【池田めぐみが現場を歩く】ICT教育 世界ではアナログ回帰が加速
「教育のデジタル化と学力」というテーマの市民学習交流会が、6月30日浦和コミュニティセンターで開催されました。講師は、大阪教育文化センターの田中康寛氏。さいたま市でも児童生徒1人一台タブレットを謳い「教育のデジタル化」が進められていますが、ICT機器を使うこと自体が手段ではなく目的になっていないか、警鐘を鳴らす内容でした。
世界に目を向ければ、IT先進国スウェーデン、フィンランド、ニュージーランド、ドイツでは、ICTに依存する学習により、文章能力や計算力などの学力が低下。デジタルからアナログに回帰する動きが加速しています。アメリカ、カナダでも、「SCHOOL NOT SCREENS(学校にスクリーンはいらない)」と、子どもたちが反対の声をあげています。脳科学の側面からアプローチすると、脳活動は、キーボードでタイピングしている時より、手書きの方が活発。記憶と集中にはデジタルより紙の方が効果的との論文が多数紹介されました。また、子どもたちの個人情報は、学習アプリを利用することで同意したとみなされ、学習データの他、検索履歴などの利活用が企業に利益をもたらしている点も指摘されました。
デジタル教育が先生との対面でのやり取りにとって代わるのではなく、あくまでも道具として使用することが重要です。子どもと先生との血の通った対話や教育環境を求めていきます。