議会報告

2025年6月議会*議案外質問(保健福祉委員会) 重度障がい者のグループホームの整備を急げ

昨年9月、生活保護受給者の医療券で診療した医療機関に対し、資格喪失を理由に、受診後にレセプトが返戻された事例が発生し、とばめぐみ市議がこの問題についてとりあげました。とば市議は「医療券の有効性を確認し診療したにもかかわらず、市がレセプトを返戻し、医療機関に全額負担を押しつけたことは不当であり、国の通知とも矛盾する。このような制度の穴は市の責任であり、国に是正を求めるべき」と強く求めました。

 

また「障害者日常生活の支援」で排泄の自立が困難な3歳児以上の障がい児におむつ代月1万2000円の給付があることを知らずに7歳まで全額負担(57万6000円)してきた保護者の声を紹介し、「3歳になる前に個別に通知を出すべきだ」と提案し、市は検討を約束しました。

 

最後に、昨年夏に千葉県長生村で起きた、施設入所できなかった44歳の重度障がい者が父親に殺された事件を紹介し「本市でも重度障がい者を抱えた家族は追い詰められている。重度障がい者のグループホーム整備は命にかかわる重要課題であり、空き家活用を含む体制整備を市の責任で早急に進めるべき」と強く求めました。市は福祉局と環境局が連携してすすめることを約束しました。

 

とば市議は「どの質問も、寄せられた相談から市の姿勢を質したもの。現場の声、当事者の声をしっかり届けることの重要性を実感した。これからも困っている市民の声を届けていきたい」と述べました。

2025年6月議会*一般質問 騒音規制条例の制定を求めて

6月18日、6月議会の一般質問に久保みき市議が登壇しました。

 

はじめに久保市議は、住民からの相談を受けて騒音問題について質問しました。家を建てる際、まず探すのが家を建てる場所、つまり土地です。都市計画法では用途地域を目的別に設定しています。そのなかで、第一種住居地域は「大規模な店舗や事務所の立地を制限して、住宅の環境を守るための地域」として分類されているため、静かな環境を望む方は、第一種住居地域を選び、土地を買って家を建てています。ところが、せっかく選んだ静かな環境であるはずの第一種住居地域で、騒音に悩まされている方が多くいます。久保市議は「さいたま市の条例では、この地域の騒音の基準は50デシベル以下となっているが、50デシベルの根拠はなにか。騒音に悩まされている方に寄り添って、基準を厳しくすべきではないか」と質しました。市は、現在適用している規制基準については適切なものと認識している、との答弁でしたが、住民からの相談内容や件数、現地調査の状況等については注視・把握していくと約束しました。

 

 

動物を大切にするさいたま市へ

 

 

次に、久保市議は、動物を大切にするさいたま市にむけて具体的な提案をおこないました。地域の猫の不妊手術をすすめるために「どうぶつ基金」の無料不妊手術チケットの配布を3月からはじめて、ひとつの団体が活用したことを確認し、今後、さらに配布を拡大することを求めました。市は「団体・市民からの問い合わせがあった場合はチケットの配布を検討する」と答弁しました。また、動物愛護ふれあいセンターでの無料不妊手術の実施を提案したところ、市は、センターの獣医師の業務内容を考えると実施はむずかしいが、先行事例を調査すると約束しました。

 

さらに久保市議は、学校でのうさぎ飼育の問題について「教育委員会は『動物介在教育』として学校でのうさぎ飼育は必要と答弁してきたが、『動物介在教育』とはなにか。動物を通じて、命の大切さを学ぶということなのに、実際には命を粗末にすることを教えてしまっている。生き物の世話は24時間、365日。学校で飼育されているうさぎは、連休中は世話をする人がいない。校舎内に入れたり、長期休みは預けるなどの対応をしている学校もあるが、校舎内では狭いケージの中で、夜間は誰もいない。熱帯夜では命を落としてしまう危険がある。長期休みに預けても、環境の変化に弱いうさぎにとっては、相当なストレスがともなう。うさぎの幸せを思うなら、うさぎの家族(里親)を探してあげようと教えることこそが真の教育」として、学校での飼育をやめるよう迫りましたが、教育委員会は今後も飼育を継続することが適当であると答弁しました。

 

つづけて久保市議は、他自治体の事例も紹介しながら、人間と動物とのかかわりを子どもたちに教える「いのちの授業」の提案をしました。教育委員会は「教科等の授業のなかで動物を愛護しようとする態度を育てるとともに、外部機関と連携した出前講座についても学校が選択できるよう、周知の仕方について検討する」と答弁しました。

 

 

介護人材不足の解消のために

 

 

介護の人材不足は深刻です。久保市議は、「介護業界の深刻な人材不足は、さらに厳しくなると予想される。特にケアマネージャー(以下、ケアマネ)の不足は深刻」として、ケアマネの人手不足解消のための処遇改善を求めました。

 

実際に昨年、桜区の地域包括支援センター(以下、センター)の委託を受けていた事業者が撤退する事態となっています。市が開催するセンターの連絡会では毎回のようにケアマネ不足が課題だと言われており、市は解消の手立てとして、九都県市首脳会議においてケアマネの確保と定着のための処遇改善等を国に要望していると言いますが、それでは不十分です。久保市議は「国に要望するだけでは不十分。市は『介護』という重大な役割をセンターに託しているわけだから、センターからの要望は真摯に受け止め、手立てを考える必要がある。市として、東京都が独自でおこなっている内容と同等の独自補助を早急に実施すべき」と求めました。市は、他自治体の事例も参考にしながら、さいたま市独自の支援策について、検討を進めると約束しました。早ければ、来年度には独自支援がはじまることが期待できます。

 

久保市議はほかに、八王子スポーツ施設の補助駐車場前の道路がいびつで危険である問題、お出かけ応援制度、オーガニックビレッジ宣言の早期実現などを求めました。

2025年6月議会*代表質問 全市民対象に積極的な「家計負担軽減策」を

6月16日、6月議会の代表質問に松村としお市議が登壇しました。この間、党市議団は予算組み替え提案で財源も示しながら物価高騰対策を求めてきましたが、市は否定していました。

 

松村市議は、市長選挙後、清水市長が就任あいさつで「家計負担軽減策」を指示したことについて質しました。

 

松村 家計負担軽減が必要と考えるに至った理由はなにか。

 

清水市長 現下の物価高により市民生活は厳しさを増している。6月議会には福祉施設等への支援金を含む補正予算案を提出した。さいたま市の消費者物価指数は近年で最も高く、市民から負担軽減を求める声も多かった。

 

松村 「家計負担軽減」というが、規模は135万市民におよぶものか。

 

高橋副市長 対象者や規模感も含め、精査を進めている。

 

松村 市民負担軽減策として3点提案する。1つは先の市長選挙でわが党が公認した加川候補も掲げたお米券の支給。2つ目は東京都が水道料金基本料金を4カ月無料にするが、同様に本市でも水道料金を引き下げること。3つ目は国に先んじて学校給食等の無償化に早急に踏み切ることを求める。

 

高橋副市長 物価高騰に対する他自治体のとりくみをアンテナを高くして情報収集している。家計負担軽減策の庁内検討を加速し、今定例会中の議案提出に向けて準備を進めている。現時点で、「お米券」「水道料金引き下げや一時無料化」の予定はない。学校給食用食材の物価高騰分を公費負担している。

 

松村 追加的な支援策が必要だ。連続的なとりくみを求める。

 

高橋副市長 状況の変化には対応したい。

 

松村市議は積極的なとりくみを重ねて求めました。合わせて国に消費税減税を求めるよう迫りました。

 

 

市民負担増路線の転換求める

 

 

松村市議は家計負担軽減にとりくむ姿勢を評価しつつ、家計負担軽減策が実効性を持つよう、これまでの税・公共料金・保険料の引き上げ路線の見直しと「受益者負担」の考え方をやめるよう求めました。

 

市は「行政サービスに係る負担は、その時々の社会経済状況など勘案し、適正かつ公平性も保ったうえで負担いただいている。いわゆる負担増との認識はない」と答弁。受益者負担についても「厳しい財政状況が見込まれる中、財政の健全性を維持し、将来世代に過度の負担を先送りしない持続可能な行財政運営を進めるとりくみのひとつとして、受益者負担の適正化にとりくむ」と市民負担増を続けていく考えを示しました。

 

物価高騰はすぐに収まるものではなく、継続的な市民負担軽減が必要な状況です。「家計負担軽減」を言いながら「市民負担増」を続けるのでは市民生活の厳しさに本気で心を寄せているとは言えません。

 

 

福祉拡充で生活支援を

 

 

物価高騰のもとでくらしを守るとりくみとして、松村市議は福祉の拡充を求めました。

 

松村 福祉による生活の安定も介護離職や出産・育児による離職を防ぎ、収入確保、地域経済の支えになると考えるがどうか。

 

高橋副市長 育児や介護等により離職せず、働き続けられる環境を整備することは大変重要なことと認識している。ケアラー支援施策や保育所の整備など、介護や子育てにともなう負担軽減が図られるよう努めてきている。

 

松村 具体的に聞くが、グリーンヒルうらわは建物を修繕すれば使える。グリーンヒルうらわの復活、再生をめざすべきだ。

 

高橋副市長 総合的に判断して議会の議決を得て廃止した。再整備予定はなく具体的な跡地利用計画もない。

 

福祉の重要性を言うものの、具体的なことになると市で責任を負う姿勢がないことがあらためて明らかになりました。

 

 

大規模事業の見直しを求める

 

 

市は数百億円規模の税投入が見込まれる大型公共事業の計画を次々と立ち上げ、具体化を進めています(図)。ところが市長選後、そうした事業で入札不調が相次いでいます。松村市議は「背景に物価・資材・人件費・金利の上昇があることに加え、施設の集約・複合化による大型化がリスクを高めている」と指摘。「施設を単独で建設・修繕したり、規模や導入機能を見直し柔軟な対応でスリム化を図る方向に方針転換すべき」と主張しました。

 

新屋副市長は「公共施設の集約・複合化については、施設規模や管理運営コストの縮減等のほか、さまざまなメリットがある。入札不調により直ちに変更・転換する必要はない」と従来の大規模事業推進に固執する答弁をしました。

 

大規模公共事業に市民の税金を注ぎ込むことで「厳しい財政状況」をつくりだして市民負担を増やす――この財政構造を見直してこそ実効性のある「家計負担軽減」を実現できます。

市政の課題つぎつぎと 2月議会報告会ひらかれる

4月5日、党市議団が見沼グリーンセンター(北区)で2月議会報告会を開催し、北区を中心に約40名の参加者がありました。

 

はじめに金子あきよ市議が代表質問の報告として市の予算の問題点と、市議団の予算組み替え提案について報告しました。市が住民の納得のないままに推し進める大型公共事業に莫大な予算が投入されている実態を、具体的な数字を挙げて示しました。

 

次に、とばめぐみ市議が「総合療育センターひまわり学園」の保護者の声を集めて何度も議会に届けてきたことで、通園時間や通園バス拡充、看護師増員等に大きな前進があったこと、また不登校対策として2026年度から本市ではじまる「学びの多様化学校」の問題点について語りました。

 

続いて久保みき市議が、議会で何度も求めてきた市立知的障がい特別支援学校の新設について「夢がかなった」と報告。また、本来なら新年度から実証実験が始まる予定だった公共交通の運賃助成制度が延期となったことについて、課題と今後を話しました。

 

さらに池田めぐみ市議が教育問題を取り上げ、「給食室の炊飯器は、未設置の学校があること」「教室にスクリーンがないこと」など、当事者の声をもとに質問し、子どもたちの学ぶ環境を整えるよう要望したことを報告しました。戦後80年を迎える今年、平和学習で児童生徒の広島派遣が実施されることを報告すると、会場の共感を呼びました。

 

参加者からは、大宮南小と上木崎小の学区問題、公園のトイレ、下水道対策、市庁舎移転、三菱マテリアルの放射性廃棄物漏出問題、統一協会とさいたま市の対応など幅広い問題の質問が出され、活気のある報告会となりました。

2025年2月議会*本会議討論 市民の暮らしに寄り添う予算を

本会議で討論をおこなう池田めぐみ市議

3月13日、2月議会最終本会議がおこなわれ、党市議団を代表して池田めぐみ市議が予算案に対する討論に立ちました。

 

池田市議は、「本予算は1兆1663億円という巨大予算だが、市民や事業者に寄り添う予算になっていない」と指摘しました。市民の平均給与所得は直近でおよそ425万円、10年前の367万円と比較して16%増加していますが、税負担もおよそ50万円、24%増加しています。特に給与所得者のうち27.4%、16万人のボリュームゾーンで、平均給与所得はおよそ248万円という厳しい現実です。さらに65歳以上の市民の平均所得は173万円と、全体平均の半分以下になっています。

 

池田市議は、「市は、市民の生活実態を直視して、物価高騰や税負担の上昇に対し見合った支援をする必要があるが、新年度の『物価高騰対策の合計』は88億9000万円で、全体のたった0.8%。そのうち68億3000万円をしめる定額減税補足給付金不足分は、全額、国の予算。物価高騰対策と胸をはるデジタル地域通貨も大きな恩恵をうけているのは、大型店舗や、情報を知りえた一部の市民のみ」と批判しました。

 

一方で、新年度予算には、武蔵浦和義務教育学校建設整備事業が46億円計上されていますが、2月に、予定価格148億6100万円で募集した新校舎建設工事の入札は、参加業者がなかったことから、不調となったことが明らかになっています。建築資材の高騰や建設現場の人手不足で、手を挙げる業者が見つからない中、市民の理解が得られないまま、大規模な学校建設を進めていくことは、明らかに無理があります。

 

そのほか、浦和駅西口南高砂地区再開発や、市民会館うらわの建設、次世代型スポーツ施設、北区のJCHO医療センター跡地に造る施設の事業費などの「大型事業」には、多額の予算が計上されているほか、今後、地下鉄7号線延伸も、1500億円を超えるとの報告がありました。

 

池田市議は「市民が本当に必要としているのは、くらし、福祉、子育て、教育、地域経済、災害対策などの拡充。党市議団では、『学校給食費無償化』や『水道料金の引き下げ』『おでかけ支援制度の創設』など予算の組み換えを提案したが、受益者負担などの観点から難しいとの答弁だった。市民は、税金を払っている。住民福祉の増進が行政の仕事。そのため、新年度予算案には、市民の立場にたって、反対する」と述べ、新年度予算案に反対しました。

 

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