2025年2月議会*代表質問 子どもの最善の利益は守られているか
2月13日、とばめぐみ市議が代表質問にたち、「さいたま市は子ども基本法の立場にたって子どもの最善の利益を守っているのか」と質しました。
はじめに、新設大和田地区小学校(見沼区)についてとりあげました。過大規模校解消の対策として地元住民が長きにわたって求めてきた小学校建設は、予定より3年遅れて来春開校です。
ところが学区の発表は、大変雑なもので、住民を混乱させています。大砂土東小学校と大谷小学校を7区域に分け「新設小学校通学区域(案)」として関係団体や保護者にアンケート調査をおこない、2024年3月に説明会を開きましたが、11月には新たに2区域を加えた最終案を突然発表しました。保護者は寝耳に水。年末に急遽説明会が開かれましたが、市は「最終案は変更しない」と言い切り、保護者からは「私たちにはアンケート調査もなかった」「子どもの意見は聞いたのか」「来年突然転校?高学年は選択できるようにしてほしい」と声があがりました。PTAも2度にわたって嘆願書を提出し、高学年の選択制を求めています。
とば市議は、「子ども基本法は〝その年齢及び発達の程度に応じて、自己に直接関係する全ての事項に関して意見を表明する機会の確保〟を求めている、内閣官房はその例として〝どのような学校を選ぶか〟をあげている」として、市の姿勢を質しました。教育長は「アンケートは保護者が子どもと相談して回答した例もあるため、子どもの声は聞いている」「開校時から、全学年がそろうことでバランスが図られる」と、まったく取りあいませんでした。
学びの多様化学校「いろどり学園」
次に、不登校児童生徒支援についてとりあげました。全国の不登校児童生徒数は34万人超。本市でも2000人を超えています。国は支援策として、授業時間を減らし、柔軟なカリキュラムの特例校「学びの多様化学校」を全国に300校設置することを目指し、本市でも2026年度に開校が予定されています。
しかしその内容は、既存の教育研究所の一部を本校とし、5つの教育支援センターをキャンパスとするもので、希望する児童生徒は「転校」しなければなりません。とば市議は、転校しなければならない理由を問いましたが、市は「学びの多様化学校は、学校教育法第1条に定められた学校に該当するので、学籍を移す必要がある」と言うだけで、教育的意義はなにも語れず、「担任はどこにいるのか」と質しても「既存の学級担任の枠に縛られないかたちを現在検討中」と言うだけでした。
「不登校児を受け入れる学校」と言いますが、不登校にならないと入れない学校で、他市からの転校は認められません。給食はなく、キャンパスに通う際の交通費は保護者負担。「公認心理師、精神福祉士にいつでも相談できる」としながら常駐ではなく、相談はオンラインでおこなうことが想定されています。とば市議は「美辞麗句を並べながら中身がスカスカ。先行自治体のよい例や問題点を研究して、柔軟でもっとも子どもによりそった学校にするよう再検討すべきだ」と質しました。教育長は「他の事例も研究しながら、とりくみを準備する」と答えました。
また、とば市議は全国の精神疾患で病欠となる教職員数の激増と、不登校児童生徒数の激増がぴったり一致しているグラフを示し、2つは強く関係していると延べ、「教職員が健康で働き続けることのできない学校は、子どもが安心して通える場所にはなり得ない。本市の教職員の精神疾患が全国平均をはるかに上回っているのは大問題だ」と質しました。教育長は「地域総がかりで子どもをはぐくむ、学校・家庭・地域等の連携・協働体制を構築することが重要」と述べるにとどまり、厳しい学校の現実には触れませんでした。
希望者全員に通園バスの補償を
最後に、とば市議は「総合療育センターひまわり学園」の通園バスについてとりあげました。通園バスは看護師が添乗していないため、医療ケア児や重度の障がい児は利用できず、保護者が送迎しています。時折停車して痰の吸引をし、発作が起きていないかいつも様子を見ながらひとりで運転する現状に、とば市議は「親子を危険にさらす自家用車での通園をいつまで続けなければならないのか。早急に看護師を増員し、バスを利用しやすくするべき」と迫りました。市は「通園バスへの要望はいろいろといただいており、新年度からはすべて車高が低いマイクロバスにする」と答弁。また、バスを2台増やし、ルートも6ルートから8ルートに拡大する、車いすの搭載可能台数を12台から16台に拡大する、と答えました。一方で、バス通園のための継続的な看護師配置は「引き続き研究する」という答弁にとどまりました。
また、とば市議は「市長は『誰一人取り残さず…』として『子ども子育て関連施策』をあげているが、障がい児を育てる環境は完全に取り残されている」という保護者からの言葉を伝え、市長の見解を質しました。市長が答弁にたち「まだまだ十分とは言えない。ひまわり学園で、保護者と市の懇談もおこない要望を承った。よりよい環境づくりにとりくみたい」と述べました。