議会報告

委員会

2024年9月議会*決算(総合政策委員会①) 厳しい市民のくらしを支える財政へ

決算特別委員会で質疑をおこなう松村としお市議

9月26日、決算特別委員会(総合政策委員会関連)で松村としお市議が質疑しました。

 

物価上昇のなか、市民の所得はどうだったでしょうか。納税している給与所得者のうちもっとも多い層の平均所得は年約247万円(収入換算で361万円)で、前年よりわずかに上昇しましたが、65歳以上の高齢者所得は年々減り続け、年約117万円と月10万円を切りました。物価上昇の影響は高齢者ほど深刻です。
こうしたもとでの市民生活支援は国の給付金や給食費を上げないため市として補助するなど約168.7億円を使いましたが、市負担は約3.5億円と支出の2%程度でした。松村市議は「高齢者の生活を支える昨年度ならではの対応はあったのか」と質しましたが、市は具体例をあげられませんでした。

 

2023年度の基金は総額933億円、そのうちなににでも使える財政調整基金は376億円といずれも過去最高となりました。松村市議は、さいたま市の財政調整基金額は政令市の財政規模比で3番目に多く、「十分大きい方だ」と指摘。市は「多くない」と答えましたが、これは実態を見ない答弁です。

 

また、昨年度決算でさいたま市の黒字額は過去最高の約120億円でした。一方で2023年度予算編成前に179億円不足とされ、財政が厳しいという話が出ます。ところが財政調整基金などを使う分は含まれておらず、その額は松村市議の質問に5年平均で114億円と示され、「不足」が過大な数字と分かりました。

 

松村市議は市が大型公共事業はどんなに膨れ上がっても予算をつける一方で高齢者福祉施設廃止やレジャープール削減の方針を進めてきたことを指摘。「住民福祉の増進」からみてバランスを欠いていると厳しく批判しました。

2024年9月議会*予算委員会 放課後子ども居場所事業 民設学童クラブの不安に寄り添え

予算委員会で反対討論を行う久保みき市議

9月19日、20日と補正予算の審査がおこなわれました。本補正予算には、放課後子ども居場所事業を2025年度にあらたに9校実施するための準備、グリーンヒルうらわの廃止に伴うケアハウス「ぎんもくせい」の入所者への補償金、与野駅西口の土地区画整理事業における不正売却の土地代金の返還など、重要な案件が多く、審査は紛糾しました。20日の討論・採決では党市議団は反対、さいたま自民市議団から2名の退席、他は賛成し、可決されました。

 

反対討論に立った久保みき市議は、「昨年度からモデル事業がはじまった放課後子ども居場所事業は、大きな混乱と不安を民設学童クラブに与えた。今まで民設学童クラブに頼ってきたなかで、裏切りとも言える行為。そのうえ、半年も経たないうちにさらに9校にモデル事業を広げ、2026年には本格実施だという。5年かけて検証すると言っていたのに、欺瞞であったと言わざるを得ない」と厳しく指摘。「新年度からモデル事業をスタートする尾間木小学校にはそもそも公設クラブがない。モデル事業をはじめるなかで民設学童クラブの在籍人数が減り、物件を更地にして返還しなくてはならない恐れがあり、多額の費用が必要となることが予想される。少なくとも、原状復帰にかかる費用や支援員の退職金については市が負担して、民設学童クラブの不安に寄り添うべき」と主張しました。

 

また、グリーンヒルうらわの廃止にともなう補償について久保市議は、「市内のケアハウスに転所することを想定し、入所者ひとりにつき約360万円補償するとのことだが、市内4カ所のケアハウスに空きはない。サービス付き高齢者住宅では平均で月約18万円の利用料が生じ、平均月約7万円の利用料のケアハウスとは雲泥の差であり、一律の補償が妥当か疑問。利用料の高い施設に入所せざるを得ない場合は、追加の補償を実施すべき。全国的にケアハウスが減少傾向だからこそ、公的責任で守る必要があった。今後、市の責任で公的な高齢者施設の設置を強く求める」と主張しました。

2024年9月議会*まちづくり委員会議案外質問 与野中央公園 地盤の悪さを市も認識  

議案外質問を行う金子あきよ市議(9月17日)

昨年7月からおこなわれた中央区の与野中央公園外周道路工事によって、周辺住宅でブロック塀の亀裂、雨どいが外れる、エアコンの室外機が傾くといった被害が生じました。そもそもこの地域は、浸水地域で地盤が軟弱です。金子あきよ市議は、住民から今議会に提出された陳情が「2002年の県による鴻沼川改修工事で住宅被害が起こった際、県が地盤沈下に関し、『被害が想定できないほど地盤が悪かった』と説明している」と述べていることを紹介したうえで、埼玉県県土整備事務所から入手した鴻沼川改修工事の影響範囲の図を示し、被害が起きて拡大された調査対象地域の中に与野中央公園がすっぽり入っていることを指摘。これらの点についての市の認識を質しました。

 

担当部長は「与野中央公園整備予定地および周辺については工事着工前より地盤が悪いこと、埼玉県による鴻沼川改修工事に関する影響においては、県からの情報提供や近隣住民からの申出もあり、認識していた」と述べました。金子市議は「アリーナ建設ともなれば、さらに大きな振動や騒音被害などが予想される。計画の縮小こそ検討されるべき」と指摘しました。

2024年9月議会*文教委員会議案外質問 教育DXは現場の声に基づいて  

議案外質問を行う池田めぐみ市議(9月17日)

7月に大東小学校でおこなわれたスマートスクールプロジェクトのシンポジウムに参加した池田めぐみ市議は、児童が黙々とタブレットに向かい作曲アプリを使用する「音のない音楽の授業」を視察したことから、「先生の存在意義」と「生の体験の重要性」について、市の考え方を確認しました。学校教育部長は「先生は児童生徒の主体的な学びを支援する伴走者であり、実体験かタブレットかという二項対立の考えではなく適宜適切に使う」と答弁しました。

 

池田市議が、他教科でも「canva for education(キャンバ・フォー・エデュケーション)」というアプリを使ってポスターなどを作成していることから、「児童生徒の0から1を生み出す才能を伸ばせないのではないか」と質すと「伸ばせないという認識はなく、積極的に活用していく」という答弁でした。

 

池田市議は、9月にオーストラリアで子どものSNSの利用禁止が発表されたことや、ICT推進国スウェーデンでデジタル教科書から紙の教科書を使うよう教育法が改正されたこと、脳科学の側面からキーボードのタイピングより手書きの方が脳活動が活発であるという論文が発表されていることなどを例にあげ、授業の教育DX化については、子ども、保護者、現場の教職員の意見を重視することを求めました。

2024年9月議会*文教委員会議案外質問 教職員の負担軽減のために  

議案外質問を行うたけこし市議(9月17日)

たけこし連市議は、教職員が子どもたちと向き合う時間を確保することを目的に、業務負担増を軽減する手段としての生成AIの活用を提案しました。

 

現在、さいたま市では約1300人の教職員が生成AIの活用を申請しており、市教育委員会は2025年度までに全教職員の50%(約3000人)での活用をめざしています。たけこし市議は具体的に、外国人保護者向けのチャットボット・同時通訳、会議録の作成・共有の自動化、教員同士のナレッジシェアリング(業務に必要な知識・ノウハウを組織全体で共有すること)の自動化、教職員の体調管理へのAI活用などを提案しました。教育委員会はこれらの提案について実施可能なものから順次検討し、市立学校に展開していく方針を示しました。

 

一方で、たけこし市議は生成AI活用のリスクも指摘しました。教員と生徒の人間的な関わりの減少、教員の創造性を奪う可能性、過度な依存などです。これらのリスクに対し、教育委員会は適切な活用方法やリテラシーの育成を通じて対応していく方針を示しました。たけこし市議は「生成AIの導入によって教職員の業務の効率化を図り、子どもたちとの直接的なコミュニケーションに時間を充てることが真の目的。この目的を達成するための提案を続けていく」と話しました。

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