議会報告

2024年9月議会討論*2023年度一般会計決算が不認定に

会派を代表して決算の討論をおこなう金子あきよ市議

金子あきよ市議は10月18日、9月議会最終本会議で討論に立ち、決算議案について不認定の意見を述べました。昨年度の一般会計特別会計決算に対しては、さいたま自民、公明、維新の会、無所属みらいの各会派と一部の無所属議員が与野駅西口土地区画整理事業における市有地売却について、不適正な事務処理があったことなどを理由に不認定の態度をとりました(2年連続で不認定)。

 

金子市議は、物価高騰が続くなか、市独自の負担軽減策は極めて不十分だったことを厳しく指摘。一方で実質収支は約120億円の黒字、基金の全体額は933億円と、いずれも本市はじまって以来の最高額でした。金子市議は「財政状況は良好だ。今後の財政運営の厳しさも強調されているが、大型公共事業計画が将来財政を圧迫するなによりの要因。政策的・投資的経費や都市基盤整備に青天井で財政投入するやり方はやめるべき」と主張。くらしと地域経済への支援、住民福祉の増進という地方自治体の本来の仕事に財政を優先的に使う方向に転換することを強く求めました。

 

 

放射性物質がもれていた

 

 

三菱マテリアルで、昨年末、放射性物質を保管していたドラム缶の一部が腐食、内容物が漏出する事故が起きていたことがわかりました。金子市議は事業者から報告を受けていたにもかかわらず住民や議会に対して明らかにしなかった市の姿勢が問題だと指摘、今後、事業者任せにせず、安全性確保についての情報収集と公開に責任を持ってあたることを強く求めました。

 

職員の働き方・職場環境改善を

 

金子市議は職員の残業について、労基法による時間外労働の上限規制を大幅に超える残業を余儀なくされている所管が複数あるとして、定員管理計画を見直して適正配置をおこなうよう求めました。とくに今回、区役所の実態として1人当たり4平米にも満たない執務面積、市民への窓口対応を少なくない会計年度職員や委託職員に依拠している状況が審査のなかで明らかになったとして「市政の最前線である区役所の職員が健康で働き続けられるよう、正規職員数も執務面積も思い切って増やすこと」を求めました。
金子市議は討論の最後に「市民の声を聞き、暮らしに寄り添う市政を進めることこそ、この間続いている行政上のミスや不祥事によって損なわれた市政に対する信頼の回復にとってなによりも必要なことだ」と強調しました。

2024年9月議会討論*市民のねがい 請願の採択求める

会派を代表して討論をおこなう久保みき市議

10月18日、9月議会の最終本会議で、久保みき市議が議案・請願について討論に立ちました。

 

放課後居場所事業であらたに9校のモデル事業を開始し、それにともなって8つの既存公設放課後児童クラブを廃止する議案と、「グリーンヒルうらわ」の廃止にともなう補償についての議案について久保市議は、「そもそも放課後居場所事業の実施、グリーンヒルうらわの廃止について、大変遺憾に思っていることから反対する」と述べ、それぞれで起きている混乱や関係者の苦難、問題点を指摘しました。また、建築基準法が改定されたことによる建築物の検査等の規制緩和の議案、マイナ保険証関連の議案、デジタル改革推進一括法関連における標準下水道条例の規制緩和にかかる議案について、それぞれ懸念事項を述べ、反対しました。

 

市民から出された請願については、 「18歳未満(高卒まで)の国保・均等割の減免措置を求める請願」「ガザに直ちに平和を、一刻も早い停戦を求める請願」「核兵器禁止条約第3回締約国会議への日本政府のオブザーバー参加を求める意見書の提出を求める請願」「米兵の性暴力の多発と、隠してきた日本政府に抗議し、日米地位協定の改定を求める請願」について、紹介議員になりました。久保市議は、ノーベル平和賞を日本被団協が受賞したことなどに触れ、請願の採択を強く求めましたが、他会派の反対により不採択となりました。

2024年9月議会*決算(総合政策委員会①) 厳しい市民のくらしを支える財政へ

決算特別委員会で質疑をおこなう松村としお市議

9月26日、決算特別委員会(総合政策委員会関連)で松村としお市議が質疑しました。

 

物価上昇のなか、市民の所得はどうだったでしょうか。納税している給与所得者のうちもっとも多い層の平均所得は年約247万円(収入換算で361万円)で、前年よりわずかに上昇しましたが、65歳以上の高齢者所得は年々減り続け、年約117万円と月10万円を切りました。物価上昇の影響は高齢者ほど深刻です。
こうしたもとでの市民生活支援は国の給付金や給食費を上げないため市として補助するなど約168.7億円を使いましたが、市負担は約3.5億円と支出の2%程度でした。松村市議は「高齢者の生活を支える昨年度ならではの対応はあったのか」と質しましたが、市は具体例をあげられませんでした。

 

2023年度の基金は総額933億円、そのうちなににでも使える財政調整基金は376億円といずれも過去最高となりました。松村市議は、さいたま市の財政調整基金額は政令市の財政規模比で3番目に多く、「十分大きい方だ」と指摘。市は「多くない」と答えましたが、これは実態を見ない答弁です。

 

また、昨年度決算でさいたま市の黒字額は過去最高の約120億円でした。一方で2023年度予算編成前に179億円不足とされ、財政が厳しいという話が出ます。ところが財政調整基金などを使う分は含まれておらず、その額は松村市議の質問に5年平均で114億円と示され、「不足」が過大な数字と分かりました。

 

松村市議は市が大型公共事業はどんなに膨れ上がっても予算をつける一方で高齢者福祉施設廃止やレジャープール削減の方針を進めてきたことを指摘。「住民福祉の増進」からみてバランスを欠いていると厳しく批判しました。

2024年9月議会*予算委員会 放課後子ども居場所事業 民設学童クラブの不安に寄り添え

予算委員会で反対討論を行う久保みき市議

9月19日、20日と補正予算の審査がおこなわれました。本補正予算には、放課後子ども居場所事業を2025年度にあらたに9校実施するための準備、グリーンヒルうらわの廃止に伴うケアハウス「ぎんもくせい」の入所者への補償金、与野駅西口の土地区画整理事業における不正売却の土地代金の返還など、重要な案件が多く、審査は紛糾しました。20日の討論・採決では党市議団は反対、さいたま自民市議団から2名の退席、他は賛成し、可決されました。

 

反対討論に立った久保みき市議は、「昨年度からモデル事業がはじまった放課後子ども居場所事業は、大きな混乱と不安を民設学童クラブに与えた。今まで民設学童クラブに頼ってきたなかで、裏切りとも言える行為。そのうえ、半年も経たないうちにさらに9校にモデル事業を広げ、2026年には本格実施だという。5年かけて検証すると言っていたのに、欺瞞であったと言わざるを得ない」と厳しく指摘。「新年度からモデル事業をスタートする尾間木小学校にはそもそも公設クラブがない。モデル事業をはじめるなかで民設学童クラブの在籍人数が減り、物件を更地にして返還しなくてはならない恐れがあり、多額の費用が必要となることが予想される。少なくとも、原状復帰にかかる費用や支援員の退職金については市が負担して、民設学童クラブの不安に寄り添うべき」と主張しました。

 

また、グリーンヒルうらわの廃止にともなう補償について久保市議は、「市内のケアハウスに転所することを想定し、入所者ひとりにつき約360万円補償するとのことだが、市内4カ所のケアハウスに空きはない。サービス付き高齢者住宅では平均で月約18万円の利用料が生じ、平均月約7万円の利用料のケアハウスとは雲泥の差であり、一律の補償が妥当か疑問。利用料の高い施設に入所せざるを得ない場合は、追加の補償を実施すべき。全国的にケアハウスが減少傾向だからこそ、公的責任で守る必要があった。今後、市の責任で公的な高齢者施設の設置を強く求める」と主張しました。

2024年9月議会*まちづくり委員会議案外質問 与野中央公園 地盤の悪さを市も認識  

議案外質問を行う金子あきよ市議(9月17日)

昨年7月からおこなわれた中央区の与野中央公園外周道路工事によって、周辺住宅でブロック塀の亀裂、雨どいが外れる、エアコンの室外機が傾くといった被害が生じました。そもそもこの地域は、浸水地域で地盤が軟弱です。金子あきよ市議は、住民から今議会に提出された陳情が「2002年の県による鴻沼川改修工事で住宅被害が起こった際、県が地盤沈下に関し、『被害が想定できないほど地盤が悪かった』と説明している」と述べていることを紹介したうえで、埼玉県県土整備事務所から入手した鴻沼川改修工事の影響範囲の図を示し、被害が起きて拡大された調査対象地域の中に与野中央公園がすっぽり入っていることを指摘。これらの点についての市の認識を質しました。

 

担当部長は「与野中央公園整備予定地および周辺については工事着工前より地盤が悪いこと、埼玉県による鴻沼川改修工事に関する影響においては、県からの情報提供や近隣住民からの申出もあり、認識していた」と述べました。金子市議は「アリーナ建設ともなれば、さらに大きな振動や騒音被害などが予想される。計画の縮小こそ検討されるべき」と指摘しました。

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