議会報告

金子あきよ

2025年2月議会*代表質問 物価高騰のなかで市民の暮らしを支える予算に

代表質問をおこなう金子市議

2月13日、金子あきよ市議が代表質問にたち、市長の市政運営についてただしました。

 

金子 物価高騰のもとで生活困窮者、子育て世帯、高齢者世帯、小規模事業者などから「暮らしが苦しい」との声が寄せられている。市長は新年度の施政方針のなかで、市民の苦しみに言及しなかったが、市民の暮らし支援の予算はなにか。

 

清水市長 新年度予算編成方針では「市民の命や生活を守ることを最優先として引き続き推進する」としており、市民の暮らしを守るための対策を切れ目なく迅速かつ的確に実施できるよう、2024年度12月補正予算から2025年度当初予算までの16カ月予算として編成をした。当初予算については、定額減税補足給付金の支給のほか、市民および市内事業者の安心や生活の安定を支える事業をこれまで以上に展開していく。

 

金子 たしかに、要望してきた事業の予算化など一定の前進はあった。しかし新年度予算案で示された物価高騰対策の合計額は 約89億円。これは新年度予算総額の0.8%であり、その多くを占めている「定額減税補足給付金の不足分約68.3億円」は全額国費。これでは市長の本気度がまったく見えない。

 

金子市議は、2023年12月議会から毎議会開会日に市役所前に多くの市民が集まって市の進める事業に対して抗議の声を上げていることを紹介。大規模公共事業に多額の予算を注ぎ込むことへの厳しい批判がある、と指摘しました。そのうえで、市民の合意が得られていない大型公共事業を大胆に見直し、積み上がった基金を一部分取り崩して、市民の暮らしを支援する事業に充てる予算の組み替えを提案しました。

 

ジェンダー平等の実現を市役所から

 

続いて金子市議は、市職員(パートタイム会計年度任用職員を含む)の男女賃金格差の実態をとりあげ、男性に対する女性の賃金の割合が82.5%であることを明らかにしました。

 

金子 男女の賃金格差が生じる要因として、圧倒的多数のパートタイム会計年度任用職員が女性だからだ(男女比率1:4)。非正規雇用がこれだけ多いということ自体が女性に対する間接差別。市は「第5次男女共同推進のまちづくりプラン」のなかで「非正規雇用労働者の割合が男性に比べて女性で高いことは、女性の貧困の背景にもなっている」と述べている。非正規雇用である会計年度任用職員の処遇を改善することに、さいたま市自身が踏み出すべきではないか。

 

日野副市長 会計年度任用職員の給与面の処遇は、常勤職員の給与との権衡(けんこう=釣り合い)を考慮するとともに、他団体や民間事業者の同様職種の給与水準も考慮して設定したものだ。

 

金子 会計年度任用職員が、その専門性にふさわしい処遇を受けている、とは言えない実態がある。たとえば学校図書館司書は市内の小中学校に一人ずつ配置されているが、募集時に示される勤務条件で最大限勤務すると107万700円。昇給や期末手当はあっても、この仕事だけでは自立できない。専門性が求められ、教育現場から必要とされているにも関わらず、勤務時間と人員配置が見合っていない。したがってすべての職種で仕事の内容を精査し、正規職員としての雇用も含めた形態にするべきではないか。

 

日野副市長 現在、会計年度任用職員として採用している職種について、業務の内容や責任の程度など業務の性質が変わらない限りは、正規職員として採用できない。

 

竹居教育長 学校図書館司書は「設置要綱」において図書館業務を担当する教員の補完的な業務にあたることとなっている。業務内容や責任の程度など業務の性質から判断し、正規職員として採用することは考えていない。

 

金子市議は「会計年度任用職員がそれぞれの部署で担っている業務内容や責任を軽視する驚くべき答弁だった。ジェンダー平等を市役所から実現するために、男女賃金格差の是正、官製ワーキングプアといわれる会計年度任用職員の改善踏み出すべきなのに、大変後ろ向きな答弁だ。多くの会計年度任用職員のみなさんと共に、これからも声をあげ続ける」と表明しました。

座談会「12月議会をふりかえって」市民の願いにこたえて奮闘

12月議会を振り返る

1月10日、12月議会の内容についての座談会をおこないました。司会は金子あきよ市議です。

 

金子 それでは12月議会を振り返っていきましょう。この間、私たちは清水市政の強権的なやり方を問題にしていますが、それに対して議会はどのような態度をとってきたのか、12月議会の中で見ていくことが必要です。前号の団ニュースで、たけこし市議の本会議討論と私の予算委員会討論について報告されているのですが、そこに書ききれなかったことも含めて、話し合っていきたいと思います。まずは請願審査についてです。今回はとくに教育関連の請願が注目を集めました。

 

「ゆきとどいた教育を求める請願」が不採択に

 

池田 文教委員会には、ゆきとどいた教育のための少人数学級の実現を求める請願や教員の未配置解消を求める請願が出されていました。市民の当然の願いだと思うのですが、「自主財源が必要で現実的ではない」という理由で不採択になりました。教員の未配置については、2024年11月現在で18人もの未配置があったことが分かっているのに、「(市は)発生しないよう努めている」という理由で他会派が不採択を主張しました。本当に子どものことを考えているのか疑問に思う結果でした。さらに猛暑の中でおこなわれている体育祭の時期変更を求める請願も出されていました。党市議団としても要望を出した内容です。ところが、30人以上の生徒が体調不良を訴えたにもかかわらず「軽症だったので(開催時期は)適切だった」と市教委が答弁したため、私が「それは本当に適切ですか」と質したところ、「撤回します」と発言を取り消した経緯があります。にもかかわらず、他会派の市議が「当日体調不良となった生徒たちは、いずれも重病者はなく、保健室で休んだ後帰ることが可能な状況であった」などとして請願に反対し、不採択となってしまいました。非常に憤りを感じます。

 

松村 少人数学級の件は、具体的な数字で確認したいと思います。予算的に見ても年間4億円程度を3年かけていけば実現できる話なんです。国の政策もその方向に向かっているので、一時的な財政負担で済むはずです。さいたま市の財政力からすれば十分可能なんですよ。小学校では35人学級が実現し、中学校でも来年度から始まる。その流れの中で、市独自の施策として先んじて少人数学級を進めることは、決して非現実的な要求ではありません。

 

たけこし 実は少人数学級を実現するのに必要とされている教員人件費の試算自体にも疑問があります。新規採用教員もいるはずなのに教員全体の平均給与で計算していて、必要以上に給与額がかかっているのではないか。実際にはもっと少ない予算で実現できるはずで、この試算の仕方自体、請願を不採択にするための理由のように感じます。

 

池田 他の自治体との教員採用競争の話も出ていました。「臨時的任用等教職員の登録者は2023年度は1881名いた。しかし登録者に声をかけてもすでに他自治体に勤めていて採用できないケースも多い」という説明がありましたが、これは裏を返せば、さいたま市の教育現場の待遇や労働環境に問題があるということの証明ではないでしょうか。

 

とば そのとおりです。教員の未配置という事態は本当に異常ですよね。1日たりとも教員が不在という状況があってはならないのに、18人も足りないという事実。これは本当に深刻に受け止めるべきです。

 

金子 保健福祉委員会には、小規模介護事業所への処遇改善支援を求める請願が出されましたが不採択。教育現場でも福祉・介護現場でも、働く人たちの待遇改善は喫緊の課題です。市の独自施策として上乗せ支援をおこなうことは必要不可欠です。

 

松村 結局のところ、さいたま市の自主財源の使い道が問題なんです。大規模公共事業が目白押しで、そちらに予算を投入せざるを得ない状況をつくっている。その結果、本当に市民生活に必要な施策にお金がまわらない。この構図が今回の議会でも明確になりましたね。

 

提案した意見書案もまとまらず

 

金子 次に意見書の件について話し合いたいと思います。今回、私たちは「企業団体献金の全面禁止を求める意見書(案)」と「米兵による性犯罪根絶のための対策を求める意見書(案)」を提案しましたが、残念ながらどちらもまとまりませんでした。企業団体献金の問題については、一部の会派とは意見が一致したのですが、国政与党の自民・公明が反対でした。さいたま市議会では、意見書は全会派一致での採択がルールとなっているので、実現しなかった、ということです。

 

とば 企業団体献金については、総理が国会では「禁止したら憲法違反だ」「企業団体献金は悪だとは思っていない」とまで言っていますからね。

 

松村 しかし、私たちが提案した2024年11月の時点では、まだ国会でもそこまでの議論になっていなかった。それでも地方議会で、与党を中心に反対の姿勢が強かった、ということですね。政治改革のために必要なことなのに、残念な結果でした。

 

金子 「米兵による性犯罪根絶を求める意見書(案)」が採択されなかったのは、本当に理解に苦しみます。この意見書(案)を提出したあとも沖縄ではあらたな事件が発生している状況で、なぜこの問題に一致してとりくめないのか。維新の会からは「米兵にこだわる理由はない」という意見まで出ました。

 

松村 根本にあるのは、アメリカに対してものを言えないという構造的な問題です。埼玉県平和委員会から提出された「核兵器禁止条約の批准を日本政府の求める意見書を提出することを求める請願」についても、多くの会派が問答無用で反対という姿勢でした。

 

とば 反対討論をした立憲の市議は「現在の安全保障政策の変更には十分な議論が必要」と言ってますね。アメリカの核の傘が大前提になってしまっている、そこが変えられないということでしょう。

 

池田 12月議会の直前に日本被団協のノーベル平和賞受賞という歴史的なできごとがありました。平和都市宣言をしているさいたま市なのに、市長や議長、他会派からこの重要なできごとへの言及がほとんどなかったのは本当に残念でした。政治家としてなにを重視しているのか、深く考えさせられました。

 

みんなは知らない?

「さいたま市みんなのアプリ」

 

金子 次に、補正予算で提案された「さいたま市みんなのアプリ」の問題について、多くの市民から「これはなんですか」と質問されました。国の補正を受けての緊急の補正予算というかたちで提案されましたが、市民にとって本当に必要な施策だったのでしょうか。

 

池田 私は実際にアプリをダウンロードして使っていますが、大きな問題はマイナンバーカードがないとダウンロードできないという点です。そして、カードを持っていても、アプリとの紐付けが非常に複雑で面倒。銀行との連携も限定的で、最初に表示される銀行は4行だけです。本当の意味で「みんなの」アプリとはいえない状況です。ダウンロード数は約8.3万人と報告されましたが、実際に使えている人はさらに少ないのではないでしょうか。

 

松村 市は年度内に20万ダウンロードをめざしていますが、そこまで届いていないうえにダウンロードしても使えていない人がたくさんいるのが実態ということですね。

 

金子 そして今回の補正予算、30パーセントという破格の還元率で、通常の3パーセントと比べても異常に高い。これだけの還元率を設定しているということは、アプリの普及、さらにはマイナンバーカードの普及が本当の目的なのではないでしょうか。

 

たけこし そもそも物価高騰対策として国から予算をもらっているのに、この使い方でいいのかという根本的な疑問があります。国は水道料金の値下げやガス料金の補助など、さまざまな選択肢を示していたはずです。

 

とば ポイント還元のしくみも分かりにくい。100円の買い物をすると30円分のポイントが付与され、次の買い物に使える。でも、使える店舗は限られている。税金を使って特定の決済サービスを推進することに、果たして妥当性があるのでしょうか。

 

池田 多くのさいたま市民はこのアプリのことを知らない、あるいは使えない状況にあるわけです。市長はさまざまなイベントでQRコードの入ったポロシャツを着て宣伝していましたが、市民にとって本当に必要な施策なのか、考え直す必要がありますね。

 

松村 他の政令市でここまでのポイント還元施策をやっているところはありません。市民のことを考えるならば、先ほどたけこし市議が言ったとおり、水道料金の値下げやガス料金の補助など、より直接的な支援策があったはずです。結局、市の施策を推進することが優先されて、市民が置き去りにされている印象を受けます。

 

池田 アプリを使える人と使えない人の間で不公平が生じています。「誰ひとり取り残さない」というスローガンとは逆行しているように思います。デジタル化をすすめるなかでも新たな格差を生まない配慮が必要ですよね。

 

金子 今回の議会を通じて、市の予算の使い方に大きな課題があることが明らかになりました。教育や福祉など市民生活に直結する課題よりも、大規模事業やデジタル化推進が優先される傾向が顕著です。これは市民の願いとかけ離れているのではないでしょうか。

 

松村 そのとおりです。市民の切実な願いに応える政治の実現に向けて、私たちはこれからも努力を続けていく必要があります。市民の声をしっかりと議会に届け、実現していく。それが私たちの役割だと改めて感じた議会でした。

 

金子 ありがとうございました。大きな課題が山積していますが、がんばりましょう。

2024年12月議会*予算委員会討論 武蔵浦和学園義務教育学校 建設費に220億円

予算委員会で討論をおこなう金子あきよ市議

12月議会最終盤、国の補正予算の成立を受けて補正予算第224号が提出されました。12月19日の予算委員会で、久保みき市議と金子あきよ市議が質疑をおこない、金子市議が反対討論をおこないました。

 

この補正予算案には住民税非課税世帯や低所得の子育て世帯への給付金の支給、学校給食の物価高騰対策など必要な事業もありますが、武蔵浦和学園義務教育学校の建設費に今後3年間の継続費として220億円が設定されました。

 

武蔵浦和学園義務教育学校については、住民・保護者・学校関係者から少なくない疑問と不安が寄せられています。例えば、今回の事業費総額には教室と廊下のパーテーションを遮音性の高いものにするための設計工事の変更による増額も含まれているとのことでした。当初計画されたオープンスペースを前提にした間仕切りでは子どもたちが授業やテストに集中できない、との意見が寄せられたとのことです。今後もさらなる事業費の増額が考えられます。

 

金子市議はそもそも計画の前提となっている3校舎を分離で運営する方式そのものに無理があることを指摘。大里校舎、内谷校舎を1~4年生のみの校舎とすることに対する批判が計画当初から寄せられているとして、あくまでも計画の変更を求めました。

 

また物価高対策として、「さいたま市みんなのアプリ」に期間限定で30%のポイント還元を実施するため11億8300万円が計上されました。この「みんなのアプリ」は、今年7月に始まったデジタル地域通貨を使った決済サービスですが、登録者は現在わずか8.3万人にすぎません。ダウンロードしても使っていない人も多く、市外の人もダウンロードできるという問題点も指摘されています。金子市議は、「速やかで」「誰でも支援が受けられる」物価高対策というのであれば、より広範な市民を対象とした水道料金の減免などの事業をおこなうべき、と主張しました。

2024年12月議会まちづくり委員会*議案外質問 「南浦和駅入口」交差点の安全確保を

議案外質問をおこなう金子あきよ市議

金子あきよ市議は産業道路「南浦和駅入口」交差点の改良について質問しました。

 

この交差点は、駅からの南大通りと産業道路のT字路で右左折の自動車と歩行者が交錯し、最近も交通事故が発生しています。これまで金子市議は住民とともに要望、ガードレールの強化などの改善を実現してきました。ここは大谷口・太田窪土地区画整理事業地と接しており、都市計画道路の始点となっていますが、この計画がほとんど進んでおらず、事業地内の空き地には駐車場が次々とつくられ、車両が交差点の横断歩道上から出入りする極めて危険な状況となっています。金子市議はこの状況に対する市の認識を質し、対策を講じることを求めました。

まちづくり推進部長は「非常に危険であると認識している。まだ、事業の途中ではあるが、歩行者の安全性が図れるように、交通管理者並びに道路管理者と協議、調整を進めていく」と答弁。さらに具体的な安全対策として、横断歩道の位置を移設、路面標示、ポストコーンで侵入してくる車を歩行者と分離した動線に誘導することが考えられる、としたうえで、都市計画道路(太田窪明花線)の区画整理地区内側について、将来的に歩道が整備される際には、交差点形状に応じた適切な位置に横断歩道を設置することに言及しました。

金子市議は提案された当面の対策を急ぐとともに、土地区画整理事業について、武蔵野線沿いの道路擁壁に関するJRとの協議と要望をしっかりおこなって事業を進めることを強く求めました。

2024年9月議会討論*2023年度一般会計決算が不認定に

会派を代表して決算の討論をおこなう金子あきよ市議

金子あきよ市議は10月18日、9月議会最終本会議で討論に立ち、決算議案について不認定の意見を述べました。昨年度の一般会計特別会計決算に対しては、さいたま自民、公明、維新の会、無所属みらいの各会派と一部の無所属議員が与野駅西口土地区画整理事業における市有地売却について、不適正な事務処理があったことなどを理由に不認定の態度をとりました(2年連続で不認定)。

 

金子市議は、物価高騰が続くなか、市独自の負担軽減策は極めて不十分だったことを厳しく指摘。一方で実質収支は約120億円の黒字、基金の全体額は933億円と、いずれも本市はじまって以来の最高額でした。金子市議は「財政状況は良好だ。今後の財政運営の厳しさも強調されているが、大型公共事業計画が将来財政を圧迫するなによりの要因。政策的・投資的経費や都市基盤整備に青天井で財政投入するやり方はやめるべき」と主張。くらしと地域経済への支援、住民福祉の増進という地方自治体の本来の仕事に財政を優先的に使う方向に転換することを強く求めました。

 

 

放射性物質がもれていた

 

 

三菱マテリアルで、昨年末、放射性物質を保管していたドラム缶の一部が腐食、内容物が漏出する事故が起きていたことがわかりました。金子市議は事業者から報告を受けていたにもかかわらず住民や議会に対して明らかにしなかった市の姿勢が問題だと指摘、今後、事業者任せにせず、安全性確保についての情報収集と公開に責任を持ってあたることを強く求めました。

 

職員の働き方・職場環境改善を

 

金子市議は職員の残業について、労基法による時間外労働の上限規制を大幅に超える残業を余儀なくされている所管が複数あるとして、定員管理計画を見直して適正配置をおこなうよう求めました。とくに今回、区役所の実態として1人当たり4平米にも満たない執務面積、市民への窓口対応を少なくない会計年度職員や委託職員に依拠している状況が審査のなかで明らかになったとして「市政の最前線である区役所の職員が健康で働き続けられるよう、正規職員数も執務面積も思い切って増やすこと」を求めました。
金子市議は討論の最後に「市民の声を聞き、暮らしに寄り添う市政を進めることこそ、この間続いている行政上のミスや不祥事によって損なわれた市政に対する信頼の回復にとってなによりも必要なことだ」と強調しました。

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