議会報告

2024年9月議会*代表質問 戦争の実相を未来につなげるために

代表質問を行う池田めぐみ市議

9月10日、9月議会本会議で、池田めぐみ市議が代表質問をおこないました。今年の夏、広島の平和祈念式に参加した池田市議は、戦後60年の節目に平和都市宣言をしたさいたま市が、戦後80年の来年こそ、平和推進事業に力を入れるべきだと強調。浦和区で今も残る2つの防空壕を視察した経験から、生きた教科書である「市内の防空壕調査」を提案しました。日野副市長は、「防空壕などの戦争に関する遺構や記録を継承することは、戦争の実相を伝えるうえで有効である。先進事例を研究していく」と答弁しました。池田市議は、国土交通省が4年ごとに実施している「特殊地下壕調査」で、20政令市のなかで調査に参加していないのは、さいたま市を含めて4市のみと指摘し、ぜひ調査し記録を残してほしいと求めました。

 

次に、さいたま市役所の現庁舎の跡地利活用についてとりあげ、市議団がまとめたアンケート結果をランキング形式で提示し、今後どのように市民の声を聞き、反映していくのか問いました。清水市長が答弁にたち、「2025年度に策定予定の利活用計画の骨子では、想定される複数パターンの事例研究をおこなうなかで、市民の意見を生かしていく」と約束しました。ケヤキなどの緑や、水の流れる段床など、現庁舎にある地域資源の取り扱いについては、今後調査し、残せるか対応を検討するとのことでした。

 

モデル事業で人手不足が明らかに

 

放課後子ども居場所事業での求人について、春からはじまった4校のモデル校のうち、栄小学校(西区)のスタッフ募集でスキマバイトアプリ「タイミー」が使われていた件で、党市議団は7月に、「履歴書なし、面接なし、事前研修なしの募集では子どもの安全は守れない」と指摘し、ストップするよう申し入れをおこないました。池田市議がこの問題について質したところ、「栄小学校での募集は、夏休み期間中の臨時的な人手不足を補うためであり、市議団からの申し入れ後に、スキマバイトアプリでの募集では有資格者限定にした」と答弁がありました。しかし、当日までどんな人が来るのか分からないのは大きな問題であり、事前の面接や研修が必須であるとあらためて指摘。モデル校4校だけでも人材確保に課題のある「放課後子ども居場所事業」を、検証もないまま拙速に拡大するのはやめるよう求めました。

 

さらに学校のエアコン問題については、さいたま市の小学校のエアコン設置率は、体育館0%、理科室1%、図工室4%、家庭科室2%であることを示し、早期設置を求めました。小学校の体育館と特別教室へのエアコンの設置については、PFI等導入可能性調査を実施し2025年度末までに整備方針を決定するという前向きな答弁がありました。また、池田市議が学校施設整備課と何度もやり取りをしてきた「北浦和小学校のわかば学級へのエアコン未設置問題」については、保護者からの切実な願いを伝えることで、教育委員会が動き、わかば学級へエアコン設置の方向で確約を取ることができました。

 

最後に、24時間使えるAEDの設置拡大と「ASUKAモデル」についてとりあげました。昨年の池田市議の初質問時に、市が管理する24時間使用可能なAEDは11台しかなかったものが、中学校の正門や区役所玄関への設置などで、80台に増えたことが分かりました。市内小学校(104校)と市立高校(3校)の正門への設置について要望すると、既存の施設のAEDと重複しないことが前提で、休日などの職員不在時に緊急に学校施設内のAEDを使用する必要性が生じた場合には、施設のガラスを割って使用するよう答弁があり、池田市議は、学校正門のAEDを北区と緑区の生徒がこの1年間に使用した実績があること、また、市内の学校でガラスを割ってAEDを使用した実績は過去10年間で0件だったことを明らかにし、学校正門へのAED設置が、地域の安全につながることを強調しました。  また、AEDの講習については、さいたま市の5万4000人の児童生徒が「ASUKAモデル」のとりくみのひとつである普通救命講習Ⅰを学んでいるほか、2023年度の市の応急手当講習は1758人の市民が受講したことがわかりました。「ASUKAモデル」の映像を、市の応急手当講習で上映できないかと求めた池田市議に対し、代表質問後、消防局長から講習の前や休憩中などに流せるようがんばりたいと声かけがありました。

 

池田市議の代表質問後、「放課後子ども居場所事業のスキマバイトアプリでの求人問題」については、埼玉新聞やフジテレビ「LiveNewsイット!」などでも取り上げられ、全国ニュースに発展しています。大きな流れのきっかけは、保護者の方からの相談でした。池田市議は「市民の声をいち早く受け止め、市民のために市政を変えていきたい」と話しました。

9月議会がスタート

9月4日(水)から、9月議会がはじまりました。10月18日(金)までの45日間の会期です。9月9~11日は代表・一般質問がおこなわれ、党市議団から久保みき、池田めぐみの両市議が登壇します。質問日時が決まり次第、ホームページでお知らせします。またインターネット中継もありますので、ぜひご覧ください。

 

 

4件の請願の紹介議員に

 

 

次の4件の請願の紹介議員になりました。常任委員会に諮られ、本会議で議決されます。党市議団は採択のためにちからを尽くします。

 

●18歳未満(高卒まで)の国保・均等割の減免措置を求める請願(さいたま市社保協)
●ガザに直ちに平和を、一刻も早い停戦を求める請願(さいたま南・大宮平和委員会)
● 核兵器禁止条約第3回締約国会議への日本政府のオブザーバー参加を求める
意見書の提出を求める請願(さいたま南・大宮平和委員会)
● 米兵の性暴力の多発と、隠してきた日本政府に抗議し、 日米地位協定の改定を求める請願(さいたま市原水協)

 

 

5件の意見書案を提出

 

 

以下の5件について議会運営委員会に提出しました。全会派一致となれば国及び埼玉県に送致されます。
●コロナ治療薬とワクチンの負担軽減、医療体制の強化を求める意見書(案)
●高等教育の負担軽減を求める意見書(案)
●訪問介護報酬引き下げを見直し再改定を行うことを求める意見書(案)
●高等学校等就学支援金の所得制限撤廃を求める意見書(案)
●埼玉県水道料金の引き上げ撤回を求める意見書(案)

6月議会報告会開催 市民に寄り添う市政実現を求めて

7月13日、党市議団は6月議会報告会を大宮ソニックシティ(大宮区)で開催し、50名を超える市民が参加しました。

 

はじめに松村としお団長が6月議会全体を振り返り、老人福祉介護施設グリーンヒルうらわの廃止案が可決されたことを報告しました。議員や行政の役割は住民福祉の増進であるはずなのに、日本共産党さいたま市議団をのぞくすべての会派がオール与党の構図で賛成しました。

 

また、ごみ焼却場への家庭ごみの持ち込み手数料の大幅値上げの議案について、「これまで100kgまで無料だったものが10kgまで無料になり、市民負担はこれまで約800万円だったものが約1億1000万円になる」と話すと、会場からため息がもれました。市は値上げの理由を「財政難だから」としていますが、補正予算では、新市庁舎設計のための予算について、事業費を400億円から減らす努力がされていないことが明らかになり、福祉の切り捨てや住民サービスの削減が激しくおこなわれている一方で、豪華なハコモノにはお金をつぎ込む市の姿勢が浮きぼりになったと指摘しました。

 

暮らしの切実な問題をとりあげる  

 

次に、一般質問について報告がありました。とばめぐみ市議から「特別障害者手当について、ケアマネージャーにこの制度を知らせてほしいと提案し、今後は要介護3以上の人に送る紙おむつ利用等の案内資料に、特別障害者手当の説明の掲載を検討する」という答弁を引き出したことを報告しました。

 

住民の暮らしの足の確保については、交通政策を比較すると、交通局も、市営交通も、民間支援もないのは政令市のなかでさいたま市だけであり、民間路線バスに頼っている実態があります。そのため、民間路線バスへの財政的支援を市に求めたところ「交通事業者と定期的に意見交換をおこない、補助金による支援のあり方は、有意性を含めて検討する」という歯切れの悪い答弁でした。とば市議は「市の支援を今後も強く求めていきたい」と話しました。

 

つづいて金子あきよ市議から、「沼影市民プールは4月から解体工事が強行されているが、代替プール計画については市民の要望を聞き、説明し、理解を求めながら進めるべき」と求め、市からは「検討の際には、市民の声を聞く機会を設ける。アイススケート場などの導入機能について検討していく」という前向きな答弁があったことを報告しました。

 

また、支援が必要な人への大災害時の避難については、市の「避難行動要支援者名簿」のとりくみについて確認したほか、墨田区立体育館の視察を受け「墨田区のような民間と連携した福祉避難所の設営」について質問すると、「災害時の迅速な開設を含め福祉避難所を充実していくことは重要。他自治体も参考にしながら検討する」という答弁があったことを明らかにしました。

 

シントシティの児童は2学区に

 

たけこし連市議は、大宮区に建設された大規模マンション「シントシティ」の児童が、大宮南小学校だけでは受け入れきれず、浦和区の上木崎小学校も選択可能にする計画があることを報告。シントシティの建設により、このままだと2029年度には児童推計1688人(56学級)の超大規模校になる大宮南小学校ですが、上木崎小学校を選択可能にすると1265人(44学級)に減り、一方で上木崎小学校は、1337人(44学級)に増える見込みです。たけこし市議は「都市開発を優先させる姿勢と公共施設建設のアンバランスさに問題があり、人口を呼び込むならば、必要な学校などの公共施設をつくるべき」と強調しました。

 

司会をつとめた池田めぐみ市議からも、市は児童生徒の増加を把握しきれず、北浦和小学校(浦和区)でも、特別教室を次々と普通教室に転用している実態が報告されました。

 

会場からの質疑応答では、「大宮小学校の建替時には校庭を残してほしい」「学童保育について市は本気で考えるべき」「市の防災について女性の視点も重視すべきでは」などさまざまな声が出され、各市議が回答しました。一方で「西区の指扇小学校建替工事について公民館と一体化という話があるが、進捗が知りたい」という質問がありましたが、報告会後に確認すると、西区の市議には説明されていたことが分かり、今後、日本共産党の議員がいない行政区の情報についても、市から会派に説明してもらうよう要望することになりました。

 

日本共産党さいたま市議団はこれからも、みなさんの声を聞きながら、市民に寄り添う市政実現のため一丸となってとりくみます。

 

2024年6月議会*行政報告 市有地の不適正売却 都市開発のゆがみも  

与野駅西口の区画整理事業に関わって適正な手続きを踏まずに区画整理地内の市有地が売却されたことに関して、6月27日に「調査検討会議」による調査状況と再発防止策についての報告が6月議会本会議でおこなわれ、松村としお市議が6月28日に質疑をしました。

 

今回の調査報告では売却に直接関わった職員が、上司である与野まちづくり事務所所長(当時)に土地売買について相談していること、まわりの職員から「正規の手順を踏んでいないが、それでもやむをえないというようなことを当該職員が所長に話していた」という証言があったことが記載されています。市有地を売却した職員の動機はまだ不明確です。また報告には、問題の職員が「人員不足のなか、自分自身も業務過多になっていて、仕事を進めなければいけないという焦りもあり、判断力も鈍っていた」と述べていたこと、所長(当時)が「土地売買契約について、局長までの決裁が必要であるとの認識がなかった」と述べ、手続きの不理解があったことが書かれています。

 

松村市議は真相究明を引き続き求めるとともに、「人員増」の必要性と「まちづくり事務所」など開発関連の部署が市内に多数分散していることが職員配置に影響していないか指摘しましたが、いずれも明確な答弁はありませんでした。松村市議は「都市開発を多数進めている市政のゆがみも無視できない」と話します。

2024年6月議会*本会議討論 グリーンヒルうらわ廃止などの 議案に反対

討論をおこなう金子あきよ市議

6月28日、6月議会最終本会議で、金子あきよ市議が会派を代表して議案と請願に対する討論にたちました。

 

施設老朽化や民間事業者の参入による環境整備を理由に、老人福祉介護施設グリーンヒルうらわ(緑区)を廃止するという議案は、今議会で大きな議論となりました。金子市議は「指定管理料を引き上げて運営し、修繕をおこなうことは、福祉行政としてやるべきことであり、市はできないのではなくやらないだけ、やる気がないだけだ」と批判しました。

 

市立高齢者デイサービスセンターを廃止する条例に対して、「国が介護報酬削減の検討を進めるなか、介護業界の人手不足は深刻で、民間事業者は事業の安定的な運営に苦慮している。市が果たすべき責任はますます大きく、市立施設の廃止はこれに逆行するもの」として反対しました。

 

清掃センターにごみを持ち込む場合の処理手数料が12倍もの値上げとなる「廃棄物の処理及び再生利用に関する条例の改正」議案について「市民負担は約800万円から1億1000万円になり、あまりにも重い。引っ越しや死亡による片付けなど、一時的に多量にごみを処分しなければならない市民の特別な事情を無視しており、認められない」と主張しました。

 

金子市議は「今議会を通して、福祉の削減を進める一方で、市民負担の増加を求め、市民の願う施策·制度の実現には背を向けるさいたま市の冷たい姿勢が明らかになった。党市議団は、市民の福祉増進のために本来の公共の役割を果たすさいたま市政を実現するため、今後も力を尽くす」と表明しました。

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