議会報告

松村としお

2025年9月議会本会議討論 市民生活守る立場での 市政運営求める

討論をおこなう松村としお市議

10月17日、9月議会最終本会議において議案と請願の討論採決がおこなわれ、党市議団から松村としお、久保みきの両市議が討論に立ちました。

はじめに松村市議が、前年度の黒字54億円を、物価高騰のもとで苦しむ市民の暮らしや子育て、中小企業支援に使うため、補正予算を組むよう求めました。下水道事業へのウォーターPPP導入条例については「営利企業である民間に委ねることは安全等の問題があり、八潮市の道路陥没事故も踏まえ、市直営で安全確保をすべき」と主張しました。放課後子ども居場所事業拡大のために公設放課後児童クラブを廃止する議案については、居場所事業が民設学童の運営を圧迫し、党市議団が求めてきた支援策が具体化されたものの不十分だと指摘し、反対しました。

また、生活保護は権利であることを市民に分かりやすく伝えるためポスター掲示など求める請願と、インボイス制度が中小企業や小規模事業者に負担を強いており見直しを求める意見書提出を求める請願について採択を主張しましたがいずれも不採択となりました。

続いて久保市議が登壇し、2024年度決算について不認定の討論をおこないました。久保市議は「昨年度、市民の給与所得者の平均額は約415万円で、もっとも人数の多い層(ボリュームゾーン)では約248万円。全体の平均所得は前年度から約20万円の伸びがあったが、ボリュームゾーンでは6000円しか伸びておらず格差は拡大している。高齢者の55%は非課税で、ボリュームゾーンの平均所得は約110万円。月の所得が10万円未満の方が7割を占めている」として、「高齢者への支援が不可欠だったにも関わらず、市の施策はデジタル地域通貨など、高齢者には恩恵が届きにくかった。またグリーンヒルうらわの廃止で、高齢者に深い喪失感を与えたことを重く受け止めるべき」と指摘しました。

2025年9月議会決算特別委員会(総合政策委員会2日目)意思決定の場に女性の声を増やそう

質問するとばめぐみ市議

9月26日、決算特別委員会(総合政策委員会所管2日目)が開かれ、とばめぐみと松村としおの両市議が出席しました。

はじめにとば市議が総務局に対し、本市の局長、部長など管理職における女性比率がわずか1割にすぎない現実を示し、「意思決定の場に女性の登用を」と構造的な改革を厳しく迫りました。さらに、現場職員の配置要望に対し実際に配置されたのは半分以下であり、区役所や保健・福祉分野の深刻な人員不足を告発。病休者が増え続けている事実も示し、「業務量に対して人員が決定的に不足している」と断じました。

また経済局には、昨年、建設業や運輸・通信業、小売・サービス業などで倒産負債総額が激増している状況を示し、「倒産被害の実態を徹底的に調査し、相談・支援体制を抜本的に強化すべきだ」と迫りました。さらにとば市議が再三求めてきた投票所拡充については、岩槻区で1カ所新設されたことで投票率を大きく押し上げた事実を確認し、投票のための移動支援やタクシー券等、他部局とも相談して「すべての人に投票権の保障を」と提案。選挙管理委員会は検討を約束しました。

多文化共生条例の制定を求める

次に松村市議が、今年1月にクルド人の子どもが在留資格を失ったことをもって学校を除籍するという誤った対応があったことをふまえ、多文化共生のとりくみについて質問しました。さいたま市には多文化共生に関して、まとまった方針がありません。松村市議の質問に、川口市、蕨市、上尾市、八潮市等では「指針」や「プラン」といったかたちで方針を持っていることを市も認識していることが明らかになりました。松村市議は「市の理念や姿勢をハッキリさせていくことが求められている」と多文化共生条例の制定を求めました。

続いて松村市議は「さいたま市みんなのアプリ」についても質問。アプリ機能のひとつであるデジタル地域通貨のポイント還元キャンペーンに10億円使われましたが、利用者は7万人で、市民のごく一部にとどまったことが明らかになりました。市は「物価高騰対策と消費活性化を目的とした」と説明しましたが、松村市議は「市民の一部にしか届いていない」と暮らしへの支援が弱かったことを厳しく指摘しました。

2025年9月議会*議案外質問(子ども文教委員会)多文化共生へ 日本語教育の充実求める

質問する松村としお市議

松村としお市議は外国にルーツを持つ子どもが言葉の壁でつまずくことなく生きる力を身に付けるため日本語教育の強化を求めました。松村市議が市内で日本語指導が必要な子どもの推移を確認したところ、5年間で約2倍に増え、昨年度は524人いることが明らかになりました。会計年度任用職員の日本語指導員が1日2時間教えていますが、松村市議は担任との連携、クラスでなじめるよう配慮することなどを求めました。

公民館のエレベーター設置の推進も求めました。今年度は与野本町公民館で設置が予定されており、今後は南箇公民館(浦和区)、三室公民館(緑区)で設置することが明らかになっています。松村市議の質問に、南箇公民館は2027年度以後に実施設計、三室公民館は2026年度実施設計し2028年度以後工事の見通しが示されました。他の設置可能な公民館についても進めるよう求めました。また熱中症対策の一環として市内公共施設に設置されている「マイボトル給水スポット」が公民館では一部に限られているため、市民からの増設の要望を紹介し、設置場所の拡大を求めました。市は「設置事業者から無償で提供されているが、拡大について事業者と相談していく」との考えを示しました。

また松村市議は市長が6月議会で「子どもの権利条例」の制定を表明したことを受けて、実効性ある条例にするために全庁的な議論をすることと、権利侵害から子どもを守る第三者委員会の設置を求め、いずれも前向きの答弁がありました。

放課後子ども居場所事業で民間学童に影響大

2025年6月議会の子ども文教委員会に「放課後子ども居場所事業」(以下、居場所事業)の現状と、2026年度からさらに12校増やし25校で実施する計画が報告されました。

 

今年度から「居場所事業」が始まった9校のうち8校には学区内に民間学童クラブがあります。これらの学童クラブでは利用児童数が昨年度664人から今年度350人(前年度比52.7%)に激減しました。中にはほとんど減らなかった学童クラブもありましたが、もっとも減ったのが尾間木学童クラブ(緑区)の114人でした。

 

市は「居場所事業」の影響として「入室児童数の減少、それにともなうクラブの統合、クラブ統合にともなう職員の人員整理や賃借物件のクラブ室の原状回復、入室児童数減少にともなう利用料収入および市からの委託料収入の減少等があった」と認めました。それでいて「支援策は12月に議会に示す」というのはあまりに遅い対応であり、報告を受けた松村としお市議は「このまま居場所事業を進めるのは問題」と話しました。

2025年6月議会*議案外質問(子ども文教委員会) 学童保育への支援強化求める

松村としお市議は、視察した大門放課後児童クラブの過密状況の改善を求めました。同クラブは定員50人に対し90人が在籍。支援員の手が回らず、子どもの安全確保の課題が浮き彫りになっています。松村市議が支援体制や施設環境に対する市の見解を質したのに対し、市は今後は「放課後子ども居場所事業」や民設クラブの整備を通じ、過密状態の解消と適切な保育環境の確保を図る考えを示しました。

 

さらに松村市議は「放課後子ども居場所事業」導入にともない尾間木学童クラブで運営を脅かす事態が起きていることに対する支援の具体化状況を質問。市は「影響の把握と支援策の制度設計を進めており、12月議会で基本方針案を示す予定」と答弁しました。松村市議は「4月の時点で影響が出ているのに12月ではあまりに時間がかかりすぎだ」と厳しく指摘し、早い対応を求めました。

 

松村市議は、党市議団が実施した校則アンケートに、「校則の一つひとつに説明がない」との声が多く寄せられていることを紹介し、「説明できないルールは学校側から子どもたちに見直しの提案をするべき」と求めました。教育委員会は、校則の必要性について「教職員と生徒が対話を重ね『納得解』を見出すことが基本方針。今後も学校現場を支援していく」と答弁。また見直された校則で共通しているものを学校間で共有するよう求めたのに対し、「他校の事例も参考にしながら各校に情報提供をおこなう」と答弁しました。

 

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