議会報告

松村としお

座談会「12月議会をふりかえって」市民の願いにこたえて奮闘

12月議会を振り返る

1月10日、12月議会の内容についての座談会をおこないました。司会は金子あきよ市議です。

 

金子 それでは12月議会を振り返っていきましょう。この間、私たちは清水市政の強権的なやり方を問題にしていますが、それに対して議会はどのような態度をとってきたのか、12月議会の中で見ていくことが必要です。前号の団ニュースで、たけこし市議の本会議討論と私の予算委員会討論について報告されているのですが、そこに書ききれなかったことも含めて、話し合っていきたいと思います。まずは請願審査についてです。今回はとくに教育関連の請願が注目を集めました。

 

「ゆきとどいた教育を求める請願」が不採択に

 

池田 文教委員会には、ゆきとどいた教育のための少人数学級の実現を求める請願や教員の未配置解消を求める請願が出されていました。市民の当然の願いだと思うのですが、「自主財源が必要で現実的ではない」という理由で不採択になりました。教員の未配置については、2024年11月現在で18人もの未配置があったことが分かっているのに、「(市は)発生しないよう努めている」という理由で他会派が不採択を主張しました。本当に子どものことを考えているのか疑問に思う結果でした。さらに猛暑の中でおこなわれている体育祭の時期変更を求める請願も出されていました。党市議団としても要望を出した内容です。ところが、30人以上の生徒が体調不良を訴えたにもかかわらず「軽症だったので(開催時期は)適切だった」と市教委が答弁したため、私が「それは本当に適切ですか」と質したところ、「撤回します」と発言を取り消した経緯があります。にもかかわらず、他会派の市議が「当日体調不良となった生徒たちは、いずれも重病者はなく、保健室で休んだ後帰ることが可能な状況であった」などとして請願に反対し、不採択となってしまいました。非常に憤りを感じます。

 

松村 少人数学級の件は、具体的な数字で確認したいと思います。予算的に見ても年間4億円程度を3年かけていけば実現できる話なんです。国の政策もその方向に向かっているので、一時的な財政負担で済むはずです。さいたま市の財政力からすれば十分可能なんですよ。小学校では35人学級が実現し、中学校でも来年度から始まる。その流れの中で、市独自の施策として先んじて少人数学級を進めることは、決して非現実的な要求ではありません。

 

たけこし 実は少人数学級を実現するのに必要とされている教員人件費の試算自体にも疑問があります。新規採用教員もいるはずなのに教員全体の平均給与で計算していて、必要以上に給与額がかかっているのではないか。実際にはもっと少ない予算で実現できるはずで、この試算の仕方自体、請願を不採択にするための理由のように感じます。

 

池田 他の自治体との教員採用競争の話も出ていました。「臨時的任用等教職員の登録者は2023年度は1881名いた。しかし登録者に声をかけてもすでに他自治体に勤めていて採用できないケースも多い」という説明がありましたが、これは裏を返せば、さいたま市の教育現場の待遇や労働環境に問題があるということの証明ではないでしょうか。

 

とば そのとおりです。教員の未配置という事態は本当に異常ですよね。1日たりとも教員が不在という状況があってはならないのに、18人も足りないという事実。これは本当に深刻に受け止めるべきです。

 

金子 保健福祉委員会には、小規模介護事業所への処遇改善支援を求める請願が出されましたが不採択。教育現場でも福祉・介護現場でも、働く人たちの待遇改善は喫緊の課題です。市の独自施策として上乗せ支援をおこなうことは必要不可欠です。

 

松村 結局のところ、さいたま市の自主財源の使い道が問題なんです。大規模公共事業が目白押しで、そちらに予算を投入せざるを得ない状況をつくっている。その結果、本当に市民生活に必要な施策にお金がまわらない。この構図が今回の議会でも明確になりましたね。

 

提案した意見書案もまとまらず

 

金子 次に意見書の件について話し合いたいと思います。今回、私たちは「企業団体献金の全面禁止を求める意見書(案)」と「米兵による性犯罪根絶のための対策を求める意見書(案)」を提案しましたが、残念ながらどちらもまとまりませんでした。企業団体献金の問題については、一部の会派とは意見が一致したのですが、国政与党の自民・公明が反対でした。さいたま市議会では、意見書は全会派一致での採択がルールとなっているので、実現しなかった、ということです。

 

とば 企業団体献金については、総理が国会では「禁止したら憲法違反だ」「企業団体献金は悪だとは思っていない」とまで言っていますからね。

 

松村 しかし、私たちが提案した2024年11月の時点では、まだ国会でもそこまでの議論になっていなかった。それでも地方議会で、与党を中心に反対の姿勢が強かった、ということですね。政治改革のために必要なことなのに、残念な結果でした。

 

金子 「米兵による性犯罪根絶を求める意見書(案)」が採択されなかったのは、本当に理解に苦しみます。この意見書(案)を提出したあとも沖縄ではあらたな事件が発生している状況で、なぜこの問題に一致してとりくめないのか。維新の会からは「米兵にこだわる理由はない」という意見まで出ました。

 

松村 根本にあるのは、アメリカに対してものを言えないという構造的な問題です。埼玉県平和委員会から提出された「核兵器禁止条約の批准を日本政府の求める意見書を提出することを求める請願」についても、多くの会派が問答無用で反対という姿勢でした。

 

とば 反対討論をした立憲の市議は「現在の安全保障政策の変更には十分な議論が必要」と言ってますね。アメリカの核の傘が大前提になってしまっている、そこが変えられないということでしょう。

 

池田 12月議会の直前に日本被団協のノーベル平和賞受賞という歴史的なできごとがありました。平和都市宣言をしているさいたま市なのに、市長や議長、他会派からこの重要なできごとへの言及がほとんどなかったのは本当に残念でした。政治家としてなにを重視しているのか、深く考えさせられました。

 

みんなは知らない?

「さいたま市みんなのアプリ」

 

金子 次に、補正予算で提案された「さいたま市みんなのアプリ」の問題について、多くの市民から「これはなんですか」と質問されました。国の補正を受けての緊急の補正予算というかたちで提案されましたが、市民にとって本当に必要な施策だったのでしょうか。

 

池田 私は実際にアプリをダウンロードして使っていますが、大きな問題はマイナンバーカードがないとダウンロードできないという点です。そして、カードを持っていても、アプリとの紐付けが非常に複雑で面倒。銀行との連携も限定的で、最初に表示される銀行は4行だけです。本当の意味で「みんなの」アプリとはいえない状況です。ダウンロード数は約8.3万人と報告されましたが、実際に使えている人はさらに少ないのではないでしょうか。

 

松村 市は年度内に20万ダウンロードをめざしていますが、そこまで届いていないうえにダウンロードしても使えていない人がたくさんいるのが実態ということですね。

 

金子 そして今回の補正予算、30パーセントという破格の還元率で、通常の3パーセントと比べても異常に高い。これだけの還元率を設定しているということは、アプリの普及、さらにはマイナンバーカードの普及が本当の目的なのではないでしょうか。

 

たけこし そもそも物価高騰対策として国から予算をもらっているのに、この使い方でいいのかという根本的な疑問があります。国は水道料金の値下げやガス料金の補助など、さまざまな選択肢を示していたはずです。

 

とば ポイント還元のしくみも分かりにくい。100円の買い物をすると30円分のポイントが付与され、次の買い物に使える。でも、使える店舗は限られている。税金を使って特定の決済サービスを推進することに、果たして妥当性があるのでしょうか。

 

池田 多くのさいたま市民はこのアプリのことを知らない、あるいは使えない状況にあるわけです。市長はさまざまなイベントでQRコードの入ったポロシャツを着て宣伝していましたが、市民にとって本当に必要な施策なのか、考え直す必要がありますね。

 

松村 他の政令市でここまでのポイント還元施策をやっているところはありません。市民のことを考えるならば、先ほどたけこし市議が言ったとおり、水道料金の値下げやガス料金の補助など、より直接的な支援策があったはずです。結局、市の施策を推進することが優先されて、市民が置き去りにされている印象を受けます。

 

池田 アプリを使える人と使えない人の間で不公平が生じています。「誰ひとり取り残さない」というスローガンとは逆行しているように思います。デジタル化をすすめるなかでも新たな格差を生まない配慮が必要ですよね。

 

金子 今回の議会を通じて、市の予算の使い方に大きな課題があることが明らかになりました。教育や福祉など市民生活に直結する課題よりも、大規模事業やデジタル化推進が優先される傾向が顕著です。これは市民の願いとかけ離れているのではないでしょうか。

 

松村 そのとおりです。市民の切実な願いに応える政治の実現に向けて、私たちはこれからも努力を続けていく必要があります。市民の声をしっかりと議会に届け、実現していく。それが私たちの役割だと改めて感じた議会でした。

 

金子 ありがとうございました。大きな課題が山積していますが、がんばりましょう。

2024年12月議会総合政策委員会*議案外質問 猛暑・資材高騰から農家を守る支援求める

議案外質問をおこなう松村としお市議

松村としお市議は農家が猛暑や資材価格高騰で厳しい状況にあることをふまえ、さいたま市の支援を強化するよう求めました。

今年の夏も猛暑でしたが、「農作業も命がけ」という声が寄せられるほどでした。作物の生育にも影響し、営農にも影響が出ているもとで猛暑対策への費用面も含めた支援を求めました。
農業政策部長は「今年6月から8月の平均気温が観測史上もっとも高かったこともあり、米が白く濁ったり、梨が日焼けした。野菜も苗の生育不良・品質低下がおき、収量減少で農業経営に大きな影響を与えた」と認識を示しました。支援として「施設整備に使える補助金を活用してハウス栽培での遮光ネットや細霧冷房・ヒートポンプの設置等を推進している」ととりくみを紹介。また「見沼グリーンセンターで高温耐性品種の試験をしてさいたま市にあった品種の情報発信を検討している」と答弁しました。松村市議は資材と物価の高騰に対する支援も強く要望しました。

 

農業政策部長は「資材価格の高騰が4年前から約1.2倍となり高止まりが続いている状況。全体としてはコストの上昇に価格が追いついてなく、農家の経営を圧迫している」との認識を示しました。こうしたなかで今年度から環境負荷を低減する資材購入への支援をはじめ、11月末までに33件の申請があったことなどのとりくみを紹介しました。

松村市議は「今ある支援策は農家のみなさんに伝えつつ、猛暑対策も資材価格高騰対策もさらなる支援策を」と来年度に向けて具体化するよう求めました。

2024年12月議会*一般質問 基金の活用と大規模事業の縮減でくらし支える施策の実現求める

一般質問をおこなう松村としお市議

12月2日、松村としお市議が12月議会の一般質問にたちました。

 

松村市議ははじめに、2025年度の予算編成方針に、これまではなかった「大規模事業の推進」とともに行財政改革の推進、補助金の見直し、受益者負担の適正化が書き込まれたことを指摘。「大規模公共事業の裏返しで福祉の削減、市民サービスの後退、税・公共料金・保険料引き上げを進めるのではないか」と質しました。財政局長は「それをすることはございません」と明確に否定しましたが、この間の市政運営から見ると注視が必要です。

 

また、「今回の議会に与野中央公園のアリーナ建設130億円の補正予算が出ているが、計画では52億円だった。資材価格の高騰等の影響が大きい。大規模事業の費用圧縮や中止を検討すべき」と対応を迫ったところ、財政局長は「年度ごとの経費を平準化できるよう調整しながらしっかりとやるべきものをやる」と答弁。平準化では総額は変わりません。膨らむばかりの大規模公共事業費の見直しは急務です。松村市議は基金が毎年増えている実態を指摘し、「基金の活用と大規模事業の縮減」で財源を確保し、「物価高騰のもとで市民生活を支えるためにも給食費無償化や『お出かけ応援制度』などくらし応援の施策を実施すべき」と求めました。

 

レジャープール削減計画の 撤回求める

 

さいたま市は沼影市民プールの廃止に続き、代替候補地案を4カ所(桜区荒川沿いと原山市民プール)を示し、11月には市内各地で展示対話型のオープンハウス説明会をおこないました。松村市議は桜区の代替候補地について「車で行くことが前提で、地理的に偏っている。緑区から気軽に使えるプールがなくなってしまう。浸水被害や自然環境破壊の懸念もある」と問題点を指摘。都市局長の答弁は「公共交通等のアクセス性を評価項目に加える。緑区の見沼ヘルシーランドなどの公営プールと役割分担する。災害リスクが低い候補地の評価を高くし、自然環境は必要に応じて適切な調査・手続きを実施する」と、問題を直視しないものでした。

 

2月の代表質問で松村市議が、プールの最大の利用者である子どもの声を聞くよう求めたのに対し、当時の副市長は「検討」を表明。その後の対応を質すと都市局長は「オープンハウス説明会で子どもたちにレジャープールにふさわしい場所を聞いたら『自宅から近いところがいい』との意見が大多数だった」と答弁。今後、小学校や放課後児童クラブ、保育園等で「子どもの意見を積極的に取り入れる」と表明しました。松村市議は「家から近い立地を願う子どもたちの意見と市の削減計画には開きがある。子どもの意見を取り入れるならプールを複数残すということか」と再質問すると「子どもとしては近いところを希望するのは仕方ない。今後は子どもが具体的にイメージしやすい施設内容への意見を反映させたい」として、子どもの意見は市の計画の範囲でしか取り入れない態度を示しました。松村市議は「代替候補地の問題にまともに答えられず、子どもの意見も聞かないままで、進め方が強権的、一方的だ。あらためてレジャープールのあり方方針を撤回し、原山市民プールの存続と民有地を含めた沼影市民プールの代替地検討を求める」と迫りました。都市局長は「原山市民プール廃止は決まってない。代替地も早期調整が可能なら民有地も検討できるが適地がない。市民から早期実現が求められているので来年度前半の候補地決定に向けて検討を進める」とあくまで計画を強行する答弁をしました。

 

学童クラブの運営支援求める

 

市が今年度からモデル実施している「放課後子ども居場所事業」(以下「居場所事業」)ですが、来年度からあらたに9校で実施予定です。このうち緑区の尾間木小学校区では民設の尾間木学童から居場所事業に移る希望を示す子どもが多く、5つあるクラブを2つに減らすことが検討されています。その場合、支援員数減による退職金や賃貸施設の契約解除による原状回復の費用に数百万円かかる可能性があり、松村市議はこうした実態を示し、居場所事業の拡大による費用面での影響に対し補助・補填等を行うよう求めました。子ども未来局長は指摘した実態を認め「来年度のクラブ運営に支障が生じないように検証しながら適切に対応したい」と答弁。松村市議は「拙速に進めず、一度立ち止まってモデル事業をしっかり検証すべき」と求めました。

 

松村市議はほかに国道463号の花月交差点―プラザイースト間の歩道のフラット化や美園臨時グラウンド北側の道路の速度規制強化策を求めました。

2024年9月議会*決算(企業会計) 市立病院の職員配置をすすめて

決算特別委員会で質疑にたつ松村としお市議

10月7日の決算特別委員会で企業会計分野を審査し、病院会計について金子あきよ市議が質疑をしました。

 

金子市議は、市立病院での職員配置要求に比べ実際の配置人数が不足しており、なかでも患者の入院から退院までさまざまな不安にこたえ、地域生活への復帰を支援する患者支援センターで配置要望6人に対し1人の配置にとどまっていることを指摘。病院財務課長は「退院の調整をする医療相談員の配置が少なく、収支にも影響している」と答弁したことから、金子市議は職員配置を進めるよう求めました。

 

また介護が必要な高齢患者の入院に対応する職員配置等を求めてきたことがどうなったか質問。昨年度は15人の介護職員の研修終了者やメディカルソーシャルワーカー2級以上の資格を持つ看護補助職を配置したことが明らかになりました。あわせて認知症患者への対応等で患者の尊厳が守られるようていねいな対応を求めました。

 

上下水道会計については松村としお市議が質疑をおこないました。

 

水道会計は純利益42億円で経営計画に照らして良好な経営状況、かつ料金が政令市で3番目、県南で最高である実態を示し、経営計画の範囲内でも値下げが可能なことを明らかにしました。下水道会計では継続的に求めて来た不明水対策について「対策優先地区を決めて計画的に修繕等進める」ことが答弁され対策が前進することがあきらかになりました。

2024年9月議会*決算(総合政策委員会①) 厳しい市民のくらしを支える財政へ

決算特別委員会で質疑をおこなう松村としお市議

9月26日、決算特別委員会(総合政策委員会関連)で松村としお市議が質疑しました。

 

物価上昇のなか、市民の所得はどうだったでしょうか。納税している給与所得者のうちもっとも多い層の平均所得は年約247万円(収入換算で361万円)で、前年よりわずかに上昇しましたが、65歳以上の高齢者所得は年々減り続け、年約117万円と月10万円を切りました。物価上昇の影響は高齢者ほど深刻です。
こうしたもとでの市民生活支援は国の給付金や給食費を上げないため市として補助するなど約168.7億円を使いましたが、市負担は約3.5億円と支出の2%程度でした。松村市議は「高齢者の生活を支える昨年度ならではの対応はあったのか」と質しましたが、市は具体例をあげられませんでした。

 

2023年度の基金は総額933億円、そのうちなににでも使える財政調整基金は376億円といずれも過去最高となりました。松村市議は、さいたま市の財政調整基金額は政令市の財政規模比で3番目に多く、「十分大きい方だ」と指摘。市は「多くない」と答えましたが、これは実態を見ない答弁です。

 

また、昨年度決算でさいたま市の黒字額は過去最高の約120億円でした。一方で2023年度予算編成前に179億円不足とされ、財政が厳しいという話が出ます。ところが財政調整基金などを使う分は含まれておらず、その額は松村市議の質問に5年平均で114億円と示され、「不足」が過大な数字と分かりました。

 

松村市議は市が大型公共事業はどんなに膨れ上がっても予算をつける一方で高齢者福祉施設廃止やレジャープール削減の方針を進めてきたことを指摘。「住民福祉の増進」からみてバランスを欠いていると厳しく批判しました。

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