党市議団は11 月17 日、「さいたま市の教育の未来を考えるシンポジウム」を開催しました。
パネリストとして、千葉大学名誉教授の長澤成次さん、「より良い教科書を求めるさいたま市民の会」の芳賀和夫さん、党市議団のもりや千津子市議が発言しました。
長澤さんは、「九条俳句訴訟と公民館の自由」をテーマに、公民館について「社会教育の場として、憲法や教育基本法、社会教育法に基づいて、憲法学習も含めて、さまざまな政治的な教養に関わる大人の学ぶ権利・自由が保障されなければならない」と説明しました。そのうえで、地方自治体は公民館に対し不当に統制的支配や干渉を加えてはならないとされているとして、「さいたま市は住民の思想信条の自由を尊重して2 つの判決を受け止め司法判断を遵守すべき。公民館活動をより良くしていくために、市民と職員の共同の努力が求められる」と述べました。
芳賀さんは、「道徳教科書問題から考える」をテーマに、今年の中学校道徳教科書採択で市民運動と党市議団の議会論戦で子どもたちの自由な活動を尊重する教科書が採択されたことを報告。芳賀さんは、「本来、教育委員会制度は首長から独立した行政委員会だったが、2016 年から教育長が教育委員長を兼任し、それを首長が任命するという制度改悪がおこなわれた。来年度は新学習指導要領に基づき、道徳を含む小学校教科書採択がおこなわれる。市民と学校が手をつないで、教育問題に関わっていかないと今後も大きな問題が出てくる。いっしょにがんばりましょう」と呼びかけました。
もりや市議は、「さいたま市はグローバルスタディや大宮国際中等教育学校などの競争と格差を広げる教育には積極的だが、教育環境整備にはかたくなにとりくもうとしない」と指摘しました。そのうえで「過大規模校が深刻で、教員1 人当たりと1 学級当たりの生徒数が政令市でいちばん多い。そのことによって特別支援学級の全校設置や少人数学級にもふみ出せないでいる。市の予算の7 ~ 8%しか教育に使われない現状をせめて1 割まで引き上げたい。党市議団は市民運動に学び励まされている。引き続きがんばりたい」と述べました。
コーディネーターをつとめた新日本婦人の会埼玉県本部副会長で元教員の高田美恵子さんは、「子どもは長い時間をかけて成長していくのに、いまの行政や学校は、短いスパンでのとりくみに終始していると感じた。本来、市民や子どもを見ておこなうべき教育が、上ばかりを見てものが言えない、忖度している現状は怖いことだ。みなさんで住みやすい社会をいっしょにつくっていきましょう」と呼びかけました。
【参加者の感想】
*パネリストだけでなく参加者の発言もあり、社会教育、教育委員会のあり方、教員の働き方、障害児教育、不登校など多岐にわたるいい集会だった。年に一度は意見交換し、みんなで教育のことを考えていく時間を大切にしてほしい。
*私は旧教育基本法第1 号生。教育を人権としてとらえなくてはいけない重要なシンポジウムになった。
*教育の諸問題を出し合い、語り合うことはよくあるが、その解決には政治改革が必要になるので、今回のシンポジウムのような催しを大切にしたい。
*安倍政権は、学校教育、家庭教育、社会教育の3 領域を大きな戦略としているだけに、市議団と市民が教育のことで学び合う機会をまたもっていただきたい。