議会報告

2024年6月議会*一般質問 特別障害者手当 必要なすべての人に知らせて

一般質問にたつとばめぐみ市議

6月10日、一般質問に立ったとばめぐみ市議は「住宅リフォーム助成制度」「特別障害者手当」「重度障がい者グループホーム」「地域公共交通の充実」「夜間中学の設置」の5項目について質問しました。

 

重い障がいがあり、日常生活に常時特別な介護が必要な20歳以上の人に支給される、国の「特別障害者手当」については、「障がい者手帳がなくても受けられる」「要介護4、5の人は受けられる可能性が高い」「グループホーム、有料老人ホーム、3カ月未満の入院やショートステイ、サービス付き高齢者住宅も含まれる」等のしくみをほとんどの市民が知りません。
とば市議は「特別障害者手当」について特集したしんぶん赤旗日曜版の記事を掲示し、「記事を見た複数の市民から相談があり、手当の受給に結びついたものの、地域のケアマネージャーがこの制度をほとんど知らなかった」と指摘し、「市の責任でケアマネージャーに制度を正しく知らせるための研修を」「要介護4、5の認定通知には手当の案内の同封を」と求めました。福祉局長は「ケアマネージャーは生活全般の相談・援助を行うことも多く、介護保険以外の社会福祉全般の幅広い知識が求められる」として、各種協会の会議で周知していると説明。市民への通知については「要介護3以上の人に送る紙おむつ利用等の案内資料に、特別障害者手当の説明掲載を検討している」と答弁。この間、とば市議が3度にわたり求めてきたことによる大きな前進です。とば市議は「すべてのケアマネージャーが制度を熟知していることが一番の近道。必ず徹底してほしい」と重ねて求めました。

 

 

民間バスへの支援を

 

 

次に地域公共交通について、全国で運転手不足や経営難を理由に路線バスの減便や廃止、自治体が運営するコミュニティーバス委託事業からの撤退が相次いでいることを指摘すると、市は「現状の分析に努めている」と答弁。
とば市議は、「全国の政令市の6割に交通局があり、6割が市営交通を運行している。本市はどちらもない。政令市と県内中核市のすべてが民間公共交通になんらかの支援をおこなっているのに対し、本市だけは支援もおこなっていない」と厳しく指摘し、「100%民間バス会社頼みの本市こそ財政的支援をおこない、バス会社が市民の声に応えられるようにするべきだ」と求めました。都市局長は「運転手の確保などの対策で交通事業者と定期的に意見交換をおこない、連携していく」と述べ、「事業者への補助についても検討する」と答弁しました。とば市議は「高齢化が進むなか、免許を返納した市民はバスが頼り。病院をはじめ、行きたいところに行けない現状は市民の交通権とともに、生存権、幸福追求権をも奪うものだ」と強調し、早急な支援を求めました。

 

「住宅リフォーム助成制度」「重度障害者グループホーム」「夜間中学の設置」についてはどれも市民の願いに背を向ける冷たい答弁でした。とば市議は「住宅リフォーム助成制度は全国に広がっている。このままでは建設職人はいなくなる」「障害者が地域で暮らすことを保障するのは市の責務。県の空き家を活用した重度障害者グループホーム整備促進事業同等の事業を本市もおこなうべき」「国が全都道府県、全政令市に少なくとも1校の夜間中学をと再三求めていることを無視することは許されない。17の政令市が設置(検討含む)している。形式卒業生も、現役中学生も夜間中学に受け入れられるように拡充された教育機会確保法を活かすべき」とそれぞれ厳しく質しました。

市有地が不正に売却!?真相究明求める

与野駅西口土地区画整理事業のなかの市有地を市職員がきちんとした手続きをとらずに売却したことが4月の定期監査で発覚し、市は調査を進めてきました。6月5日の市議会本会議で市長が陳謝するとともに経過報告がおこなわれました。

 

6月6日、報告への質疑に立った松村としお市議は「市職員の行動は不可解。再発防止策を考えるうえでも真相究明が必要」と指摘し、市の基本姿勢を質しました。都市局長は「調査検討会議により、発生原因や動機の調査、課題等の整理及び再発防止策の検討をしっかりとおこない、今後の再発防止と市民のみなさまの信頼回復にとりくむ」と答弁しました。

 

松村市議は市有地の売却相手と市および職員との関係等について質問しましたが、多くは「調査中」という答弁でした。また売却相手についても「土地返還に向けた任意協議中」であることを理由に「答えを差し控えたい」と具体的な答弁はありませんでした。市は現在進めている庁内調査について、6月末に議会に改めて報告するとしています。松村市議は調査を求めた事項も報告するよう求めました。
他会派もこの問題について質疑しましたが、同様の答弁が続きました。質疑後、全議員の賛成で「市民の信頼回復に全力で取り組むことを求める決議」をあげ、「発生原因の調査と再発防止策の検討」「違法行為に対する厳正な処分」とあわせ、「早急に刑事告訴」をおこなうことを市に強く求めました。

「戦争やめよ」「 国際法守れ」 請願が不採択に

討論をおこなうとば市議

2月議会に提出された「国際法遵守の呼びかけに関する請願」の閉会中審査が5月24日に総合政策委員会でおこなわれました。党市議団は紹介議員となりました。

 

立憲民主党・無所属の会さいたま市議団が不採択の立場で「本市も九都県市首脳による緊急人道アピールを発出するなど意見表明しており、単独でおこなうより注目度も高く請願者の意図にも合致することから、人道支援の活動に努め、国際社会全体でのより一層の努力を注視していきたいと考え、本請願には不採択」と討論。

 

一方で、とばめぐみ市議が「ガザの事態を憂慮し、即時停戦と人道支援を訴える中東研究者のアピールは、国連総会決議、安全保障理事会決議に合致する。請願は本議会に国際法の遵守と平和の呼びかけをおこなうことを求めており、願意は妥当」と主張。

 

とばめぐみと池田めぐみの両市議、および無所属市議の3人が採択を求めましたが、賛成少数で不採択となりました。

問題だらけの会計年度任用職員制度

2月議会予算委員会で質問するとば市議

2023年度、さいたま市の職員総数2万1304人のうち正規職員は9782人。半数以上が非正規職員で、そのうち4116人が会計年度任用職員、7406人は特別職非常勤(退職者等)でした。定年延長により、特別職非常勤は前年に比べて1000人以上増えました。

 

ここでいう会計年度任用職員とは、地方公務員法の改正にともなって2020年に導入された非常勤職員の制度です。法改正により、従来の非常勤職員・臨時職員・パート職員は会計年度任用職員へと移行しました。勤務形態はフルタイムおよびパートタイム等、時間も日数も時給(1000円台から5000円台)もさまざまです。任期は基本1年、まさに会計の年度ごとの入れ替えですが、継続的な業務の場合には、続けたければ公募に応募するしくみです。

 

さいたま市では最長5年継続されます。民間の非正規労働者は5年働いたら正社員になれますが、公務の会計年度任用職員はどんなに働いても常勤になることはありません。

 

優秀な職員でも「雇い止め」

 

市は2023年度、前年度から継続して採用された会計年度任用職員のうち167人に対して「2024年度採用なし」という通知を出しました。要するに「あと1年で雇い止め」という宣告です。

 

この通知を受け取った会計年度任用職員の方から、とばめぐみ市議に相談がありました。「担当している業務は続いており、任期5年に達していない。意向の確認もない。なぜ『採用なし』なのか」と。この方は、ひとつの事業を任され、なけなしの予算を駆使してすばらしい事業を4年間、責任をもって続けてきました。事業自体は来年も続くのに、市はこの事業のほかに業務をつけ足し、「業務内容が変わった」という理由で「採用なし」の通知を出しました。もし続けたいなら公募に応募しなさいというものです。この方は応募し、勤務評価が「A」であるにもかかわらず「不採用」でしたが、国の通知に従ってほかの採用を紹介するところまで進んできました。

 

これを受け、とばめぐみ市議は2月議会の総合政策委員会でこの問題をとりあげ、国は「採用なし」を通知する場合には本人によく説明することを求めている、と紹介。日本共産党国会議員団も全国の雇い止め問題を厳しく追求していることからも、市は雇い止めをやめて当事者とよく話し合うことを求めました。

 

雇い止めは収入を失うことになります。来年自分の仕事があるのかないのか、多くの会計年度任用職員が不安を抱えて働いています。まさに公務労働の調整弁。そのほとんどが女性です。

 

常勤職員と同じように 遡及支給を実施せよ

 

日本共産党国会議員団は、常勤職員と同じように給与改定をおこなうこと、国がその財政措置を取ることを求めてきました。

国としても2023年度の人事院勧告を受けて、「給与改定をおこなう場合は実施期間も含めて常勤と同じように支給すること、所要額は国が補正予算を組んで対応する」旨をくり返し通知しています。とば市議も、2月議会の予算委員会などで「遡及支給」の問題をとりあげました。

 

昨年11月には、会計年度任用職員に対して常勤職員と同じように遡及支給をおこなう自治体は3割程度でした。しかし、12月27日に総務省から「会計年度任用職員制度の適正な運用等について」という会計年度任用職員の処遇に特化した詳細な通知が出されたことによって、年明けには多くの自治体が遡及支給に踏み切り、6割を超える自治体に広がりました。12月27日の通知は、全国の会計年度任用職員が立ち上がり、「STOP!三年公募制!STOP!会計年度任用職員制度!STOP!女性差別!」をスローガンに、何度も何度も院内集会や学習会や抗議行動を重ねてきたことで出させた通知です。

 

本市は「会計年度任用職員の働き方はさまざまで、給与計算が複雑で大変」「給与改定によって、課税されてしまう会計年度任用職員もいる」などとして、「会計年度任用職員には2023年4月の遡及支給はおこなわず、2024年4月から給与改定」の姿勢を変えませんでした。その結果、会計年度任用職員の給与改定は常勤職員の給与改定から丸1年、遅れることとなりました。年明けに遡及支給を決めた自治体が倍以上に増えたのは、その複雑な計算を乗り越えて、常勤と同じように賃上げを保障するためです。さいたま市にもできないはずはありません。

 

これらはいずれも「女性に経済的自立は必要ない」と言わんばかりに低賃金で非正規公務員の職を担わせてきた構造的な問題です。とば市議は「本来、自治体はジェンダー格差を解消する旗を振るべき。公から真っ当な雇用をつくっていかなければ困るのは市民。男女平等社会の実現のためにも、今こそ政策転換を」と求めています。党市議団は今後もこの問題をとりあげていきます。

座談会 2月議会をふりかえって vol.2

前回に引き続き、2月議会をふりかえって座談会をおこないます。今回は、2月議会でかちとった成果や前進面がテーマで、参加者は久保みき市議、池田めぐみ市議、司会はたけこし連市議です。

 

 

たけこし はじめに、非常に注目されている地域の公共交通について、成果と前進面を教えてください。

 

久保 この間、党市議団はコミュニティバスを便利にすることを求めて学習会を開催し、公共交通政策を作成し、市に提案してきました。このたび、交通政策で求めてきた、インターネットや電話で予約でき、好きなときに乗れるオンデマンドバスの実証実験が西区と桜区で実現し、高齢者の乗合バス料金の補助が検討されることになりました。

 

たけこし 地域住民の足の確保は、どの行政区でも非常に関心が高いです。党市議団として、今後のとりくみの目標は?

 

久保 デマンド交通の実施やコミュニティバスの存続を求めながら「多様な交通体系」で市民の足を確保することをめざします。

 

たけこし 課題は運転手不足ですよね。

 

久保 そうなんですよ。私も公共交通のあり方検討特別委員会で議論していますが、運転手不足は本当に悩ましい問題だと思っています。今後、課題を明らかにして対策を打ちたいですね。

 

たけこし 難しい問題ですよね。久保さんには特別委員会で政策実現のために奮闘してもらいたいと思います。続いて池田さん、いわゆる「ネット安心条例」について教えてください。

 

「ネット安心条例」が制定

 

池田 1年間、党派を超えてとりくんできました。そもそもは、インターネット上で誹謗中傷を受けて、亡くなってしまう方がいるという現状を踏まえて、さいたま市でなにかできないかということでプロジェクトチームが設置され、条例制定をめざしてきました。メンバーは12人、全会派から選ばれて、党市議団からは私が出席しました。条例づくりのため、大学教授の講演をはじめ、「いじめ防止シンポジウム」で小中学生がネット上でどんないじめを受けたのか事例を聞いたり、群馬県の相談窓口にメンバー全員で出向いて相談員の方にお話を聞いて、とりくみや課題をうかがいました。こうした議論を経て、2月議会で議案が提案され、全会派一致で条例が制定されました。

 

たけこし この条例で、今後どのような効果が期待できますか?

 

池田 自分が被害者や加害者にならないためにネットリテラシー向上のための施策を実施することになりました。そして被害者の方のための相談窓口をつくり、弁護士など必要な機関につなげられるようにしていく予定です。

 

たけこし この条例に罰則はありますか?

 

池田 パブリックコメントを取ったときには、罰則規定を設けてほしいといったような内容もあったんですけれども、罰則はありません。どうしたら誹謗中傷が起きないか、起こさせないかを重視した条例になりました。

 

たけこし 誰でもネットにアクセスできる環境だからこそ必要な条例なんですね。続いて、久保さんが長年とりくんでいるDV被害者支援でも大きな進展がありましたね。

 

DV被害者支援が前進

 

久保 これまでは、DV被害者が市の支援を受けるため、相談窓口ごとに、つらかった話をしなければなりませんでした。そのつど同じ話を、です。しかし、共通相談シートの導入を求め、それが実現し、1回の相談で済むようになりました。もうひとつは「支援を受けるためには市の窓口に来てね」と言うだけでは、心身ともに疲れ果てた被害者はなかなか足が向きません。そのため、本人の希望があれば同行者の帯同を認めるべきだということを主張してきたんですけど、同行支援事業が実施されることになりました。提案当初は「真の手助けとは甘やかすことではない」などと言われましたが、今議会では「同行支援は必要で、しっかりと手を差し伸べてやっていきたい」との答弁でした。涙が出ましたよ。

 

池田 私たち議員って市民の代弁者なんだなってずっと思っていて、これは、心が苦しい方々に対してすごく寄り添った政策ですよね。本当によかったなって思います。

 

AEDのガイドライン 18年ぶりに改善

 

たけこし 池田さんが議会質問で求めたAEDの設置も大きな前進がありましたね。

 

池田 はじめての議会質問で24時間使えるAEDをさいたま市に増やすことを求めました。そうしたら、18年ぶりにAED設置のガイドラインが変わりまして、公共施設のAEDも屋外設置が基本になりました。すごくうれしいです。あとAEDの場所って分かりづらいですけど、公共施設内はトイレのそばに設置するということもガイドライン化されました。みなさんが「AEDはどこだろう」と思った時に思い出してもらえるように情報発信していきたいなって思っています。

 

たけこし その他にも、地球温暖化対策の実施など、成果がたくさんあります。引き続き、課題を明らかにしつつ、市民のくらしや行政サービスの向上のために党市議団一丸となってがんばります。(おわり)

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