議会報告

池田めぐみ

市政の課題つぎつぎと 2月議会報告会ひらかれる

4月5日、党市議団が見沼グリーンセンター(北区)で2月議会報告会を開催し、北区を中心に約40名の参加者がありました。

 

はじめに金子あきよ市議が代表質問の報告として市の予算の問題点と、市議団の予算組み替え提案について報告しました。市が住民の納得のないままに推し進める大型公共事業に莫大な予算が投入されている実態を、具体的な数字を挙げて示しました。

 

次に、とばめぐみ市議が「総合療育センターひまわり学園」の保護者の声を集めて何度も議会に届けてきたことで、通園時間や通園バス拡充、看護師増員等に大きな前進があったこと、また不登校対策として2026年度から本市ではじまる「学びの多様化学校」の問題点について語りました。

 

続いて久保みき市議が、議会で何度も求めてきた市立知的障がい特別支援学校の新設について「夢がかなった」と報告。また、本来なら新年度から実証実験が始まる予定だった公共交通の運賃助成制度が延期となったことについて、課題と今後を話しました。

 

さらに池田めぐみ市議が教育問題を取り上げ、「給食室の炊飯器は、未設置の学校があること」「教室にスクリーンがないこと」など、当事者の声をもとに質問し、子どもたちの学ぶ環境を整えるよう要望したことを報告しました。戦後80年を迎える今年、平和学習で児童生徒の広島派遣が実施されることを報告すると、会場の共感を呼びました。

 

参加者からは、大宮南小と上木崎小の学区問題、公園のトイレ、下水道対策、市庁舎移転、三菱マテリアルの放射性廃棄物漏出問題、統一協会とさいたま市の対応など幅広い問題の質問が出され、活気のある報告会となりました。

2025年2月議会*本会議討論 市民の暮らしに寄り添う予算を

本会議で討論をおこなう池田めぐみ市議

3月13日、2月議会最終本会議がおこなわれ、党市議団を代表して池田めぐみ市議が予算案に対する討論に立ちました。

 

池田市議は、「本予算は1兆1663億円という巨大予算だが、市民や事業者に寄り添う予算になっていない」と指摘しました。市民の平均給与所得は直近でおよそ425万円、10年前の367万円と比較して16%増加していますが、税負担もおよそ50万円、24%増加しています。特に給与所得者のうち27.4%、16万人のボリュームゾーンで、平均給与所得はおよそ248万円という厳しい現実です。さらに65歳以上の市民の平均所得は173万円と、全体平均の半分以下になっています。

 

池田市議は、「市は、市民の生活実態を直視して、物価高騰や税負担の上昇に対し見合った支援をする必要があるが、新年度の『物価高騰対策の合計』は88億9000万円で、全体のたった0.8%。そのうち68億3000万円をしめる定額減税補足給付金不足分は、全額、国の予算。物価高騰対策と胸をはるデジタル地域通貨も大きな恩恵をうけているのは、大型店舗や、情報を知りえた一部の市民のみ」と批判しました。

 

一方で、新年度予算には、武蔵浦和義務教育学校建設整備事業が46億円計上されていますが、2月に、予定価格148億6100万円で募集した新校舎建設工事の入札は、参加業者がなかったことから、不調となったことが明らかになっています。建築資材の高騰や建設現場の人手不足で、手を挙げる業者が見つからない中、市民の理解が得られないまま、大規模な学校建設を進めていくことは、明らかに無理があります。

 

そのほか、浦和駅西口南高砂地区再開発や、市民会館うらわの建設、次世代型スポーツ施設、北区のJCHO医療センター跡地に造る施設の事業費などの「大型事業」には、多額の予算が計上されているほか、今後、地下鉄7号線延伸も、1500億円を超えるとの報告がありました。

 

池田市議は「市民が本当に必要としているのは、くらし、福祉、子育て、教育、地域経済、災害対策などの拡充。党市議団では、『学校給食費無償化』や『水道料金の引き下げ』『おでかけ支援制度の創設』など予算の組み換えを提案したが、受益者負担などの観点から難しいとの答弁だった。市民は、税金を払っている。住民福祉の増進が行政の仕事。そのため、新年度予算案には、市民の立場にたって、反対する」と述べ、新年度予算案に反対しました。

 

2025年2月議会*予算委員会(文教)市立知的障がい特別支援学校の新設が実現

予算委員会で質疑をおこなう久保みき市議

2月26日、予算委員会(文教委員会関連)がおこなわれ、党市議団から久保みき、池田めぐみの両市議が登壇しました。

 

久保市議は、市長が施政方針演説で「知的障がい特別支援学校の新設について検討していく」と表明したことを受けて、教育委員会においては、知的障がい特別支援学校の新設に向けて全力で進めていくことを求めました。また、不登校対策として、市内の子どもたちの学びの場の選択肢とされているフリースクールについて、経済的理由でフリースクールに通いたくても通えない子どもがいるため、フリースクール利用者に助成金を支給すべきと提案しました。担当課は、「金銭的な理由であきらめるのは心情的につらいものがある」としながらも「公教育に力を入れたい」と答弁しました。

 

さらに絶滅の危機にある田島ヶ原サクラソウ自生地のサクラソウ保全対策について、新設される文化財保全活用基金の活用でさらに進めることを求め、学校のウサギ飼育は虐待に近い状態におかれていることを指摘し、巡回調査を求めました。

 

 

献立ソフトは市の責任で

 

 

池田市議は、学校の栄養士の方から相談のあった問題をとりあげました。献立ソフトは個人制作のものを163名中96名の栄養士が使用していることがわかり、アレルギー対策なども含め、市が責任をもち、現場の栄養士を中心に「献立ソフト検討チーム」を立ち上げることを要望しました。また、給食室の炊飯器の設置は、旧岩槻市が100%なのに対し、旧与野市で75%、旧大宮市で57%、旧浦和市で52%の学校にしかありません。委託でなく自校の給食室で白米を炊けば、物価高騰対策としても、半額に抑えることができます。設置可能な学校から、炊飯器導入をすすめることを求めました。

 

また、現場の先生方から、全校で実施されている「Solaるーむ」について、人の配置と場所が学校によりバラバラであるとの相談がありました。固定した場所に限らず対応したいという答弁に対して、子どもにとって、安心できる居場所にするためにも、専用教室と適切な教員配置を求めました。

2025年2月議会*議案外質問(文教)学校栄養士 配置基準の見直しを

議案外質問をおこなう池田めぐみ市議

池田めぐみ市議は、学校栄養士の働き方と重要性を明らかにするため質問しました。

 

市内の学校には、学校栄養士として学校栄養職員(栄養士もしくは管理栄養士)64名、栄養教諭(栄養士もしくは管理栄養士、および栄養教諭免許)99名が勤務しています。「1校に1人の栄養士」は国の基準を超えているとのことですが、1000人を越える大規模校でも1人です。アレルギー対応について質問すると、2024年度は、小中学校と特別支援学校で、合計3426人に対応。弁当対応は52人、除去食対応は2872人、代替食対応が296人でした。いちばん多い学校では、1校で71人もの食物アレルギーに対応している実態が明らかになりました。

 

 

また、現在、個人の方が制作したソフト(キュウちゃんソフト)を、全163名中96名が使っていることがわかりました。現場から、市が責任をもって、アレルギーなどにもミスなく対応できる市独自の献立ソフトを導入してほしいという声があることをふまえ、栄養士・栄養教諭が参加する「献立ソフト検討チーム」の設置を要望しました。 「アレルギー対応がある日は、責任があり休むことができない」「授業も担当していて、献立の業務などは夜まで終わらないことも多い」「児童生徒の数が多いほど、子どもとの会話が少なくなってしまう」という声をうけ、池田市議は、代わりのきかない学校栄養士について、550人以上の児童生徒に1人という基準を、さらに1100人以上の学校では2人以上の配置基準に見直すよう、強く求めました。

座談会「12月議会をふりかえって」市民の願いにこたえて奮闘

12月議会を振り返る

1月10日、12月議会の内容についての座談会をおこないました。司会は金子あきよ市議です。

 

金子 それでは12月議会を振り返っていきましょう。この間、私たちは清水市政の強権的なやり方を問題にしていますが、それに対して議会はどのような態度をとってきたのか、12月議会の中で見ていくことが必要です。前号の団ニュースで、たけこし市議の本会議討論と私の予算委員会討論について報告されているのですが、そこに書ききれなかったことも含めて、話し合っていきたいと思います。まずは請願審査についてです。今回はとくに教育関連の請願が注目を集めました。

 

「ゆきとどいた教育を求める請願」が不採択に

 

池田 文教委員会には、ゆきとどいた教育のための少人数学級の実現を求める請願や教員の未配置解消を求める請願が出されていました。市民の当然の願いだと思うのですが、「自主財源が必要で現実的ではない」という理由で不採択になりました。教員の未配置については、2024年11月現在で18人もの未配置があったことが分かっているのに、「(市は)発生しないよう努めている」という理由で他会派が不採択を主張しました。本当に子どものことを考えているのか疑問に思う結果でした。さらに猛暑の中でおこなわれている体育祭の時期変更を求める請願も出されていました。党市議団としても要望を出した内容です。ところが、30人以上の生徒が体調不良を訴えたにもかかわらず「軽症だったので(開催時期は)適切だった」と市教委が答弁したため、私が「それは本当に適切ですか」と質したところ、「撤回します」と発言を取り消した経緯があります。にもかかわらず、他会派の市議が「当日体調不良となった生徒たちは、いずれも重病者はなく、保健室で休んだ後帰ることが可能な状況であった」などとして請願に反対し、不採択となってしまいました。非常に憤りを感じます。

 

松村 少人数学級の件は、具体的な数字で確認したいと思います。予算的に見ても年間4億円程度を3年かけていけば実現できる話なんです。国の政策もその方向に向かっているので、一時的な財政負担で済むはずです。さいたま市の財政力からすれば十分可能なんですよ。小学校では35人学級が実現し、中学校でも来年度から始まる。その流れの中で、市独自の施策として先んじて少人数学級を進めることは、決して非現実的な要求ではありません。

 

たけこし 実は少人数学級を実現するのに必要とされている教員人件費の試算自体にも疑問があります。新規採用教員もいるはずなのに教員全体の平均給与で計算していて、必要以上に給与額がかかっているのではないか。実際にはもっと少ない予算で実現できるはずで、この試算の仕方自体、請願を不採択にするための理由のように感じます。

 

池田 他の自治体との教員採用競争の話も出ていました。「臨時的任用等教職員の登録者は2023年度は1881名いた。しかし登録者に声をかけてもすでに他自治体に勤めていて採用できないケースも多い」という説明がありましたが、これは裏を返せば、さいたま市の教育現場の待遇や労働環境に問題があるということの証明ではないでしょうか。

 

とば そのとおりです。教員の未配置という事態は本当に異常ですよね。1日たりとも教員が不在という状況があってはならないのに、18人も足りないという事実。これは本当に深刻に受け止めるべきです。

 

金子 保健福祉委員会には、小規模介護事業所への処遇改善支援を求める請願が出されましたが不採択。教育現場でも福祉・介護現場でも、働く人たちの待遇改善は喫緊の課題です。市の独自施策として上乗せ支援をおこなうことは必要不可欠です。

 

松村 結局のところ、さいたま市の自主財源の使い道が問題なんです。大規模公共事業が目白押しで、そちらに予算を投入せざるを得ない状況をつくっている。その結果、本当に市民生活に必要な施策にお金がまわらない。この構図が今回の議会でも明確になりましたね。

 

提案した意見書案もまとまらず

 

金子 次に意見書の件について話し合いたいと思います。今回、私たちは「企業団体献金の全面禁止を求める意見書(案)」と「米兵による性犯罪根絶のための対策を求める意見書(案)」を提案しましたが、残念ながらどちらもまとまりませんでした。企業団体献金の問題については、一部の会派とは意見が一致したのですが、国政与党の自民・公明が反対でした。さいたま市議会では、意見書は全会派一致での採択がルールとなっているので、実現しなかった、ということです。

 

とば 企業団体献金については、総理が国会では「禁止したら憲法違反だ」「企業団体献金は悪だとは思っていない」とまで言っていますからね。

 

松村 しかし、私たちが提案した2024年11月の時点では、まだ国会でもそこまでの議論になっていなかった。それでも地方議会で、与党を中心に反対の姿勢が強かった、ということですね。政治改革のために必要なことなのに、残念な結果でした。

 

金子 「米兵による性犯罪根絶を求める意見書(案)」が採択されなかったのは、本当に理解に苦しみます。この意見書(案)を提出したあとも沖縄ではあらたな事件が発生している状況で、なぜこの問題に一致してとりくめないのか。維新の会からは「米兵にこだわる理由はない」という意見まで出ました。

 

松村 根本にあるのは、アメリカに対してものを言えないという構造的な問題です。埼玉県平和委員会から提出された「核兵器禁止条約の批准を日本政府の求める意見書を提出することを求める請願」についても、多くの会派が問答無用で反対という姿勢でした。

 

とば 反対討論をした立憲の市議は「現在の安全保障政策の変更には十分な議論が必要」と言ってますね。アメリカの核の傘が大前提になってしまっている、そこが変えられないということでしょう。

 

池田 12月議会の直前に日本被団協のノーベル平和賞受賞という歴史的なできごとがありました。平和都市宣言をしているさいたま市なのに、市長や議長、他会派からこの重要なできごとへの言及がほとんどなかったのは本当に残念でした。政治家としてなにを重視しているのか、深く考えさせられました。

 

みんなは知らない?

「さいたま市みんなのアプリ」

 

金子 次に、補正予算で提案された「さいたま市みんなのアプリ」の問題について、多くの市民から「これはなんですか」と質問されました。国の補正を受けての緊急の補正予算というかたちで提案されましたが、市民にとって本当に必要な施策だったのでしょうか。

 

池田 私は実際にアプリをダウンロードして使っていますが、大きな問題はマイナンバーカードがないとダウンロードできないという点です。そして、カードを持っていても、アプリとの紐付けが非常に複雑で面倒。銀行との連携も限定的で、最初に表示される銀行は4行だけです。本当の意味で「みんなの」アプリとはいえない状況です。ダウンロード数は約8.3万人と報告されましたが、実際に使えている人はさらに少ないのではないでしょうか。

 

松村 市は年度内に20万ダウンロードをめざしていますが、そこまで届いていないうえにダウンロードしても使えていない人がたくさんいるのが実態ということですね。

 

金子 そして今回の補正予算、30パーセントという破格の還元率で、通常の3パーセントと比べても異常に高い。これだけの還元率を設定しているということは、アプリの普及、さらにはマイナンバーカードの普及が本当の目的なのではないでしょうか。

 

たけこし そもそも物価高騰対策として国から予算をもらっているのに、この使い方でいいのかという根本的な疑問があります。国は水道料金の値下げやガス料金の補助など、さまざまな選択肢を示していたはずです。

 

とば ポイント還元のしくみも分かりにくい。100円の買い物をすると30円分のポイントが付与され、次の買い物に使える。でも、使える店舗は限られている。税金を使って特定の決済サービスを推進することに、果たして妥当性があるのでしょうか。

 

池田 多くのさいたま市民はこのアプリのことを知らない、あるいは使えない状況にあるわけです。市長はさまざまなイベントでQRコードの入ったポロシャツを着て宣伝していましたが、市民にとって本当に必要な施策なのか、考え直す必要がありますね。

 

松村 他の政令市でここまでのポイント還元施策をやっているところはありません。市民のことを考えるならば、先ほどたけこし市議が言ったとおり、水道料金の値下げやガス料金の補助など、より直接的な支援策があったはずです。結局、市の施策を推進することが優先されて、市民が置き去りにされている印象を受けます。

 

池田 アプリを使える人と使えない人の間で不公平が生じています。「誰ひとり取り残さない」というスローガンとは逆行しているように思います。デジタル化をすすめるなかでも新たな格差を生まない配慮が必要ですよね。

 

金子 今回の議会を通じて、市の予算の使い方に大きな課題があることが明らかになりました。教育や福祉など市民生活に直結する課題よりも、大規模事業やデジタル化推進が優先される傾向が顕著です。これは市民の願いとかけ離れているのではないでしょうか。

 

松村 そのとおりです。市民の切実な願いに応える政治の実現に向けて、私たちはこれからも努力を続けていく必要があります。市民の声をしっかりと議会に届け、実現していく。それが私たちの役割だと改めて感じた議会でした。

 

金子 ありがとうございました。大きな課題が山積していますが、がんばりましょう。

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