議会報告

2024年9月議会*文教委員会議案外質問 教育DXは現場の声に基づいて  

議案外質問を行う池田めぐみ市議(9月17日)

7月に大東小学校でおこなわれたスマートスクールプロジェクトのシンポジウムに参加した池田めぐみ市議は、児童が黙々とタブレットに向かい作曲アプリを使用する「音のない音楽の授業」を視察したことから、「先生の存在意義」と「生の体験の重要性」について、市の考え方を確認しました。学校教育部長は「先生は児童生徒の主体的な学びを支援する伴走者であり、実体験かタブレットかという二項対立の考えではなく適宜適切に使う」と答弁しました。

 

池田市議が、他教科でも「canva for education(キャンバ・フォー・エデュケーション)」というアプリを使ってポスターなどを作成していることから、「児童生徒の0から1を生み出す才能を伸ばせないのではないか」と質すと「伸ばせないという認識はなく、積極的に活用していく」という答弁でした。

 

池田市議は、9月にオーストラリアで子どものSNSの利用禁止が発表されたことや、ICT推進国スウェーデンでデジタル教科書から紙の教科書を使うよう教育法が改正されたこと、脳科学の側面からキーボードのタイピングより手書きの方が脳活動が活発であるという論文が発表されていることなどを例にあげ、授業の教育DX化については、子ども、保護者、現場の教職員の意見を重視することを求めました。

2024年9月議会*文教委員会議案外質問 教職員の負担軽減のために  

議案外質問を行うたけこし市議(9月17日)

たけこし連市議は、教職員が子どもたちと向き合う時間を確保することを目的に、業務負担増を軽減する手段としての生成AIの活用を提案しました。

 

現在、さいたま市では約1300人の教職員が生成AIの活用を申請しており、市教育委員会は2025年度までに全教職員の50%(約3000人)での活用をめざしています。たけこし市議は具体的に、外国人保護者向けのチャットボット・同時通訳、会議録の作成・共有の自動化、教員同士のナレッジシェアリング(業務に必要な知識・ノウハウを組織全体で共有すること)の自動化、教職員の体調管理へのAI活用などを提案しました。教育委員会はこれらの提案について実施可能なものから順次検討し、市立学校に展開していく方針を示しました。

 

一方で、たけこし市議は生成AI活用のリスクも指摘しました。教員と生徒の人間的な関わりの減少、教員の創造性を奪う可能性、過度な依存などです。これらのリスクに対し、教育委員会は適切な活用方法やリテラシーの育成を通じて対応していく方針を示しました。たけこし市議は「生成AIの導入によって教職員の業務の効率化を図り、子どもたちとの直接的なコミュニケーションに時間を充てることが真の目的。この目的を達成するための提案を続けていく」と話しました。

2024年9月議会*市民生活委員会議案外質問 市の女性支援相談員を正規化へ  

議案外質問を行うとば市議(9月17日)

10月17日、8年ぶりに国連女性差別撤廃委員会で日本報告審議がおこなわれ、ジェンダーギャップ指数146カ国中118位という日本の姿勢が問われることになります。この順位は各地方自治体や国民生活の実態の積み上げです。とばめぐみ市議は、困難を抱える女性支援の先頭に立つ女性相談支援員にかかわる本市の実態についてとりあげ、人数は11人、全員パートタイムの会計年度任用職員、月給が19万円に届かない相談支援員が7割を超えることが明らかになりました。とば市議は「相談支援員自身が低賃金で不安定な働き方では、複雑な事情でサポートが必要な女性に寄り添うことができない」として、正規化を求めました。

 

また、パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度では、異性婚と同じようには認められないことの事例を示し、権利が保障されるよう、内容の充実を求めました。さらに、給水バルブやマンホールなどの金属を狙った盗難事件は3年間で3倍にも激増しており、生活やインフラに大きな影響をおよぼしていることを示し、早急な対策を求めました。

2024年9月議会*総合政策委員会議案外質問 と畜場・道の駅事業の見直しを  

議案外質問を行う松村としお市議(9月17日)

市は食肉中央卸売市場・と畜場(大宮区)を見沼区宮ケ谷塔に移転し、道の駅を併設する「(仮称)農業及び食の流通・観光産業拠点」の整備を2028年完了めざして進めています。8月に道の駅の環境影響評価に対する公聴会も開かれました。食肉市場と道の駅は隣接しており、一体的に整備されますが、環境影響評価は道の駅部分のみでした。松村としお市議は「環境影響評価を別々におこなうのは適切なのか」と質問。市は「別の施設なので個別に手続きをおこなうのは一般的。十分な評価はできる」と答弁しました。松村市議は「同時期に建設するのだから工事の影響、周辺環境への影響は一体だ。法的に問題ないというだけでいいのか」とあえて環境影響評価を別におこなう問題点を指摘しました。

 

また2021年の基本計画で建設費は293億円が見込まれています。建設予定地は水田ですが、地盤改良費は含まれていません。資材や人件費は上がり続け、新市庁舎建設や地下鉄7号線延伸事業では計画を煮詰めるといずれも建設費が5割ほど上昇。こうしたことを踏まえ松村市議は「事業規模や事業費の縮小や見直しを検討しているか」と質し、市は「見直しはいまのところ考えていないが、事業費が計画と大きく乖離する場合は精査する必要がある」と答弁しました。

2024年9月議会*一般質問 地方自治体の責務は住民福祉の増進

一般質問を行う久保みき市議

9月10日、9月議会本会議で、久保みき市議が一般質問をおこないました。

 

久保市議ははじめに、さいたま市の財政のあり方について、開発予算は青天井であるにも関わらず、くらしや福祉の事業の拡大がされず、財政局から「なにか増やしたらなにか減らせ」と言われ、局のなかで予算が決められているために、くらしや福祉の予算が増えないことは問題であると指摘しました。財政局は「厳しい予算編成過程においても、社会経済情勢等の変化に十分留意しながら各局・区長によるマネジメントを最大限発揮していただきつつ、個別の事業について各局等としっかり協議・調整をおこない、必要な予算の手当てをおこなってまいりたい」と答弁しました。つまり各局においては、マネジメント、すなわち無駄をはぶいたうえで、必要な予算は要求すれば、協議、調整するとのことです。地方自治体の責務は住民福祉の増進にあります。久保市議は今後、少しでもくらし・福祉に重きがおかれる予算であるよう求めました。

 

サクラソウ保全の充実求める

 

市は2022年からサクラソウ保全のためのクラウドファンディング型ふるさと納税を実施しており、目標額を超えて寄付金が寄せられました。この寄付金はすでに予算化された事業にあてられるので、その年度に寄付金を使って新たな保全対策を実施することはできませんが、2年後の予算に寄付金の2分の1相当額が、追加で局へ配分されます。つまり今年度、教育委員会事務局に寄付金の2分の1の額が配当されたということです。しかし、サクラソウ保全の予算は増えていません。市は「2023年に比べて対策の予算が少なくすんだので全体の予算は増えていないが、寄せられた寄付金はサクラソウ保全のために木の伐採などに使った」と述べました。しかし、サクラソウ保全の専門員である埼玉大学の荒木祐二准教授は、「もっとやるべきことがあるのに予算がない」とおっしゃいます。「今後は荒木准教授の意見をしっかり聞いていくべき」と求めた久保市議に対して、市も答弁で准教授の意見を聞き、新たな対策を実施することを約束しました。

 

さらに、オーガニックビレッジ宣言にむけては、市の方から宣言をいつ出すという目標は示されませんでしたが、宣言にむけて確実に進めていく方向性が出されています。

 

また、ごみの戸別収集の実施を求め、市は後ろ向きの答弁でしたが、久保市議は「これから迎える超高齢社会に向けて、ごみ出しやごみステーションの維持管理が困難になることが目に見えている。逃れられない問題だ」と指摘しました。

 

障がい者グループホームへの支援を  

 

障がい者の親なき後の問題、老障介護の問題がますます深刻化しています。なかには、90歳の親が60歳の障がい者を介護している家族もあり、限界に達しています。親が元気なうちに障がい者が自立して生活していくことはとても重要なことです。そのため、グループホームの設立が望まれます。

 

久保市議は、「本市では、グループホームの設置数はかなりのスピードで伸びているが、残念ながら惠(めぐみ)グループのように、不適切な運営を実施している株式会社のグループホームが増えていて、障がい者家族の安心にはつながらず、依然としてグループホームの待機者は相当数いる」と指摘し、家賃補助、食事加算、移動支援の上限時間の引き上げ、送迎加算の4つを市独自でおこなうよう提案しました。家賃補助は横浜、川崎などが実施していて、市も国の補助が足りないことは認めましたが、国に拡充を求めていると答弁し、市独自での実施は後ろ向きでした。移動支援については、市の移動支援の上限時間は70時間ですが、グループホームに入所すると上限は30時間に減らされます。障がいの重い方が余暇活動をするためには、移動支援は必須です。市もそのことを認め、上限時間を70時間にすることは検討すると前向きな答弁でした。

 

最後に、地域の課題解決にむけて、内水被害対策(水害対策)と道路問題(道場三室線栄和工区と町谷本太線の新大宮バイパス交差点)について取り上げました。内水被害対策においては「ゼロをめざしてがんばる」との答弁、道場三室線の補償問題、信号の設置箇所、町谷本太線の右折車線の位置、拡大については「検討する」と、いずれも前向きな答弁を引き出しました。

ページトップへ