を出しました。もし続けたいなら公募に応募しなさいというものです。この方は応募し、勤務評価が「A」であるにもかかわらず「不採用」でしたが、国の通知に従ってほかの採用を紹介するところまで進んできました。

 

これを受け、とばめぐみ市議は2月議会の総合政策委員会でこの問題をとりあげ、国は「採用なし」を通知する場合には本人によく説明することを求めている、と紹介。日本共産党国会議員団も全国の雇い止め問題を厳しく追求していることからも、市は雇い止めをやめて当事者とよく話し合うことを求めました。

 

雇い止めは収入を失うことになります。来年自分の仕事があるのかないのか、多くの会計年度任用職員が不安を抱えて働いています。まさに公務労働の調整弁。そのほとんどが女性です。

 

常勤職員と同じように 遡及支給を実施せよ

 

日本共産党国会議員団は、常勤職員と同じように給与改定をおこなうこと、国がその財政措置を取ることを求めてきました。

国としても2023年度の人事院勧告を受けて、「給与改定をおこなう場合は実施期間も含めて常勤と同じように支給すること、所要額は国が補正予算を組んで対応する」旨をくり返し通知しています。とば市議も、2月議会の予算委員会などで「遡及支給」の問題をとりあげました。

 

昨年11月には、会計年度任用職員に対して常勤職員と同じように遡及支給をおこなう自治体は3割程度でした。しかし、12月27日に総務省から「会計年度任用職員制度の適正な運用等について」という会計年度任用職員の処遇に特化した詳細な通知が出されたことによって、年明けには多くの自治体が遡及支給に踏み切り、6割を超える自治体に広がりました。12月27日の通知は、全国の会計年度任用職員が立ち上がり、「STOP!三年公募制!STOP!会計年度任用職員制度!STOP!女性差別!」をスローガンに、何度も何度も院内集会や学習会や抗議行動を重ねてきたことで出させた通知です。

 

本市は「会計年度任用職員の働き方はさまざまで、給与計算が複雑で大変」「給与改定によって、課税されてしまう会計年度任用職員もいる」などとして、「会計年度任用職員には2023年4月の遡及支給はおこなわず、2024年4月から給与改定」の姿勢を変えませんでした。その結果、会計年度任用職員の給与改定は常勤職員の給与改定から丸1年、遅れることとなりました。年明けに遡及支給を決めた自治体が倍以上に増えたのは、その複雑な計算を乗り越えて、常勤と同じように賃上げを保障するためです。さいたま市にもできないはずはありません。

 

これらはいずれも「女性に経済的自立は必要ない」と言わんばかりに低賃金で非正規公務員の職を担わせてきた構造的な問題です。とば市議は「本来、自治体はジェンダー格差を解消する旗を振るべき。公から真っ当な雇用をつくっていかなければ困るのは市民。男女平等社会の実現のためにも、今こそ政策転換を」と求めています。党市議団は今後もこの問題をとりあげていきます。

座談会 2024年2月議会をふりかえって

3月14日に閉会した2月議会について、党市議団としてふりかえる座談会をおこないました。メンバーは、予算委員をつとめた金子あきよ、とばめぐみの両市議、議案に対する質疑をおこなった松村としお市議、司会はたけこし連市議です。

 

くらし応援の予算求めて「反対」

 

たけこし 2月議会の予算委員会で党市議団が新年度予算案に反対した理由をうかがいます。

 

とば 市長は「選ばれる都市・新時代への進化」と銘打って、過去最大の1兆1816億円という予算を組みましたが、コロナと物価高騰で痛みきった市民の暮らしを支えるものではありませんでした。2都心4副都心開発には152億円もつぎ込む一方で、他市がおこなっている学校給食費の無償化や水道料金の引き下げ、中小企業や農業への直接支援はまったくない。検討すらしない。高齢者や障がい者、医療関係予算は削減や制度廃止の繰り返し。国保税は8年連続値上げ、介護保険料も値上げです。まちづくり関連では、市役所移転と跡地利用、地下鉄7号線延伸と中間駅建設、首都高延伸、大宮駅GCS化構想など大開発のオンパレードですが、一方で公立保育所は半分に減らす、レジャープールも削減、さらに公的介護施設「グリーンヒルうらわ」(緑区)の廃止も示されました。もちろん、予算案には歓迎できる事業も含まれていますが、予算に対する賛否というのはひとつひとつの事業に対して賛否を表明することができず、全体の予算に対して賛成か反対か、という表明の仕方しかできないルールになっています。そのため、全体として予算案には反対しました。

 

松村 くらし応援の予算は235億円ですが、ほとんどが国からのもので、市が出すお金は10億円にも満たない。市独自のくらし応援はしていません。借金が増え続けているのも問題です。建設関係大型公共事業目白押しで大丈夫かと懸念します。市庁舎移転総事業費は400億円に、地下鉄7号線延伸も1300億円に膨れあがり、際限がありません。上限を決めて事業費を抑えるしくみが必要だと提案しましたが、市は受け入れませんでした。その結果がくらしや福祉の予算の削減です。党市議団は予算組み替えも具体的に提案し、予算案のほんの2%を組み替えるだけで、くらし・福祉・防災対策を充実できると示しましたが、とりくもうとしないのが現実です。

 

たけこし 大型公共事業予算には上限を設けていないと財政局長が明言しており、非常に問題だと感じます。

 

市職員の非正規化は問題

 

とば 市の職員の非正規化についてもとりあげました。本市の職員は2万1000人を超えますが、半分以上が非正規です。4116人の会計年度任用職員のうち167人に雇止め通知を出していることが明らかになりました。また、常勤職員の給与改定は今年度4月に遡って支給されるのに、会計年度任用職員は翌年からです。常勤と同じように遡及支給するよう国から再三通知が出され、全自治体の6割が実施しても、本市は実施しません。

 

たけこし 職員の働き方が市民サービスに直接影響することについては、松村市議も代表質問でとりあげましたよね。

 

松村 会計年度任用職員の8割が女性であることから、女性に対する間接差別だという認識はあるかと質しました。これは国の制度なので、日本共産党は国会でも非正規ワーカー待遇改善法を提案し、会計年度任用職員も希望すれば無期雇用に転換できるようにすべきこと、長年勤めてきた会計年度任用職員を新規採用といっしょに公募に応募させるルールを廃止して、公募は新規採用に限定することを求めています。連携したとりくみが必要です。

 

たけこし これは制度そのものが大きな問題ですね。さて、学校の問題では金子市議、いかがでしょうか。

 

市民にあたたかいまちづくりを

 

金子 教室不足が深刻です。市長は「昨年12月に出された人口推計で、本市の人口ピークを10年先延ばしすることができた。とくにゼロ歳から14歳までの子どもの転入超過数が全国1位だ」と自慢していますが、その結果、来年度は10校76教室がプレハブ教室になります。大型マンションができて子どもの数が激増した大宮南小学校は、体育の授業ができず、県立大宮高校の校庭を借りています。浦和別所小学校もプレハブ建設で校庭が使えず、子どもは3日に1回しか校庭で遊べないとNHKでも紹介されました。

 

たけこし まちづくりを進める時には住民第一という視点が必要ですよね。地下鉄7号線延伸についてはどうでしょうか。

 

松村 1300億円かけて18年くらいかかりそうだということが分かりました。これだけのお金をかけるなら、バスやデマンド交通など、市民のみなさんの日常的な移動手段の充実にこそ使うべきだと思いますね。

 

たけこし 上下水道についてはどうでしょうか。

 

とば 水道の基本料金を1カ月無料にするのに必要な予算は9億円です。市は毎年50億円余の黒字を出しながら、減免の検討もしません。なにより問題なのは下水道整備の受益者負担金です。一切徴収していない政令市は6市もあり、徴収していても1㎡200~500円です。本市は810円と高すぎることによって負担金が1000万円を超えた市民が複数存在します。払えなければ延滞金まで課すしくみは改めるべきです。

 

たけこし 予算から、市民に冷たい市政が浮きぼりになりましたね。(次号に続く)

 

ページトップへ